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ユニテックSWAT-350

ユニテック社のSWAT-350は、2013年末に発売が開始されたポータブル赤道儀です。 SWAT-350には、大きなウォームホイルや贅沢なベアリングレイアウトが採用され、 高い追尾精度と剛性を追及したモデルになっています。

他のポータブル赤道儀と比較すると、大きく重いSWAT-350ですが、 その強度と追尾精度の高さから、天体写真のハイアマチュアを中心に高い評価を得ています。 このページでは、SWAT-350を実際に使った印象をまとめました。

SWAT-350の概要

ユニテックSWAT-350本体 ユニテックSWAT-350は、他のポータブル赤道儀同様、赤緯軸が除かれた一軸型の赤道儀です。 赤道儀の機構部分に、直径106mm、歯数210枚の大型のウォームホイールを採用して、 高精度を狙ったポータブル赤道儀です。

同社のSWAT-200にも十分大きなウォームホイルが用いられていましたが、 SWAT-350はそれを25%も大型化しています。 ポータブル赤道儀にこれほど大きなウォームホイルが用いられるのは珍しく、 ピリオディックエラー量は±7秒前後と、中型赤道儀並みの追尾精度を実現しています。

極軸の支持には、大口径のベアリングが2個用いられています。 大型赤道儀と同じ凝ったベアリングレイアウトが採用されたお陰で、 極軸やウォームホイールには、搭載した機材の加重がかかりにくくなっており、 搭載可能重量は15kg(プレート等、搭載のためのすべての重量を含める)を達成しています。

ポータブル赤道儀の中で最大の強度と最高の追尾精度を目指した機種だけあって、本体は大きく、 重量も2キロを超えています。 強度や重量を考えると、ポータブル赤道儀というよりも、 分解して持ち運びできる高精度の小型赤道儀という印象を受けます。

SWAT-350用のオプションは豊富で、極軸望遠鏡やドイツ式赤緯ユニット、 オートガイダー対応のコントローラーなどが用意されています。 赤道儀の強度の高さを生かして、フォーク式マウントを使って、望遠鏡で撮影を楽しむユーザーもいます。 ユーザーが目的に合わせてアレンジして使えるのが、この機種の魅力の一つと言えます。

SWAT-350とSWAT-200の大きさ比較画像

SWAT-200と比較すると、SWAT-350の方が一回り大きい

SWAT-350の機能

SWAT-350本体正面には、モード切り替えツマミが設けられています。 電源スイッチはなく、電源プラグを本体につなぐと本体横の電源ランプが点灯し、 選択されたモードで赤道儀のモーターが駆動開始します。

動作モードとして、恒星時のほか、太陽時、月時、0.66倍速、0.5倍速、東西各16倍速が設定可能です。 (恒星時追尾速度には、キングスレートが使用されています)。 SWAT-350本体側面には、モードインジケーターが装備され、 3色に変わるLEDの色と点灯、点滅によって、動作モードを確認することが出来ます。

SWAT-350の電源用として、単3電池6本が入る電池ボックスが付属しています。 私はエネループ電池を主に使用するので、電池ボックスを単3電池8本入るものに交換して使用しています。 推奨の電源電圧はDC9Vですが、DC6V〜12Vの範囲なら問題なく駆動するようです。 電池の持ちですが、単三エネループ8本で使用した場合、冬場でも一晩中恒星時追尾で撮影することができました。

その他、SWAT350本体には、順転、逆転各16倍速の白いスイッチが設けられています。 その横には、オプションのリモートコントローラー RC-01(オートガイド対応)を取り付けるコネクターも設けられています。 電源ランプと北半球/南半球のモード切り替えスイッチは、本体側面にあります。

SWAT-350のフロントパネル

SWAT-350のフロントパネル。左のツマミを回すと動作モードを変更できる

SWAT-350を実際に使用した印象

SWAT-350の重量は2.4キロもあるため、手に持つとずっしりと重く、 カメラバックに入れて、肩から提げて長時間持ち運ぶには少々辛く感じます。

ターンテーブルの回転は滑らかです。 SWAT-200と比較すると少し粘りがある動きですが、F値の明るい望遠レンズなどを載せるには、 ほどよいテンションが掛かかるので使いやすく感じます。 搭載重量に余裕がある機材なので、重量がある機材を載せることを前提に設計されているのでしょう。

SWAT-350本体の動作モード切替ツマミは、SWAT-200のノブに比べて回しやすく、 手袋をした指でも操作しやすいです。 本体側面のモードインジケーターは、暗闇でも撮影モードを確認することができ、モードの切り替えミスをなくすことができました。

ポータブル赤道儀で最高の強度を狙ったモデルだけあって、 重量のある大口径望遠レンズとデジタル一眼レフカメラを載せても、星を正確に追尾してくれます。 追尾精度も良好で、150ミリ前後の望遠レンズなら、ノータッチガイドで星空撮影を楽しめます。

搭載可能重量に余裕があるので、純正オプションパーツやアルカスイス規格のパーツを使用して、 赤緯軸を追加してドイツ式にしたり、フォーク式ユニットを追加するなどして、 ユーザーの目的合ったアレンジを楽しむことが出来ます。

SWAT-350のアレンジ

ダブル雲台ベースとアルカスイス規格の回転雲台を使って
ドイツ式にして撮影を楽しんでいる

SWAT-350の精度

SWAT-350で実際に星空撮影を行い、追尾精度を確認してみました。 下は、フルサイズのデジタル一眼レフカメラと焦点距離180ミリの望遠レンズをSWAT-350に載せて、 露出時間240秒で撮影した画像です。 全体画像と中央部のピクセル等倍画像を掲載しました。
※画像処理前の写真です。

SWAT-350で撮影した夏の星雲写真

ピクセル等倍画像

焦点距離180ミリの撮影ですが、ピクセル等倍画像を確認しても、星は真円を保っています。 なお、撮影時は、オプションで用意されている電子極軸望遠鏡「ポールマスターSWAT」を使用して、 正確に極軸を合わせてから撮影しています。

今回の撮影に使用したのは、中望遠レンズとしては、 大きく重いシグマのマクロレンズ「APO MACRO 180mm F2.8 EX DG OS HSM」ですが、 搭載重量に余裕があるので、追尾に問題はありませんでした。 下に、上の画像を処理した後の写真を参考までに掲載します。

M8とM20

夏の人気天体の一つ「干潟星雲と三裂星雲」
SWAT-350と望遠レンズなら、赤道儀任せで撮影できるのが嬉しい

SWAT-350のピリオディックモーション

ピリオディックモーションは、赤道儀が回転する際に生じる進み遅れのエラーの量です。 この量が少ないほど高精度の赤道儀と考えられ、赤道儀の追尾精度を確認する目安になっています。

SWAT-350はポータブル赤道儀ですが、直径106mmという大きなウォームホイルを用いて高精度を狙った天文機材です。 そこで、天体望遠鏡を使って、SWAT-350赤道儀のピリオディックモーションを測定してみました。

PEモーションの測定は、極軸をずらした後に実際の恒星を撮影して、そのエラー量を調べる実測法で行いました。 撮影には、BORG76ED天体望遠鏡と小型CCDカメラを使用しました。

SWAT-350のピリオディックモーション

上が撮影した画像です。露光時間は600秒で撮影しました。 左の矢印の間隔が約10秒ですので、これと比べると、 私が使用しているSWAT-350赤道儀のピリオディックモーションは、±5〜6秒前後と読み取れます。 回転の軌跡も滑らかで、精度の高い部品が用いられていることが感じられます。

SWAT-350の極軸望遠鏡

どれほど追尾精度の高い赤道儀でも、極軸が合っていないと、星を正確に追尾することが出来ません。 特にSWAT-350を購入するユーザーは、高い追尾精度を求めていると思いますので、 素通し穴ではなく、オプションで用意されている極軸あわせツールを使用した方がよいでしょう。

ユニテックSWAT-350には、光学式の極軸望遠鏡と、 電子極軸望遠鏡Pole Masterを用いた「ポールマスターSWAT」を使用することが出来ます。

SWAT-350の極軸望遠鏡

極軸望遠鏡は、SWAT-350の背面に設けられたネジ穴に極軸望遠鏡のステーをねじ込み、固定して使用します。 簡単に取り付け取り外しが出来るので、手軽で便利ですが、 極軸望遠鏡と回転軸の平行が出ているかが若干気になります。

一方、ポールマスターSWATは、操作にパソコンが必要になってしまいますが、 実際に回転軸を回して極軸を追い込んでいくので、より正確に極軸をあわせることが出来きます。

星空撮影時に、光学式と電子式の極軸望遠鏡を使って比べてみたところ、電子式の方が、より正確に星を追尾することが出来ました。 200ミリ以上の望遠レンズを使って、長時間にわたって撮影を行う場合は、 ポールマスターSWATを使って合わせておいた方が、安心して撮影を楽しめると思います。

SWAT-350とドイツ式小型赤道儀の比較

強度と追尾精度に優れているため、ポータブル赤道儀のカテゴリで、SWAT-350のライバルになる機種は、 ほとんどありません。 そこで、星野撮影によく使用されている小型のドイツ式赤道儀と比較してみました。

SWAT-350 ビクセンAP-SM タカハシPM-1
最大搭載重量 15キロ※1 6キロ 5キロ
極軸望遠鏡 オプション設定 オプション設定 内蔵(倍率9倍)
追尾精度 ±7秒角前後 メーカー公表無※2 メーカー公表無
赤緯軸 オプション設定 付属(全周微動) 付属(全周微動)
極軸微動装置 オプション設定 極軸体と一体 極軸体と一体
ユニット拡張性 純正品を含め
市販品を使った拡張が容易
純正パーツが基本
モジュールパーツで拡張可能
純正パーツにフォークユニットあり
電源 単三電池6本
Ni-MH充電池、Ni-Cd充電池対応
単三電池4本
USBバッテリー使用可能
単三電池4本
外部電源用入力端子有
赤道儀用の三脚 カメラ三脚使用可
※3
純正オプション
APP-TL130三脚
純正オプション
Sメタル三脚
本体重量 2.4キロ 3.9キロ 5キロ
価格 \132,000 \130,000 \214,000

※1 プレート等、ターンテーブルに乗せるすべての重量を含めての数値
※2 実測±12秒程度
※3 極軸微動マウントを介して固定

小型赤道儀は、極軸を合わせるための微動装置や、赤緯体が付属しているため、 新たにオプション品を購入する必要がないのがメリットですが、それが赤道儀本体の大型化に繋がっており、 カメラバックに入れるには少々大きすぎます。

また、重さ自体もSWAT-350の方が軽く、市販のアルカスイス規格パーツを組み合わせたり、 赤道儀の脚にカメラ三脚を使用できるという点で、拡張性の点でSWAT-350の方が優れています。

個人的には、自家用車で撮影に出かけ、車のすぐ側で星空撮影を行うときは、 小型赤道儀でも重さや大きさは気になりません。 しかし、車から離れた場所で撮影する場合や、航空機をはじめとした公共交通機関を使って星空撮影に出かけるときは、 ユニットを分解して運搬できる、SWAT-350が便利に感じています。

SWAT-350のボディと満足感

SWAT-350の本体には、天体撮影機器には珍しく、アルミ合金から削り出したボディが採用されています。 実際、SWAT-350を手に取ると、緻密な作業によって製作された工業品という印象を受け、 精度の良さが感じられる造りになっています。

他のポータブル赤道儀と比べると、SWAT-350の価格は高めですが、ユーザーの満足度は高く、 発売開始以降、着実にユーザー数は増えています。 強度や追尾精度ももちろんですが、赤道儀本体の造りの良さも、ユーザーに評価されているのでしょう。

また、メーカーのWebサイトのブログで新しい情報が発信される点も、 ユーザーとして嬉しいポイントです。 他のSWATユーザーの作例写真も掲載されるので、SWAT-350を使用する際のポイントや、 撮影機材選びの参考になります。

まとめ

実際に望遠レンズを使った天体撮影に使用してみて、ユニテックSWAT-350は、 強度が高く、追尾精度も高いポータブル赤道儀だと感じました。

強度を高く設計した分、本体は大きく重くなっていますが、同程度の強度を持つドイツ式赤道儀と比べればコンパクトで、 大きめのカメラバックに入れることもできます。 南半球など海外で星空撮影するときにも便利でしょう。

私は純正オプションを使い、ドイツ式にして使っていますが、 アルカスイス規格のプレートを使ってフォーク式にアレンジして使っている方もいます。 搭載重量に余裕のある点を生かし、 ユーザーのアイデア次第で赤緯部分をアレンジして使うのも楽しい赤道儀だと感じました。

ポータブル赤道儀と言えば、50ミリ〜100ミリ前後のレンズで撮影を楽しむ機器というイメージを持っていましたが、 SWAT-350を使ってみて、ポータブル赤道儀への見方が変わりました。 実際、口径10センチ前後のBORG望遠鏡を載せて、撮影を楽しんでいる方もいます。 SWAT-350の登場をきっかけに、従来の考えに囚われない天体撮影機器が、今後、生まれてくるかもしれません。

ユニテックSWAT-350赤道儀のスペック

ユニテックSWAT-350赤道儀の仕様を以下に示します。

名称 SWAT-350
動作モード 恒星時、太陽・月時、2倍速、0.66倍速、0.5倍速、西東行16倍速
北半球・南半球対応
搭載重量 約15kg
極軸径 直径40mm、アルミ合金製
ウォームホイル 直径106mm、歯数210枚、ジュラルミン製
電源 電池ボックス付属、DC6V〜DC12V
大きさ 181mmX118mmX92mm
本体重さ 約2.4kg
価格 132,000円(税別)

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