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シグマ 20mm F1.4 DG HSM レビュー

シグマ 20mm F1.4 DG HSMレンズ シグマ 20mm F1.4 DG HSMは、2015年11月に発売開始された、シグマの明るい超広角レンズです。

シグマ20mmF1.4DGHSMは、シグマが販売している3つのプロダクトラインの中で、 最高光学性能が与えられた「Artシリーズ(アーティスティックライン)」に属するレンズです。 Artシリーズのレンズは、登場以来、評価が高く、星空の撮影にもよく使われています。

シグマのArtシリーズには贅沢な光学設計が取り入れられたため、 昔の「手頃な価格帯のサードパーティ製レンズ」というイメージはなくなり、価格も上がってしまいました。 このシグマ20mmF1.4DGHSMも実勢価格が12万円前後と、大変高価なレンズとなっています。


シグマ 20mm F1.4 DG HSMの概要

シグマ20mmF1.4DGHSMは、開放F値がF1.4と、非常に明るい超広角レンズです。 超広角レンズで開放F値が1.4というスペックのレンズは、他社からは販売されておらず、 シグマのメーカーサイトでも「世界初、開放F値1.4のフルサイズ用超広角レンズ」とPRしています。

シグマ20mmF1.4DGHSMには、特殊低分散レンズや大口径の非球面レンズが採用されるなど、 明るい超広角レンズに発生する収差を補正するために贅沢な光学設計が採用されています。

箱からレンズ本体を取り出したとき、まず目に留まるのは、レンズボディの外側にまで出っ張った、 大きな前玉レンズでしょう。 シグマ20mmF1.4DGHSMの巨大な前玉レンズは、高い描写力を期待させてくれます。 いわゆる出目金レンズのため、レンズ保護フィルターは装着することはできず、 フードは固定式で、レンズキャップはフード外側から被せる方式が採用されています。

シグマ 20mm F1.4 DG HSMの対応マウントは、シグママウント、ニコンマウント、キヤノンマウントです。 希望小売価格は15万円(税別)。2017年春時点での実勢価格は12万円前後となっています。

シグマ 20mm F1.4 DG HSMの前玉 シグマ 20mm F1.4 DG HSMのマウント部分

一般撮影に使用した印象

シグマ 20mm F1.4 DG HSMレンズ シグマ20mmF1.4DGHSMを覗いてみてまず感じるのは、視界の明るさと画角の広さです。 ファインダーの明るさは、暗い室内での撮影時や、星空撮影での構図確認時に便利です。

シグマ20mmF1.4DGHSMは、抜けが良く、 コントラストの高い像を結んでくれます。 広角レンズで発生しやすいディストーションもそれほど感じられず、 素直な感覚で被写体と向き合うことができるように思います。

レンズの収差が良好に補正されているためでしょう、撮影画像に色収差は感じられず、 解像度の高い画像が得られます。 しかし、解像力が高いために、少々冷たい画像のようにも感じられてしまいます。 カリッとシャープな描写のシグマのArtシリーズの特徴が、このレンズにも継承されていると感じました。

シグマ20mmF1.4DGHSMは超広角レンズですが、開放F値が明るいため、背景ボケも楽しむことができます。 背景ボケを強調する場合は、被写体にできるだけ寄って撮影すると、印象深い写真が得られると思います。 なお、シグマ20mmF1.4DGHSMの最短撮影距離は27.6cmです。他社製の同焦点レンズと比べて、 やや長めになっています。


星空撮影での印象

シグマ20mmF1.4DGHSMとキヤノンEOS5DMarkIIを使用して、星空を撮影してみました。 まずは周辺減光の様子です。 左は絞り開放で撮影した画像、右は一段絞ってF2で撮影した画像、 その下はF2.8とF4に絞って撮影した画像です。 露出時間は、背景濃度が同じ程度になるように調整しています。 また、どれも周辺減光補正などの画像処理は施していません。撮影には、ポータブル赤道儀SWAT-200を使用しました。

絞り開放で撮影 絞りF2で撮影
シグマ 20mm F1.4 DG HSMで撮影した星空 シグマ 20mm F1.4 DG HSMで1段絞って撮影した星空
拡大画像へのリンク 拡大画像へのリンク
絞りF2.8で撮影 絞りF4で撮影
シグマ 20mm F1.4 DG HSMで2段絞って撮影した星空 シグマ 20mm F1.4 DG HSMで3段絞って撮影した星空
拡大画像へのリンク 拡大画像へのリンク

小さな画像では分かりにくいですが、左上の絞り開放の画像は、中央部は明るく、 周辺部はかなり暗くなっています。 これと比較すると、1段絞った右の画像は周辺減光が減っているのがわかります。

また、2段絞ると明るさはよりフラットになり、 3段絞ると四隅を除いて光量がほぼフラットになります。 この結果から考えると、星空撮影では周辺減光が気になるので、少なくとも1段は絞って撮影した方が良さそうです。 なお、画像の下側が上側に比べて明るいのは、光害や夜空の明るさの差によるものです。
※リンク先の大きな画像もご覧下さい。

続いて星像について、それぞれのF値に絞ったときのピクセル等倍画像を下に掲載しましたのでご覧下さい。

絞り開放で撮影 絞りF2で撮影 絞りF2.8で撮影 絞りF4で撮影
中心像 シグマ 20mm F1.4 DG HSMの中心星像 シグマ 20mm F1.4 DG HSMの中心星像(F2のとき) シグマ 20mm F1.4 DG HSMの中心星像(F2.8のとき) シグマ 20mm F1.4 DG HSMの中心星像(F4のとき)
左上隅の星像 シグマ 20mm F1.4 DG HSMの左上隅星像 シグマ 20mm F1.4 DG HSMの左上隅星像(F2のとき) シグマ 20mm F1.4 DG HSMの左上星像(F2.8のとき) シグマ 20mm F1.4 DG HSMの左上星像(F4のとき)
右下隅の星像 シグマ 20mm F1.4 DG HSMの右下隅星像 シグマ 20mm F1.4 DG HSMの右下隅星像(F2のとき) シグマ 20mm F1.4 DG HSMの右下隅星像(F2.8のとき) シグマ 20mm F1.4 DG HSMの右下隅星像(F4のとき)

中心像は、絞り開放時でもシャープです。 星の周りに若干パープルのフリンジが発生しますが、気になるほどではないでしょう。 一段絞れば色収差も減り、一層シャープになります。

写野周辺の星像を見ると、絞り開放時には、コマ収差や非点収差などの影響で、 星がコマ状に変形しているのがわかります。この星像の収差は、絞りを1段絞ると少し小さくなり、 2段絞るとかなり改善します。さらに1段絞ってF4で撮影すると、コマ状の広がりはより減少しますが、 ここまで絞ると、明るいレンズを使用するメリットが感じられなくなります。

35ミリフルサイズカメラでテスト撮影したため、絞り開放時での周辺星像の流れ方は大きいですが、 センサーが小さなAPS-Cサイズのデジタル一眼レフカメラなら、周辺の星像の悪さはそれほど目立たないと思います。 下に、絞り開放で撮影した写真を、APS-Cサイズにトリミングした画像を載せてみました。

シグマ 20mm F1.4 DG HSMとAPS-Cサイズカメラ

左上隅の星像 左下隅の星像 右上隅の星像 右下隅の星像
シグマ 20mm F1.4 DG HSMの星像1 シグマ 20mm F1.4 DG HSMの星像2 シグマ 20mm F1.4 DG HSMの星像3 シグマ 20mm F1.4 DG HSMの星像3

この画像をご覧いただくと、APS-Cサイズとの組み合わせなら、 写野周辺の星像もそれほど悪くないことがわかります。 ただ絞り開放の場合は、周辺減光等の他の収差も大きくなるため、 星空を撮影する場合は、APS-Cサイズのカメラであっても1/2〜1段絞った方が、後の画像処理を行いやすいと思います。


星空撮影でお勧めの絞り値

星空撮影では、F値を明るくするほど露光時間を短くできますが、 上記のテスト結果からわかるように、開放絞りに近づけるほど、レンズの収差の影響が大きくなり、 肝心の星像は悪くなってしまいます。

今回、シグマ20mmF1.4DGHSMレンズで絞りを変更しながらテスト撮影してみたところ、絞りF2.5が星像と使い勝手のバランスが良いと感じました。

シグマ 20mm F1.4 DG HSMで撮影した天の川

上の画像は、シグマ20mmF1.4DGHSMレンズを使い、絞りをF2.5に設定して撮影した夏の天の川です。 ギャラリーに載せている「シグマ20mmで撮影した天の川」の未処理画像ですが、 周辺減光もそれほど目立たず、PhotoshopのCameraRAWや、 LightRoomの周辺減光補正を使用して画像処理することができました。

撮影場所の星空環境やカメラマンの目的にもよりますが、シグマ20mmF1.4DGHSMレンズで星空を撮影する際は、 一度、絞り値2.5で撮影してみてはいかがでしょう。


まとめ

シグマ20mmF1.4DGHSMレンズは、開放F値が明るいため、ファインダーも明るく、 星空撮影時に暗い星まで確認することができます。 そのため、星空のような暗い環境でも構図を確認しやすく、大きなメリットになります。 デジカメの最高感度と開放絞りと組み合わせれば、 ほんの数秒で星々が写るので、試写して構図を最終確認することも容易です。

贅沢なレンズ設計ため、ボディ本体は大きく、重量も1キロ近くあります。 フルサイズデジタル一眼レフカメラと組み合わせるとかなりの重量になるので、 強度の低いポータブル赤道儀に搭載するのは難しいでしょう。 また、使用する雲台の強度にも注意した方がよさそうです。

レンズの周辺像は想像していたよりも良好で、APS-CサイズのカメラならF2程度で実用になります。 フルサイズの場合は、F2.8前後が星空撮影に使いやすく、 レンズの明るさを生かしながら、風景と星空を合わせた星景写真の撮影を楽しむことができそうです。

シグマ20mmF1.4DGHSMレンズの全体の印象としては、重さと価格以外は特に大きなマイナス点は感じられず、 シグマArtシリーズを代表する良いレンズだと感じました。 流星群の撮影など、レンズの明るさを生かせるシチュエーションで活躍するレンズだと思います。

シグマ 20mm F1.4 DG HSM
シグマ 20mm F1.4 DG HSM キヤノン用

シグマ 20mm F1.4 DG HSMは、2015年11月に発売開始された、シグマのArtラインに属するフルサイズ対応の広角レンズです。 開放F値がF1.4と非常に明るいので、星景写真や星野写真に適したレンズです。

20ミリという広い画角は、雄大な風景や、天の川の広がりを撮影するときにします。 また、明るいので流れ星の撮影時にも重宝すると思います。

レンズ本体は重く、大きいので、ポータブル赤道儀を使用して長時間露光する場合は、 強度がある架台に載せる方が無難です。 高価なレンズですが、星空撮影に適した超広角レンズの一つだと思います。

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シグマ 20mm F1.4 DG HSMのスペック

名称 シグマ 20mm F1.4 DG HSM
レンズ構成 11群15枚
絞り羽枚数 9枚(円形絞り)
最小絞り F16
最短撮影距離 27.6cm
最大径×長さ φ90.7mm×129.8mm
重量 約950g
希望小売価格 150,000円(税別)

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