SBIG ST-2000XM

SBIG ST2000XM ST2000XMは、アメリカのSBIG社が製造していた冷却CCDカメラ(天体写真専用カメラ)です。 CCDチップには、画素数200万画素のコダック社製KAI2020Mチップが使われています (ST2000XMの最初のモデルは、KAI-2000Mチップが使われていました)。

Kodak KAI-2020MはモノクロタイプのCCDですので、カラーフィルターが載った一般のデジカメよりも解像度はずっと高く、 600万画素クラスのデジタル一眼レフカメラ以上の解像感ある画像を生み出してくれます。

私はこのST2000XMカメラを2005年の始めに購入して以来、愛用しています。 ダークノイズも比較的少なく、安定して動作しますので、 本当に使いやすい冷却CCDカメラです。 オートガイドチップも内蔵されたモデルですので、セルフガイドが可能になっています。 セルフガイドは安定したガイドをもたらしてくれ、長焦点撮影の際のガイドエラーがかなり減りました。


ST-2000XMの大きさ

冷却CCDカメラ本体の大きさは、見た目以上に大きく、ペンタックス67カメラ並の大きさがあります。 重量も高級デジタル一眼レフカメラ並みの重さがありますので、 天体望遠鏡へ接続する際には、しっかりと取り付けられるように注意する必要があります。

通常、私は2インチノーズピースを用いて、天体望遠鏡に取り付けていますが、 厳密な光路長が要求される光学系を使う際には、 スターベースで販売されていた「M54ネジM42オスアダプター」を 介して、 ねじ込みで取り付けています。。


ST2000XMのダークノイズ

Kodak製のCCDチップは元々ノイズが多いようですが、 このST2000XMに使われているCCD素子はその中では比較的ノイズが少ないようです。

もちろん少ないと言っても、ノイズがきわめて少ないことで知られるSONY製チップを使ったBJ41Lとは比べものになりません。 下がST2000XMで撮影したダークノイズの画像です。マイナス25度で10分露出の画像になります。

dark noise

ST2000XMの内部

SBIG ST2000XMの内部 ST2000XMのネジ止めのカバーを外すと、内部は右写真のようになっています。 カメラ上部には、撮影用のメインCCDセンサーが位置していて、そのすぐ下側にガイド用の小さなチップが設置されています。

黒い羽の様なものは、シャッター板です。 SBIG製カメラはこのシャッター板があるのが特徴で、ダークフレーム撮影時にはこれがCCDを覆ってダーク画像を所得します。 ぺラッとした感触からすると、プラスチック製なのでしょう。

なお、私は結露を取るためにカバーを外しましたが、 CCDカメラ内部はゴムパッキンで密閉されているので、むやみに開けないほうが良いと思います。 もし開けた場合は、CCDセンサー上にゴミが乗ってしまわないよう、十分注意してください。


ST2000XMの消費電流

撮像素子を冷却させるために冷却機能が装備されているため、デジタル一眼レフカメラと比べるとどうしても消費電力が多くなってしまいます。 夜が短く気温が高い夏の夜なら、105Ahの容量があるディープサイクルバッテリーで2晩持ちますが、冬になると一晩がやっとというところです。 メーカーのカタログには最大消費電流が載っていませんでしたので、自分で電流計を使って調べてみました。 結果としては下の表の通りです。私のカメラの場合、最大で2A弱と言うところでしょうか(電源:バッテリーDC12V)。

カメラを起動して定常後 約0.69A ST2000XMの消費電流
冷却を開始した直後 約1.81A ST2000XMの消費電流
冷却能力70%で待機中 約1.37A ST2000XMの消費電流
冷却能力70%で撮影中 約1.56A ST2000XMの消費電流

このカメラの使用感

このカメラを購入後、作品の質が一段と上がり、数多くの天体写真を撮ってきました。 カメラに付属するソフトウェア使い勝手もよいので、撮影していてとても楽しいカメラです。 この冷却CCDカメラで撮った作品は、どれもがお気に入りの作品ばかりですが、 中でもコーン星雲アンドロメダ大星雲は 私の中でもお気に入りの一枚です。 今後はシンチレーションキャンセラーと呼ばれるAO7と組み合わせてNGC7331のような、比較的 小さな銀河などの天体を狙っていければと思っています。

ところで、ST2000XMの結露についてご質問をいただきますが、私は2005年の春にこのカメラ を買って以来、まだ結露したことはありません。 ですので乾燥剤の再生や交換も今のところ行っていません。 これは保管や使用に気を遣っているからかもしれません。保管は乾燥剤をたくさん入れた密封ケースで行い、 撮影地でのカメラ冷却も、5度ずつゆっくり冷却するなど使用には注意しています。 乾燥剤の再生は、なかなか大変のようですので、できればこのまま結露させずに使い続けたいと思っています。


ST2000XMカメラの乾燥剤の再生と交換

SBIG ST2000XMの内部 今まで乾燥剤を一度も再生することなく使用できていたSBIG製ST2000XMカメラですが、 2013年の夏、銀河を撮影した際、画面の端の方から結露が始まっていることに気づきました。 そのときは、冷却温度を上げて事なきを得ましたが、このままでは十分冷やして撮影することができません。 そこで、乾燥剤の再生を試みました。

SBIGのSTシリーズカメラの乾燥剤は、カメラの後ろ側に取り付けられています。 これを外して、ダミープラグを差込んだあと、乾燥プラグをオーブンに入れて1時間ほど加熱しつづけました。 右上がその様子ですが、乾燥プラグをアルミホイルで包み込むようにして、熱しました。 1時間後、冷えてから再生した乾燥プラグを冷却CCDカメラに取り付け、 カメラを冷却してみたところ、結露は出なくなっていました。

しばらくこの再生した乾燥剤で撮影をしていましたが、 ちょうどアメリカから商品を取り寄せるついでがあったので、 FarPoint製の「SBIG Replacement Desiccant Plug」を購入し、こちらに取り替えました。 このプラグを使うと、中身の乾燥剤だけを容易に交換することができるので、 撮影地で結露に気づいたときも対応することができます。 STシリーズカメラをお使いの方には便利なアイテムだと思います。

SBIG社 ST-2000XM冷却CCDカメラのスペック

ST2000XM冷却CCDカメラの仕様を以下に示します。

本体重さ 約1.0kg
CCDチップ Kodak KAI-2020M + TI TC-211
画素数 1600x1200(11.8x8.9mm)
ピクセルサイズ 7.4μx7.4μ
A/D変換 16ビット
画像転送 USB1.1,転送時間約5秒
フィルターホイール 別売り,CFW-8Aを使用
冷却能力 外気温から約マイナス35度
その他 ABG機能,ペリカンケース付属