天体写真の世界 > 撮影機材 > Astro-elesctronic社 モータードライブFS2

モータードライブFS2 駆動装置

モータードライブFS2はステッピングモーターの汎用駆動装置です。 精度が必要とされる赤道儀架台用のモータードライブで、ドイツのASTRO-ELECTRONIC社が開発販売を行っています。 国内ではユーザーが少ないようですが、海外では多くのユーザーが使用しています。

ヘラクレス赤道儀をステッピングモーターに改造する際、Orcaさんの勧めでこのFS2モータードライブをドイツから購入しました。 日本ではあまり知られていない駆動装置ですので、こちらに私が使った印象を織り交ぜながら、簡単にレビューを記載しています。 FS2購入検討時の参考になれば幸いです。 なおこのモーター換装に際しましてはOrcaさんに多大のご協力をいただきました。

モータードライブFS2


FS2モータードライブの外観

モータードライブ装置の外観は上の写真のとおりです。 写真に写っている2つのモーターは、日本のオリエンタルモーター製で、モータードライブとは別に購入したものです。 ドイツのFS2のホームページには、NJP赤道儀やEM200赤道儀、ロスマンディー赤道儀など用の赤緯・赤経モーターが発売されています。 取り付け金具が付いたセット品も用意されているので、こうしたものを利用すれば自分で改造するのも簡単ではないでしょうか。 なお、上の銀色のケースに入った本体と、その左のコントローラーがモータードライブ一式として届きました。

モータードライブFS2の端子 FS2モータードライブは、電源の仕様により3つのタイプに分かれています。 DC9VからDC15Vまでの電源が使える最も安価なモデルと、DC30Vまでの電源が使えるモデル、それに内部に昇圧回路が入ったモデルです。 私はDC30Vまで使用できるタイプを購入しました。 これは、購入する前に使っている方のアドバイスを伺ったところ、DC15Vまでのモデルだとステッピングモーターのトルクが得られず、 高速自動導入の速度が極めて遅くなると言うお話からです。 実際に使ってみてもDC12V前後の電源だと、自動導入速度が遅くて不便に感じました。 もしモータードライブFS2をこれから購入されるなら、DC30Vのタイプをお勧めします。

ハンドコントローラーはプラスチック製で、初めて見たときはチープな印象も受けました。 しかし実際に使ってみるとコントローラーは軽く、冬場でも冷たくなりません。 万が一コントローラーをアスファルトの地面に落としても、プラスチック製なので壊れることはないでしょう。 このコントローラーは、使う人の立場や場面に立って考えられて製造されているなと感じました。

コントローラーには、LED照明によるディスプレイといくつかのボタンが付いています。 ボタンのクリック感は適度にあり、使ってみると使い勝手がよいものです。 この辺りの無骨な機能重視のデザインは、ドイツ製だなという感じを受けました。

モータードライブ本体には、赤経と赤緯モーターへのケーブルを繋ぐ端子。コントローラーを繋ぐ端子。 それにエンコーダーとRS232Cを繋ぐ端子が、本体両側面に装備されています。 ここで注意しておきたいのは、オートガイダーの端子は標準で付いていないことです。 オートガイダーの端子はオプションとなるので注意しましょう。 オートガイド用端子は80ユーロほどですが、天体撮影を行う予定なら付けておきたいオプションです。 私ももちろんオプションで付けました。 なお、モータードライブ本体から出ている赤と黒の二本の線は電源に繋ぐケーブルです。 この辺りは電源に合わせて自分で加工するとよいでしょう。


モータードライブの機能

モータードライブFS2の内部回路 FS2モータードライブの特徴の一つに、ステッピングモーターへの最大電流値などの設定をハンドコントローラ上で行えるということがあります。 他の汎用モータードライブのように、ディップスイッチの変更やRAMを書き換えなどという作業は必要ありません。 ハンドコントローラーから設定を全て変更できるのは、このFS2の優れた点だと思います。

まずFS2の機能について見ていきましょう。 赤道儀用に開発されたモータードライブですから、電源を入れると赤経モーターが恒星時運動を始めます。 それからコントローラーのボタンを押すと赤道儀のモーターが高速駆動をはじめ、任意の方向に望遠鏡を向けることができます。 このボタンを押したときの速度は、5段階の速度の中から選ぶことができます。 5段階それぞれの速度は、自分で任意の値に変更することができます。 例えば最高速は恒星時の250倍速といった具合に、0.01倍の単位で追尾速度を設定することができます。

ビクセンスカイセンサー2000PCと同じように、このコントローラー単独で自動導入が可能です。 自動導入の仕方はスカイセンサーとほぼ同様で、まずは明るい恒星を選んでアライメントを行います。 次に、天体の名前やメシエ番号を選ぶと、自動導入が始まるという形です。 パソコンと接続しなくても主要な天体を導入できるので、観望会などでは大変便利な機能です。

恒星時追尾の速度は数種類の中から選ぶことができます。月追尾モード、太陽追尾モード、任意に速度を設定できる彗星追尾モード、 地球モード(モーターが停止します)、その他です。 恒星時追尾で月を拡大撮影していると視野から逃げてしまいますから、この中の月追尾モードは月撮影ファンにはありがたい昨日でしょう。 ちなみに、キングスレートで恒星時追尾を行いたい場合には、任意に速度を設定できる彗星追尾モードで対応できるようです。

その他には、ピリオディックモーション補正(PEC補正)機能も備わっています。 タイマー機能、省エネモード、らせん状移動による目標の捜索モード、ゲストモードというのもあります。 これらの機能についてはまだ使いこなせていませんが、世界中で使われているモータードライブだけあって、 様々な意見が取り入れられているのでしょう。


FS2モータードライブの設定

モータードライブFS2のコントローラー FS2は汎用のモータードライブ装置ですから、各社のステッピングモーターが使えるように、最大電流値などの各種設定ができるようになっています。 コントローラーのメニューから、モーターパラメーターのセットアップという画面を表示させると、その設定画面に移ります。 赤緯モーターと赤経モーターは、それぞれ単独で設定していきます。

具体的な設定項目としては、モーターに流すピーク電流量、駆動電流の波形(マイクロステップやハーフステップの選択)、 高速運転時のモーターの加速度、バックラッシュ量の設定・・・などがあります。 この中で最も注意しておきたいのは、モーターに流すピーク電流量です。 使用するステッピングモーターにより定格電流が変わってきますから、この項目を変更しておかないといけません。 定格電流値よりも大きな設定値にしていると、モーターが焼き付いてしまう可能性があります。
※FS2のホームページの解説によれば、そういった危険はないとのことです。

その他には、モーターと望遠鏡のギア比を正確に設定することが大切です。 ギア比とは、赤道儀の軸が一回転するのにモーターがどれだけ回るかという値のことで、 ヘラクレス赤道儀の場合には5850になりました。 これは使用する赤道儀とステッピングモーターによって変わってきますので、計算して求めなければなりません。

その他には加速度にも注意しましょう。加速度とはモーターを最大回転させるまでの加速係数のことで、 この値が大きいと一気にモーターの速度が最高速度になります。 使うモーターの種類によりますが、私の使ったオリエンタルモーター社のステッピングモーターの場合には、 この値を大きくすると脱調してしまいました。 自動導入時に上手くいかない場合には、この値を小さくするとよいでしょう。


使ってみた感想

モータードライブFS2 モータードライブFS2を使ってみてまず思ったのは、オリエンタルモーターと組み合わせてDC12Vで駆動すると、導入速度が遅く感じました。 この組み合わせでは、最大速度は恒星時の100倍がやっとです。 それもなんとか脱調しないで動くといった感じで、DC24Vで動かさないと自動導入の動きはもたついたものでした。 タカハシのTemma2赤道儀では、DC12Vでもそこそこの速度が出ていただけに、より遅く感じてしまいます。 この現象は、オリエンタルモーターとFS2との相性が大きな原因のようです。 FS2を新たに購入する際には、FS2が推奨するスイス製モーター等を使う方がよさそうです。

その他には、モータードライブFS2は電気を食うという印象があります。 12Vのディープサイクルバッテリーで動かしてみると、 今までは一晩終わっても余裕があった電源がほとんど空になっていました(カメラなどにも電気を供給しています)。 電源容量に限りがあるときには、省エネモードで駆動した方がよいのかもしれません。

自動導入速度は遅いですが、モーターの動き自体は反応も良くて満足しています。 恒星時追尾時の動きも滑らかで、64段階のマイクロステップの機能がこうした点に現れているのでしょう。 計算したところ駆動周波数は869ppsにもなります。 駆動周波数は高ければよいというものではないと思いますが、心理的には細かく動いているんだなという安心感があります。

コントローラーでの自動導入機能は便利で気に入っています。 このモータードライブFS2を選んだ理由の一つに、コマンドがミードのLX200互換のため、 TheSky6やアストロアーツ社のステラナビゲーターといった主要なソフトが使える点がありました。 実際にパソコンでリンクして使ってみると、使用感は良好で思ったとおりです。 具体的な方法としては、一度コントローラーを使ってアライメントした後、TheSky6にリンクします。 パソコンとリンクを行うと既に今の望遠鏡が向いている方向が表示されますので、ソフトウェア上で新たにアライメントを行う必要がありません。 こうした機能が便利かは人によって印象が変わると思いますが、私は快適に使用できています。

最後に、FS2の機能とは話がずれてしまいますが、モータードライブに使われているコードが寒くなってもしなやかで、断線しにくいのが気に入りました。 メーカー製の赤道儀の電源ケーブル等には、一般家電器具などに使われている細い電源ケーブルが標準で装備されています。 しかし望遠鏡は寒冷地で使うことが多いため、こうした細いケーブルだと断線の危険が伴います。 FS2のユーザー側に立った設計思想には学ぶことが多いです。 こうした使い易いコードやコントローラーが、日本製の赤道儀に標準装備されることを願っています。

追記:モータードライブFS2の購入は、ドイツのASTRO-ELECTRONICのWebサイト(こちら)から直接取引しました。 注文はメールで行い、私の場合はクレジットカード払いで決済しました。 メールのレスポンスは良く、商品も注文後2週間ほどで届きました。

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