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ステッピングモーターの動作原理と赤道儀

ステッピングモーターは、与えられたパルス信号によって決められた角度だけ高精度に回せるため、 精度が必要な赤道儀に広く用いられています。古くはパルスモーターとも呼ばれていて、赤道儀の電動化に 貢献したモーターです。そのステッピングモーターの動作原理についての備忘録です。


ステッピングモーターの特徴

ステッピングモーター ステッピングモーターは、デジタル信号で直接制御できるので、マイコンとの接続が容易で位置決め制御には 欠かせないモーターです。ステッピングモーターの長所としては、フィードバックが不要なので回路が単純化できること。 停止時に保持トルクがあること。メンテナンスがフリーであること。マイコンとの接続が容易なことが上げられます。

逆にステッピングモーターの短所としては、エネルギー効率が悪いこと。同期外れが起こりやすいこと。共振現象を起こす恐れが あることが上げられます。


ステッピングモーターの種類

ステッピングモーターは、トルクを発生する方法により、PM形、VR形、ハイブリッド型に分類されます。 それぞれモーター内のローターの形状が変わっており、必要なトルクに応じて選ぶ必要があります。以下に特徴を述べます。

PM形ステッピングモーター

円筒形をした永久磁石をローターとして用い、その外側にステーターを配置したタイプです。ステーターのコイルに電流を 流すとステーターに磁界が発生し、ローターとステーターの間に磁力による吸引力が働きます。これによってモーターは回転します。 ステップ角は90度もしくは45度です。

VR形ステッピングモーター

歯車状のローターが用いられており、ステーターの磁界により、磁気抵抗が最小になる位置までローターが回転します。 ステップ角度は0.9度、1.8度、3.6度などがあります。

ハイブリッド型

PM形とVR形を複合したのがハイブリッド型ステッピングモーターで、VR形と同じようにステップ角度を小さくすることができます。 駆動トルクも大きいので産業用として広く使われています。


ステッピングモーターの励磁方式

2相ステッピングモーターの励磁方式には、1相励磁、2相励磁、1-2相励磁があります。制御対象によって、 このステッピングモーターの励磁方式を適切に選ぶ必要があります。

1相励磁方式はコイルの1相を励磁する方式です。1ステップ辺りの角度精度がよく、消費電流が小さいというメリットがあります。 しかしモーター回転中の減衰振動が大きく、脱調などの同期外れを起こしやすくなります。

2相励磁方式は、コイルの2相を励磁する方式です。1相励磁方式と比べると約2倍のトルクを得ることができます。 減衰振動が小さく、広い範囲のパルスレートに応答します。広く用いられている励磁方式です。

1−2相励磁方式は、1相励磁と2相励磁を次々に切り替えて励磁を行う方式です。ステップ角度が細かくできるので、微細な 位置決めをすることができるのがメリットです。


ステッピングモーターの駆動回路

ステッピングモーターの駆動回路には、コイルに電流を流す方向によって、ユニポーラ駆動方式とバイポーラ駆動方式の2種類があります。 ユニポーラ駆動方式は単純で、回路も比較的簡単に作成することができますが、バイポーラ駆動方式の場合は回路が複雑になります。 しかしバイポーラ駆動方式は、ユニポーラ駆動方式の約2倍のトルクを得ることができるので、トルクが必要な赤道儀用モータードライブに よく用いられています。

ステッピングモーターにはPM形、VR形、ハイブリッド型などの種類がありますが、駆動回路の構成はモーターの相数によって決まるものです。 そのためステッピングモーターの種類には関係なく、コイルに磁界を発生する方式として前述のユニポーラとバイポーラ駆動方式の 二種類があります。

ユニポーラ駆動方式は、ステータコイルの中間と両端の間の内、どちらか一方だけに電流を流すことによって、磁界を切り替える方式です。

一方、バイポーラ駆動方式は、ステータコイルの中間点は使用せず、コイルの両端に加える電圧の正負を切り替えて、磁界を切り替える方式です。 ユニポーラ駆動方式に比べると2倍のトルクを発生させることができますが、接点数が多くなるので回路が複雑になります。


ステッピングモーターの高速運転

モータードライブ ステッピングモーターのパルスレートを上げて回転速度を上げていくと、モーターコイルのインピーダンスが大きくなり、電流が減少して トルクが小さくなってしまいます。本来、ステッピングモーターは高速回転に不向きなモーターですから、こうした用途にはDCモーターが 適しています。しかし場合によっては高速回転が必要なこともあり、その欠点を制御回路で補っています。

最も簡単な方法は、外部直列抵抗法と呼ばれるものです。モーターと直列に抵抗器を挿入し、ステッピングモーターの定格よりも 数倍電源電圧を使用して、高速回転時でも同じだけの電流を制御する方法です。簡単な回路でモーターの回転数を上げることができますが、 低回転時に問題が起こります。エネルギー損失が大きくなり、電源効率が悪くなってしまうのです。

もう一つは、定電流法と呼ばれる方法です。この方法ではモーターのコイルに流れる電流値を常にフィードバックし、基準電圧と比較することで 常に同じ値の電流を流すように制御する方式です。モーターの定格よりも数倍高い電源電圧が必要ですが、回転数が上がるばかりでなく、 電源効率も良くなるので省エネルギー化にも有効です。 このような方法を実現するスイッチング方式のステッピングモーター駆動回路は複雑になりますが、専用のドライバICを用いることで比較的 簡単に構成できるようになりました。

ところで、赤道儀のステッピングモーター駆動には、マイクロステップという方式がよく用いられています。 ステッピングモーターの最小ステップは、ステーターコイルのピッチによって決まってしまいます。これを細かくすれば位置決め精度は増しますが、 加工技術面から限界があります。マイクロステップ駆動は、モーターの1ステップに対する入力電流を階段状に細かく変化させて 微少な送りを実現する方式です。一般的には16分割マイクロステップ駆動が用いられますが、赤道儀用としては32分割のモータードライブも あります。ドイツ製モータードライブでは64分割のタイプさえあります。 ここまで来ると、ステッピングモーターは無振動でスムーズに回るはずです。

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