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タカハシε-180ED 天体望遠鏡の使用感と光軸調整

タカハシε-180ED望遠鏡を、2007年から天体撮影に愛用しています。 タカハシε-180EDは、F値が2.8と明るく、広視野が得られるので、淡く広がった星雲の撮影に適した望遠鏡です。

タカハシε-180ED

タカハシε-180EDの概要

タカハシε-180EDは、高橋製作所が製作している反射式天体望遠鏡の一つで、 写真撮影時の性能を追求したモデル(アストログラフ)です。

ε-180EDは、ニュートン式反射に補正レンズを加えた光学系(下記)ですが、 球面収差をより減らすため、主鏡にはニュートン式の放物面鏡ではなく、双曲面鏡が用いられています。

ε-180EDの補正レンズには、従来モデルの4群4枚構成とは異なり、 2群2枚構成で、凸レンズにEDレンズが採用された新設計のものが使用されています。 新設計のデジタル対応補正レンズは、デジタルカメラの撮像素子からの光が再反射するのを防ぐため、 カメラ側のレンズ面が緩やかな凸面になっています。

タカハシε-180EDの光学概略図

1984年にε-200が発売開始されて以来、高橋製作所はラインナップを広げ、口径の異なる望遠鏡をεシリーズとして販売していましたが、 イメージサークルの広い屈折望遠鏡に人気が集まり、惜しくも一旦生産終了になりました。 しかし、デジタルカメラと共にεシリーズが再注目され、新しいε鏡筒の生産が始まりました。

タカハシε-180EDは、デジタル時代になってから登場した機種で、2005年夏に発売が開始されました。 イメージサークルは44mmと、ε-160等に比べて若干狭くなりましたが、 光学系の明るさはF2.8を達成し、歴代のイプシロン望遠鏡の中でも最も明るくなっています。

タカハシε-180EDの外観

天体望遠鏡の外観は、ニュートン反射望遠鏡と似ていますが、口径が大きい割に鏡筒長が短いため、ずんくりした印象を受けます。 イプシロンカラーのイエローと相まって、部屋に立てて置いていると天体望遠鏡に見えないほどです。 なお、2011年11月に鏡筒の素材にカーボンが使われた、黒色のε-180EDが限定生産されました。

ε-180EDの斜鏡には、ニュートン式と同じく平面鏡が用いられているので、 光軸合わせは他の複合光学系と比べて容易ですが、口径比が2.8と非常に明るいので、 僅かな光軸ズレに敏感な鏡筒です。 ニュートン反射と同じ光軸調整機構が設けられているので、 反射望遠鏡の調整に慣れた人には、光軸調整のイメージがし易いのがせめてもの救いでしょう。

鏡筒のバランス

天体写真撮影での追尾エラーを少なくするには、鏡筒バンドの間隔をなるべく広くして、 鏡筒を支持するのが理想です。 しかし、ε-180ED望遠鏡は鏡筒長が短く、鏡筒の後ろ側にもファインダー台座があるため、 鏡筒バンドを締める幅に余裕がありません。

さらに、接眼部分に重いデジタルカメラを取り付けると、鏡筒の前側が極端に重くなってしまい、 赤緯側のバランスが取れないことがあります。 メーカーはバランス対策のため、支持幅が異なる2種類の鏡筒バンド用マッチプレートを販売しています。

タカハシε-180EDの鏡筒バンド

純正バンドを使用していた頃は、幅広プレートを自作して、 なるべく広い間隔で鏡筒を支持できるようにしていました。 しかし、支持間隔を広げ、ガイド鏡を上に載せられるようにカメラを下向きに取り付けると、 前後のバランスが崩れてしまいました。

バランス対策として、プレートの後部分を伸ばして、小さなウェイトを取り付けられるようにしました。 バランスウェイトは、前後にスライドできるようにしたので、 カメラの重さが変わっても、正確に鏡筒回り(赤緯方向)のバランスを取ることが出来ました。

ε-180EDを使用しはじめた頃は、純正バンドしか選択肢がありませんでしたが、 現在では、三基光学館やK-ASTECから、ε-180ED専用のバンドが販売されています。 支持幅を広げるため、後側のファインダー台座を取り外してから取り付けるバンドセットも登場し、 いくつかのタイプが販売されるようになりました。

タカハシε-180ED専用のK-Astec製鏡筒バンド

私は、2014年にK-Astec製のイプシロン180用バンドを購入し、 上の写真のように、鏡筒の後ろ側のファインダー台座を外して、望遠鏡を固定しています。

K-Astec製のバンドは真円度が高いので、タカハシ純正バンドよりもしっかりと鏡筒を固定できるようになりましたが、 締め付け過ぎると、鏡筒が歪み、光軸がずれるように感じています。 メーカーに確認したところ、鏡筒は真円ではないため、 こうした真円バンドを使用することによる圧迫の影響が考えられるというお話でした。

ε-180EDの接眼部とピント合わせ

タカハシε-180EDには、ドロチューブを前後に動かして合わせる、 ラック&ピニオン方式のピント合わせ装置が付けられています。

ドロチューブの支持には、滑り支持方法が採用されています。 接眼部を鏡筒から取り外してみると、ドロチューブ外筒の下側に2つの金属の研磨面、 上にデルリンの平棒が設置され、3方向から支持されているのがわかります。

ドロチューブの動きは、購入当初は大変スムーズで、ガタも感じられませんでしたが、 使用するにつれて動きが悪くなり、ガタも若干ですが大きくなったように感じています。 ドロチューブと接触する部分のグリスが劣化したためだと考えられます。

タカハシε-180EDの接眼部分

タカハシε-180EDの接眼部には、接眼部を回転させるためのレボルビング装置が取り付けられています。 レボルビング装置は、デジカメを取り付けたとき、写野を回転できるので便利ですが、 光軸を正確に合わせた後にレボルビングすると、若干ですが光軸(接眼部の直交)がずれてしまいました。 一度光軸をあわせた後は、あまり触らない方が良さそうです。

ε-180は、F値が2.8と非常に明るい光学系のため、ピント合わせはシビアです。 メーカーの取扱説明書には、ピントは、50μm(0.05mm)の精度で合わせるように書かれていますが、 冷却CCDカメラを使用するときは、もう少し細かく合わせる必要があると感じています。

ε-180の接眼部に取り付けられた合焦ハンドルは、1回転させると、約25mmドロチューブが前後します。 0.05mmの精度でドロチューブを動かしていこうと思えば、 約0.72度という角度でハンドルを操作させればならず、現実的ではありません。 そこで、接眼部の合焦ノブにMEF-1という減速装置を取り付け、ピントを合わせています。

ピント合わせ支援装置MEF-1

MEF-1は、1:10の減速装置が内蔵された微動ハンドルで便利なのですが、 重いデジタルカメラを取り付けると空回りする欠点があります。 その欠点を解消したMEF-3という装置が、タカハシから現在発売されています。 こちらは1:7の減速となりますが、空回りしづらいので使いやすくなりました。

私は、接眼部に取り付けたピントゲージの数値を目安にピントを合わせていますが、 ε-180EDユーザーには、フランジ型の電動フォーカサー「β-SGR」が人気です。 β-SGRは、タカハシが2010年4月に発売開始したセミオート電動フォーカサーで、ダイイチ株式会社が製造しています。

β-SGRは、フランジの大きさで2種類に分けられており、ε-180用は「β-SGR FL150」です。 フランジ径が大きく、汎用性もあるβ-SGR FL180と異なり、FL150はε-180ED専用ですが、 パソコン画面上でピントを追い込むことが出来ます。

なお、β-SGRを動作させるにはパソコンが必要です。 セミオートフォーカス動作をさせるには、β-SGRだけでなく、デジタルカメラもパソコンに接続し、 パソコンからシャッター動作する必要があります。

タカハシε-180EDの主鏡セル

ε-180EDに限らず、反射望遠鏡の主鏡は、自重で歪んだり、 温度変化や望遠鏡の向きによって変形するため、主鏡を収めるセルは重要な役目を担っています。

一般的に、主鏡が動かないようにきつく固定すると、ミラーが歪み、星像が悪くなってしまうため、 緩めに取り付けることが推奨されています。 しかし、ε-180EDのような撮影用望遠鏡の場合は、撮影中にミラーが動くと星が流れて写ってしまいます。

ε-180EDの主鏡セル

相反する問題に対処するため、ε-180EDの主鏡セルは、このクラスの望遠鏡にしては凝った構造をしています。 主鏡を置く底面には、コルクが貼られたミラー支持用のパッドが3箇所置かれ、 ミラーに歪みが出ないよう工夫されています。

また、主鏡の側面には、6箇所の側面支持パッドが設けられています。 主鏡の表側は、内側にコルクが貼られた、主鏡押さえリングでミラーを固定します。 主鏡の押さえリングは、主鏡の固定の他に、ミラーの最端部分のケラレを防ぐので、 輝星のゴーストがスッキリ丸く仕上がり、天体写真を綺麗に仕上げるという点でも有効に働いています。

立派な主鏡セルですが、各固定ネジの締め付けが強すぎると、ミラーは歪んでしまいます。 とは言っても、昔の天文書籍で紹介されているように、 「セルを振って、カタカタ音がする程度の締め付けがよい」では、ε-180EDの用途を考えると、緩すぎると感じています。

個人的に、主鏡セルに入ったミラーを裏側の窓からゴム手袋で触り、 回転方向にミラーを動かそうと力を入れると、抵抗を感じながらミラーが少し動く程度が、 締め付け度合いとして、ちょうど良いと思っています。

オフセットされた斜鏡

ε-180ED鏡筒を開口部から覗き込むと、斜鏡が接眼部と反対側にずらして取り付けられているに気づきます。 これは、主に写真撮影用のF値の明るいニュートン反射望遠鏡で採用されている方式で、 斜鏡のオフセットと呼ばれています。

ニュートン反射望遠鏡の光路図を書くとわかりやすいですが、斜鏡は斜めに取り付けられているため、 接眼部の奥側に行くほど主鏡に近くなります。 近くなるということは、主鏡の光束が太いということで、逆に斜鏡の手前部分は光束が細くなります。 主鏡からの光をもれなく接眼部に導くには、この光束が太い部分を見込んで、大きめの斜鏡を取り付ける必要があります。

F値の暗い鏡筒なら、主鏡が作り出す光束が細いので、オフセットしなくてもそれほど問題になりませんが、 ε-180EDのように、明るい鏡筒の場合は、光束が太いので支障が出てきます。

ε-180EDの主鏡セル

そこで、このような天体望遠鏡では、接眼部の反対側、斜め奥方向に斜鏡をずらして取り付けています。 このように斜鏡をずらして取り付けることを、「斜鏡のオフセット取り付け」と呼んでいます。 これにより、撮影画像の左右の光量がほぼ均等になります。

ε-180EDの斜鏡のセンターマークは、中心から約7.8ミリ外れた点に打たれています。 斜鏡を取り付けるスパイダーには、鏡筒の中心から約5.5mm偏心した位置に、引きネジの穴が開けられています。

ε-180EDの光軸調整機能

他の反射望遠鏡と同様に、タカハシε-180EDには、 主鏡と斜鏡の傾きと位置を調整するための光軸調整機構が取り付けられています。

斜鏡の光軸調整装置には、中央に引きネジ1本、その周りに3本の押しネジが取り付けられています。 一般的なニュートン反射望遠鏡と同じ構造ですが、 押しネジには、簡単には光軸がずれないよう(触れないよう)に、 ロックネジが付けられています。

タカハシε-180EDの外観

主鏡セルの光軸調整装置は、従来からある親子ネジタイプで、120度間隔で3箇所設けられています。 親子ネジは、押しネジの中心に穴が開いていて、その中心に引きネジが通っています。 位置が決まったら、親ネジに取り付けられているロックナットを締め、光軸がずれないように固定します。

主鏡セルの側面には、ラジアル方向(光軸と垂直方向)の位置決めのためのイモネジがねじ込まれています。 イモネジの位置は、親子ネジのちょうど外側です。

鏡筒のトップリングには、斜鏡を吊るスパイダーが取り付けられています。 スパイダーには厚みのある羽形状の製品が採用されており、 トップリングの外側から、ネジで引っ張り固定されています。 鏡筒内側のロックネジを緩めると、スパイダーの長さを調整することが出来ます。

ε-180EDの斜鏡の調整部分

タカハシε-180ED望遠鏡は、以前所有していたε-160望遠鏡に比べ、光軸がずれにくい構造をしています。 ε-160のスパイダーは、鏡筒の薄い筒部分に固定されていましたが、ε-180EDではトップリングに固定されています。

トップリングで補強されたこともあり、ε-180ED鏡筒はたわみやねじれに強く、 少しの振動では、光軸がずれにくくなっています。 実際、車でε-180EDを郊外まで運んで撮影を行っていますが、 振動対策を施していることもあり、光軸が大きくずれたことはありません。

しかし、タカハシε-180EDは、ε-160と比べ、F値が一段と明るくなっているので、 光軸がずれていると星像が著しく悪化すると感じています。 光軸調整アイピースで確認したときは光軸に問題ないように見えても、撮影すると光軸が若干ずれているのに気づくことがあります。 そのため、最終的に、光軸調整した後に星像をチェックしたり、 デジタル一眼レフカメラでテスト撮影したりして、光軸の良否を判断するようにしています。

主鏡と補正レンズ

ε-180EDの斜鏡は平面鏡ですので、主鏡の中心が光軸となります。 補正レンズの光軸は、この主鏡の中心とあわせることが大切です。

斜鏡を取り外し、補正レンズを主鏡の光軸上に置くと、下記のような光路図になります。 主鏡の中心軸と補正レンズ、カメラのセンサーの中心や傾きが一致していれば、 光軸が合っていることになります。

ε-180EDの光軸

上記のような撮影光学系は、一部の大口径反射望遠鏡では実際に採用されていますが、 カメラが光路を遮るので、斜鏡で主鏡で集めた光を90度曲げて、筒外に出すのが一般的です。 ただ、斜鏡を取り付けると、鏡筒の扱いはしやすくはなりますが、 斜鏡は自由に位置を変えられるため、光軸合わせが難しくなります。

ところで、ε-180EDの光軸調整は、補正レンズを外して実施しますが、 もし補正レンズに芯ズレがある場合は、主鏡と斜鏡の位置が合っていても光軸が合いません。 いくら調整しても合わないときは、一度、補正レンズを付けて、光軸をチェックしてみましょう。

ε-180EDの光軸調整方法

イプシロン180の光軸調整機構 ε180望遠鏡の光軸調整は、ニュートン反射望遠鏡と同じように行うことができます。

補正レンズを外して、そこに接眼アダプターをねじ込みます。 そして、タカハシのセンタリングアイピースを取り付け、 光軸が合っているかどうか確認しています。以下、私なりのε180の光軸調整の方法の概略です。

まずはじめは、斜鏡をセンタリングアイピース越しに見て、ミラーが接眼部の方向に向いているかどうかを確認します。 望遠鏡筒内が暗いとわかりづらいので、望遠鏡の筒先にはライトボックスを置き、斜鏡の後ろ側には白い紙を置いています。 それが確認できたら、斜鏡のセンタリングマークと十字線が重なるように、斜鏡の前後の位置を調整します。 調整ネジを回すと回転方向にもずれるので、繰り返し調整するイメージです。

次に斜鏡の傾きを調整しますが、その前に主鏡の中心と、鏡筒の中心を合わせておきます。 私は、主鏡をセルから外したときに、ミラー裏側にもセンターマークを打っています(下画像参照)。 そのマークを目印にして、鏡筒側面に設置されたラジアル方向の調整ネジを回して、 主鏡のセンターと鏡筒のセンターを合わせます。

ε-180EDのミラー裏側のセンターマーク

斜鏡の傾きは、接眼部にレーザーコリメーターを取り付け、そこから照射されるレーザーを参考にして調整しています。 センタリングアイピースとチューブでも調整できますが、こちらの方が見やすいので、この方法を採用しています。

接眼部からレーザーを照射すると、斜鏡に当たったレーザーが90度曲げられて、主鏡上に赤い点を作ります。 この点が主鏡のセンターマークの真ん中に当たっているかを確認します。

主鏡のセンターマーク中央からずれているときは、斜鏡の傾きを調整して、レーザーが主鏡の中央に当たるように調整します。 上手く傾きを調整できたら、レーザーコリメーターを外して、センタリングアイピースを接眼部に取り付け、 斜鏡が回転方向にずれていないかどうかを確認します。 回転方向にずれていたら、斜鏡の向きを調整してから傾きを調整します。 この調整は、何度か繰り返す必要があります。

イプシロン180の主鏡の光軸調整 斜鏡の傾きと回転の調整が終わったら、次に主鏡の傾き調整を行います。 接眼部に取り付けたセンタリングアイピースを覗いて、主鏡のセンターマークが中心からずれていないかどうかを確認します。

センターマークがずれていたら、主鏡の傾き調整ネジを使って、 主鏡の傾きを変えてセンターマークが中心に来るように調整します。

主鏡の調整作業は、反射光が見えるタイプのレーザーコリメーターでも行うことができます。 レーザーコリメーターを使う場合は、主鏡に当たって戻ってきたレーザーが、 レーザーの照射点にしっかりと戻るように調整します。
※レーザーコリメーターは、光軸が調整された信頼おける製品をお勧めします。

ε180望遠鏡の光軸調整が終わったら、最後は以下の実写テストで光軸が十分追い込めているかを確認しています。 それを以下で紹介します。

光軸調整の最終チェック

ε180ED望遠鏡は、F値が2.8と非常に明るいため、僅かな光軸ズレにも敏感です。 上記の作業を入念に行っても、撮影すると、星像がイビツになっていることに気づくことがあります。 この僅かなズレは、タカハシから販売されている光軸調整ツールでは確認できないほどなので、 これが原因でε180の光軸調整に悩むことも少なくありません。

私のε180では、光軸が僅かにずれている状態のままデジタル一眼レフカメラで撮影すると、 微恒星が完全な円形ではなく少し伸びたように写ります。 はじめはスケアリング(平面性)の問題かと思いましたが、画面の端だけではなく中央部分でも起こるので光軸不良と判断しました。 と言ってもほんの僅かな量なので、プリントしてもそれほど気になりませんが、モニターで拡大すると気になることがあります。

この光軸のズレは、私の場合は斜鏡の回転方向のズレで生じることが多いようです。 その証拠に望遠鏡のピントをずらして撮影すると、撮影した画像の右側と左側でボケ方がずれてきます(画像の上が天の北極方向の時)。 これを判断材料にして、少しだけ斜鏡を回転させます。 回転させると斜鏡の傾きがずれるので、レーザーコリメーターを使ってそれを修正しています。

この修正を行うと、ほぼ画面全面でシャープな像が得られます。 撮影方向によっては、接眼部のスケアリングがずれたり、鏡筒自体が撓んで画面の一部の端で星像が崩れることがありますが、 この点については、どうしようもありませんので妥協しています。 以下に光軸調整後のε180とフルサイズ冷却CCDカメラで撮影したピクセル等倍画像を載せました。 星像チェックの参考にしていただければ幸いです。
※下の画像をクリックすると大きな画面が開きます。

ε180の星像

ε180ピクセル等倍の星像
撮影機材:タカハシε180,STL-11000M

Autocollimatorを使った光軸調整

Catseyeの光軸調整ツール ε180の光軸調整では上記のように光軸調整ツールで調整した後、高倍率目視か実写によって光軸の良否を確認してきました。 しかしこれは夜晴れて星が見えていないと調整できませんし、調整の度にε180望遠鏡を赤道儀に載せたり下ろしたりするので結構大変です。 そこで、Autocollimator(オートコリメーター)を購入して調整することにしました。

Autocollimatorとは、タカハシのセンタリングアイピースのような形状をしている光軸調整アイピースで、 アイピースの裏側が鏡になっています(右写真参照)。

商品名から想像すると、まるでツールが自動で光軸調整をしてくれそうな雰囲気ですが、 残念ながらそんな機能は全くなく、自分で調整する必要があります。 しかしAutocollimatorの裏側が鏡になっているので、その鏡に当たった光が望遠鏡の光路間を何度も往復し、 それの反射像を確認して光軸を合わせるので、より正確に光軸を合わせられるようになっています。

使い方自体は簡単で、接眼部にAutocollimatorを差し込んで覗くだけです。 ただ、主鏡マークが目立たないと反射してきた像が見づらいので、目立つ主鏡マークに変更しておく方がよいでしょう。 私の使っているのは、CatsEyeのAutocollimatorですが、このメーカーからは蛍光色の主鏡マークが提供されています。

Autocollimatorを使用すると、僅かな光軸の誤差でもわかります。 私の望遠鏡を例にすると、主鏡に貼ってある黄色いセンターマークが4重に見えますので、 それが全て重なるように斜鏡や主鏡の傾きを調整します。

ε-180の光軸修正中の画像>

オートコリメーターの様子。主鏡のマークが若干ずれているのがわかる

しかしこの調整が微妙ですので、慎重に行わないと、せっかく合わした光軸を大きくずらしてしまうことにもなりかねません。 元々ε180望遠鏡の光軸調整機能(斜鏡の傾き調整ネジ等)は、そんなに細かい動きができるようには作られていませんので、 少しネジを回しただけでも、Autocollimatorの中ではマークが視界から外れるほど光軸がずれてしまいます。 ですので、完璧な調整は諦め、主鏡のマークがほぼ一致したところでよしとしています。

ε-180の光軸修正用2インチホルダー なお、私の使っているのはCatseyeのAutocollimatorですが、これは2インチモデルのみとなっています。 ですので、ε180に標準で付属する接眼アダプターには差し込めません。

以前は、オートコリメーターを接眼部に手で押しつけて使っていましたが、 ほしぞら工房さんに、光軸調整用の2インチホルダー(右上写真)を作ってもらって以来、 快適に使用できるようになりました。

ε-180用のツールをご検討でしたら、Astrosystems社から1.25インチモデルが発売されています。 タカハシの光軸調整ツールも便利ですが、是非日本の望遠鏡メーカーからも、 明るい望遠鏡の光軸調整用にAutocollimatorを発売して欲しいものです。

ところでAutocollimatorの効果的な使い方については、海外のフォーラムを中心にしていろいろと議論されているようです。 私もまだまだ勉強不足なので、Autocollimatorを使いこなしていると言うにはほど遠いですが、 Autocollimatorを覗いたときの視界の様子を、 オートコリメーターの使い方ページにまとめました。 この記事が何かの参考になれば幸いです。

ε-180EDはシビアな鏡筒

ε-180EDが発売されたのは2005年です。 当時、F値の明るい反射鏡筒が注目されていたこともあり、 護摩壇天体写真友の会のメンバーの一人が、発売後すぐにε-180EDを購入しましたが、 光軸不良に悩まれていました。

何度かメーカーにも調整に出されたようですが、結局、満足する星像は得られず、 そのことも切っ掛けになったのか、直焦点撮影を辞めてしまわれました。 ほぼ同時期にε-180EDを購入した方もε-180EDを手放し、FSQ106EDに乗り換えました。

2005年頃のデジタル撮影機材のセンサーサイズは小さく、 APS-Cやフォーサーズサイズの撮像素子が採用されたデジカメでの撮影が主流でした。 それでも満足する星像が得られなかったのですから、 現在の製造技術や、光軸調整の知識を持ってしても、35ミリフルサイズ全面となれば、 調整がなかなか難しいことが想像できます。

2005年に高橋製作所がイプシロンの再生産を開始した際、 反射望遠鏡で最も明るい口径比「f/2.8」は、大きなニュースになりましたが、 ユーザーが楽しく天体撮影に使用するには、少々シビアな光学系に感じています。 また、短径80ミリという大きな斜鏡の影響で中央遮蔽が大きいのも、 解像度の点からは、マイナスに働いていると感じています。

上記のことを考えると、イプシロンシリーズの明るさは、ε-160のF3.3から、 ε-200のF4程度が、デジタル撮影で使いやすいと思います。 2013年に発売開始されたε-130Dは、F3.3ですので、ε-180に比べて光軸調整もし易く、 天体撮影を楽しめる鏡筒ではないでしょうか。

歴代のイプシロンシリーズのスペック表

鏡筒名 生産開始年 口径 焦点距離 口径比 重さ
ε-130 1984年 130mm 430mm 3.3 5.5kg
ε-130D 2013年 130mm 430mm 3.3 4.9kg
ε-160 1984年 160mm 530mm 3.3 7.6kg
ε-180ED 2005年 180mm 500mm 2.8 10.7kg
ε-200 1984年 200mm 800mm 4.0 13.5kg
ε-210C 1993年 210mm 628mm 3.0 10.4kg
ε-210 1996年 210mm 628mm 3.0 15.3kg
ε-250 1987年 250mm 854mm 3.4 32.0kg
ε-250C 1992年 250mm 854mm 3.4 18.9kg
ε-300 1985年 300mm 1130mm 3.8 45.0kg
ε-350 1997年 350mm 1248mm 3.6 66.0kg

ヘリサートで主鏡セル固定部分を補強

ε-180の修理と改造 ε180EDの主鏡セルは、清掃のために鏡筒から度々取り外します。 この主鏡セルは、光軸調整を兼ねた3本のネジで鏡筒下部リングに止められていますが、 私の使っているタカハシε-180EDは、この3本のネジの雌ねじのネジ山が崩れ、ネジの締め付けが緩くなっていました。

この3本のネジの締め付けが弱いと、主鏡が垂れ下がってしまって光軸がずれてしまいます。 今まではなんとか持ちこたえてきましたが、今回清掃したときに雄ネジが空回りすることに気付き、修理することにしました。 最初は、メーカーから下部リングを取り寄せて部品交換で済ませようと思いましたが、 今後のことも考えて、自分でヘリサート加工を施して、ネジを補強することにしました。

ヘリサートは、スプリュー、リコイルとも呼ばれている金具で、メスネジの補強に使われるものです。 見た目はバネのような形をしていて、これを専用タップで切ったねじ穴に埋め込むことで、 メスネジに通常以上の強度と精度を持たせることが出来ます。 バイクなどの補修によく使われていますので、ご存じの方も多いかもしれません。

ε-180主鏡の光軸調整用の子ネジは、M6-1.0規格になっています。 そこで、まずは6.3ミリのドリルを使用して、ねじ山がバカになったメスネジ穴を広げます。 それから専用タップでヘリサートを埋め込むためのネジピッチを切り、 専用工具を使ってヘリサートを埋め込みました。

思ったよりも大変な加工でしたが、このお陰で、主鏡セルをしっかりと保持できるようになりました。 今後は清掃のために主鏡セルを安心して取り外しできそうです。 取り付け取り外しが多い部分ですので、最初からこうしたスプリューをメーカーの方で埋め込んでくれていると助かりますね。

乾燥空気で夜露防止

ε-180の夜露対策 晴れた夜、星空撮影を楽しんでいると、いつのまにか主鏡や斜鏡に夜露が付着し、 ミラーが結露して曇ってしまうことがあります。 結露すると像はぼやけてしまい、星々を鮮明に写し出すことができなくなります。

屈折望遠鏡を使用するときは、レンズ部分にヒーターを巻くなどして対応していますが、 反射望遠鏡の場合はミラーが大きく、また斜鏡もあるためヒーターは現実的ではありません。 そこで、乾燥空気を天体望遠鏡内に吸入できるように、鏡筒を加工しました。

右上は、乾燥空気を吸入する部分の写真です。 ファンダーの台座を外した穴に、90度の角度を持つ「直角ニップル」をネジで固定し、 このニップルに金魚用のチューブを取り付け、乾燥空気を筒内に送風しています。 なお、乾燥空気自体は、乾燥空気送付装置の製作ページでご紹介している装置を使って作成しています。

以前は、鏡筒底部から乾燥空気を送風していたのですが、 ε-180の場合はセルの構造のためか、 MT-200と比べて乾燥空気が鏡筒の先まで上手く流れませんでした。 この方式に変更してからは、湿度が高い夜でも斜鏡が曇ることがなく、 快適に撮影を楽しめています。

電動フォーカサー β-SGR取付と光軸調整

β-sgrと直交 接眼部に取り付けているダイヤルゲージの小さな目盛を確認するのが辛くなってきたので、 ε-180EDの接眼部に、ダイイチ株式会社が製造している電動フォーカサー「β−SGR」を取り付けました。

β-SGRはフランジ型の電動フォーカサーです。 パソコンとβ-SGRのコントローラーUSBケーブルを繋いで、ソフトウェアでピント位置を操作します。 Mewlon-250CRSのFocus Infinityのコントローラーには、フォーカスを位置を変えるボタンがありますが、 β-SGRにはボタンがありません。そのため、スタンドアロンでは動かすことができず、パソコンが必須です。

β-sgrのソフトウェアは多機能で、使い勝手がよいのですが、連続撮影アプリケーションを快適に動作させるには、 パソコンにある程度のマシンパワーが必要と感じています。 遠征の際に使用している小型のラップトップパソコンでは、動作が遅く感じられました。

ε-180EDにβ-SGRを取り付ける際は、既存の接眼部を外して、β-SGRをねじ込み、 補正レンズは電動フォーカサーのフランジ内にねじ込む形になります。 β-sgrは精度良く作られていますが、交換した後、試写すると光軸ズレが気になりました。

検証した結果、β-SGRと交換したことによって、接眼部と鏡筒の直交が僅かにずれてしまったようです。 そこで、接眼部のベース部分に、右上写真のように、0.3mm厚のアルミ板をはさんで接眼部の傾きを調整したところ、 接眼部の中心軸と鏡筒中心が合うようになりました。

β-SGRは重いので、接眼部のスケアリング作業のついでに、 MT-200望遠鏡でも実施したように、厚さ1ミリのアルミ板を使って接眼部を裏打ち補強しました。 補強完了後、スパイダー、斜鏡、主鏡全体の光軸を見直したところ、星像が改善しました。 今後は電動フォーカーサーを使って、快適にピント合わせができそうです。

乾燥空気送付用ニップル
4mm直角ニップル (3φチューブ用)

タカハシε-180EDの夜露対策として、乾燥空気の送風に使用している直角ニップルです。 通常のニップルと比べて、90度の角度がつけられているので、 乾燥空気を送るチューブを鏡筒にはわせることができ、便利に感じています。

なお、乾燥空気を送るチューブには、熱帯魚用の黒色のチューブを用いています。 透明のチューブを用いると、撮影中に迷光が入ってしまう場合があるので、 天体撮影の夜露対策には黒色の方が向いていると思います。

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タカハシε-180EDのスペック

タカハシε-180ED望遠鏡の仕様を以下に示します。

名称 ε-180ED
有効口径 180mm
焦点距離 500mm
口径比 1:2.8
斜鏡短径 80mm
補正レンズ 2群2枚(EDレンズ1枚)
イメージサークル φ44mm
鏡筒径 232mm
鏡筒全長 570mm
重量 10.7kg
発売開始 2005年7月
価格 399,000円(発売開始時)

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