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星景写真に人気のあるデジカメは

星空の写真を撮影するデジタルカメラを選ぶにあたって、天文雑誌の読者のギャラリーのデーターは貴重な情報源となります。 ここで使用率の高いカメラはたいていの場合、ノイズが少なく、天体撮影に向いたデジカメだからです。

そこで星景写真撮影のデジカメ選びの参考データーとして、 月刊の天文雑誌「星ナビ」の読者のギャラリーの使用機材を集計してみました。 年毎に集計しましたので、現時点における機種選びの参考としてだけでなく、 デジカメの新機種の影響や人気デジカメの変遷も見て取れると思います。


データ集計方法について

統計の元データとして、月刊星ナビの2009年1月号から2014年12月号に掲載されている「星ナビギャラリー」を用いました。 データーの集計は、掲載作品を月・惑星写真と星景写真、星雲・銀河写真に分けた後、 星景写真のデーターだけを取り出して行いました。

ポータブル赤道儀を使用した天の川銀河の広角写真も星景写真に含めています。 何を星景写真と考えるかによって、若干数値が増減する場合もありますが、その点ご了承ください。

なお、同じ作者の作品が、1年に複数回ギャラリーに掲載された場合も、それぞれカウントしています。 ですので、ギャラリー常連と呼ばれる方が使っている機材が多くカウントされている可能性があります。


2009年のデジカメ集計結果

2009年の頃は、星景写真は今ほど一般的ではなく、 銀塩フィルムで星景写真を撮影していたユーザーが、 デジタル機材に変えて撮影を始めて少し経った頃と言えます。 2009年の星ナビギャラリーに登場した星景写真の作品数は53作品と、 2013年(82作品)に比べて、3分の2程度にとどまっていました。

順位カメラ名1年間の登場回数カメラの発売開始時期
1位キヤノンEOS5DMarkII17回2008年11月
2位キヤノンEOS40D7回2007年8月
3位ペンタックス67(6×7含)4回1969年
3位リコー Caplio GX1004回2007年4月
5位キヤノンEOS5D3回2005年8月

上の表は、各デジカメのギャラリー登場回数を1年間集計して、ランキングした結果です。 2008年末に発売開始された、キヤノンEOS5DMarkIIの登場回数が突出しています。

2009年のデジカメ使用率集計グラフ 星ナビギャラリーにキヤノンEOS5DMarkIIが初めて登場したのは、2009年5月号です。 星ナビ2009年2月号に、キヤノンEOS5DMarkIIの使用レビューが掲載されていましたので、 このレビュー記事を読んで、購入された方が多かったのかもしれません。

2位と5位にも、キヤノン製デジタル一眼レフカメラが登場しています。 星空撮影の分野でキヤノン製カメラの人気が高いことが、2009年のデーターからも伺えます。 1年間の集計結果をメーカーごとに分け、グラフ化すると右上のようになりました。 掲載作品全体に占めるキヤノン製カメラの割合は66%と、他のカメラメーカーを圧倒しています。

また、3位に中判銀塩カメラのペンタックス67が入っています。 ペンタックス67は、デジタル機材が普及するまでは、星景写真の分野で人気があるカメラでした。 この頃はまだ銀塩フィルムを使って、星景写真を撮影する方も多かったということでしょう。


2010年のデジカメ集計結果

2010年の星ナビギャラリーには、たくさんの星景写真が掲載されています。 一年間に登場した星景写真の件数は84作品と、ここ数年で一番の数です。 誌面でも「デジカメで星景写真を撮ろう」という特集が組まれ、 デジタル星景写真が一般的になりつつあることが分かります。

順位カメラ名1年間の登場回数カメラの発売開始時期
1位キヤノンEOS5DMarkII42回2008年11月
2位キヤノンEOS50D5回2008年9月
3位キヤノンEOS40D4回2007年8月
3位キヤノンEOSKissX24回2008年3月
5位ニコンD7003回2008年8月

上の表は、2009年と同様、デジカメのギャラリー1年間の登場回数を集計したものです。

2010年のデジカメ使用率集計グラフ 2008年末に登場したキヤノンEOS5DMarkIIが、圧倒的な登場回数です。 この1年間に誌面に掲載された星景写真の全作品数が84作品ですから、 実にその半分の作品が、キヤノンEOS5DMarkIIで撮影されていたことになります。

キヤノンEOS5DMarkII以外のキヤノン製カメラも誌面に数多く登場し、 ランキング1位から4位までを、キヤノン製のデジタルカメラが占める結果になりました。

メーカーごとの集計グラフを見ても、キヤノン製デジタルカメラによって、 掲載された全星景写真の77%が撮影されているのがわかります。 キヤノンEOS5DMarkIIの登場は、星景写真ファンにとって、それだけインパクトがあったということでしょう。

5位には、ニコンのフルサイズデジタル一眼レフカメラ、D700がランキング入りしていますが、 キヤノンEOS5DMarkIIよりも発売時期が早く、高感度ノイズが少ないにも関わらず、 ギャラリーでの登場回数が伸びていません。 これは、ニコンD700で星を撮影すると偽色が出るという点を、天体写真ファンが敬遠したためでしょう。


2011年のデジカメ集計結果

2011年と言えば、春のCP+で注目を集めた、ビクセンの星空雲台ポラリエが発売された年です(発売開始は2011年11月)。 それまでにもTOASTを始めとしたポータブル赤道儀はありましたが、 高価だったため、一般ユーザーには広がりませんでした。 手に入れやすい価格のポラリエの登場で、星空撮影の認知度が一段と高まった年と言えます。

順位カメラ名1年間の登場回数カメラの発売開始時期
1位キヤノンEOS5DMarkII25回2008年11月
2位キヤノンEOSKissX25回2008年3月
2位ニコンD7005回2008年8月
4位キヤノンEOS40D4回2007年8月
4位ニコンD50004回2009年5月

2010年と同様、キヤノンEOS5DMarkIIが、全72作品中、25作品と高い使用率を誇っています。

2011年のデジカメ使用率集計グラフ 2位には、前年年3位タイに入っていたキヤノンEOSKissX2がランクアップしています。 キヤノンEOSKissX2は、高感度ノイズが少ないということで、 星雲や銀河を撮影する天体写真ファンに人気を博したモデルです。 天文ショップでは、冷却改造されたカスタムモデルも販売されるようになり、 ギャラリーにもこのカメラで撮影された星雲写真がよく掲載されました。

4位タイには、ニコンのAPS-Cサイズデジタル一眼レフカメラ、D5000が登場しています。 この表には掲載できませんでしたが、キヤノンEOSKissX3やEOSKissX4を始めとした入門機種も、 それぞれ3回誌面に登場しています。 今までは、一部のハイアマチュアだけが星景写真を撮っていたのが、 この頃から幅広いユーザーが星景写真を撮り始めたということかもしれません。

メーカーごとの集計結果グラフによると、キヤノンのシェアは前年より少し減って、72%となっています。 逆にニコンは一気に増えて、全体の25%を占めるようになりました。


2012年のデジカメ集計結果

2012年といえば、キヤノンがEOS5DMarkIIの後継機、キヤノンEOS5DMarkIIIを発売開始した年です。 星景写真の分野で圧倒的な人気を誇ったデジタル一眼レフカメラの後継機だけに、 発表前から天体写真ファンから注目を集めていました。 新機種への移行が、集計結果で表れるでしょうか。

順位カメラ名1年間の登場回数カメラの発売開始時期
1位キヤノンEOS5DMarkII25回2008年11月
2位ニコンD70006回2010年10月
3位キヤノンEOS60D5回2010年9月
3位キヤノンEOSKissX55回2011年3月
5位ニコンD50004回2009年5月
10位キヤノンEOS5DMarkIII2回2012年3月

結果はこれまでと同様、ギャラリー登場回数トップを飾ったのは、キヤノンEOS5DMarkIIでした。 全79作品中、25作品がこのフルサイズデジタル一眼で撮影されています。

2012年のデジカメ使用率集計グラフ 3月に発売開始されたキヤノンEOS5DMarkIIIが初めて誌面に登場したのは、 2012年11月で、1年間に2作品だけに留まりました。 星景写真は撮影に時間がかかるということと、撮影から誌面掲載までのタイムラグが大きな原因でしょう。

ただ、EOS5DMarkIIIは、前機種に比べてノイズは減ったものの、画素数がほとんど同じだったため、 すぐに購入せず、しばらく様子見に徹した星景写真ファンも多かったようです。 また、同時期に発売された高画素のニコンD800の影響も大きかったのでしょう。

2位には、ニコンのDXフォーマットデジタル一眼「ニコンD7000」がランキング入りしています。 ニコンD7000は、バランスが取れたカメラで、一般ユーザーにも人気があるモデルでした。 3位には、バリアングル液晶モニターが使われた、キヤノンEOS60DとEOSKissX5が入りました。 バリアングルモニターは、レンズを上に向けることが多い天体撮影に使いやすく、 EOS60Dは、今でも星雲や星団撮影に人気のあるモデルです。

右上は、メーカーごとの集計結果グラフです。 キヤノンは前年とほぼ同様、71%となっています。ニコンは全体の21%を占めています。


2013年のデジカメ集計結果

2013年は、2大彗星と呼ばれたパンスターズ彗星とアイソン彗星に注目が集まった年でした。 特に世紀の大彗星と呼ばれたアイソン彗星は、テレビや新聞を始めとしたメディアでも盛んに特集が組まれ、 一般の方の天文への興味が高まった年です。

順位カメラ名1年間の登場回数カメラの発売開始時期
1位キヤノンEOS5DMarkIII32回2012年3月
2位キヤノンEOS5DMarkII10回2008年11月
3位ニコンD906回2008年9月
4位ニコンD70003回2010年10月
4位ニコンD800(D800E含)3回2012年3月

発売開始以来、ギャラリー登場回数トップの座を守り続けてきていた、キヤノンEOS5DMarkIIに代わり、 キヤノンEOS5DMarkIIIが1位となりました。 その登場回数は、82作品中、32作品となっています。 2013年6月号では、キヤノンEOS5DMarkIIIで撮影された星景写真が、6作品も掲載されました。

2013年のデジカメ使用率集計グラフ 2013年の読者の天体写真コーナーを見ると、今までキヤノンEOS5DMarkIIで星景写真を撮ってきたユーザーの一部が、 EOS5DMarkIIIに移行している様子が見て取れます。 発売開始されてから時間が経過し、EOS5DMarkIIIの評価や価格が安定してきたため、 買い換えが進んだのでしょう。

3位から4位タイには、ニコン製のデジタル一眼レフカメラがランクインしています。 中でもニコンD800は、3,620万画素のセンサー搭載で業界を驚かせたフルサイズデジタル一眼レフカメラです。 このカメラで撮影された星景写真が誌面に初めて登場したのは、2012年(前年)の9月号です。 初登場はキヤノンEOS5DMarkIIIよりも早かったのですが、それ以降は伸び悩みました。

右上は、メーカーごとの集計結果グラフです。 キヤノンは68%と、7割を割ってきました。ニコンは全体の25%を占めています。


2014年のデジカメ集計結果

キヤノンは、EOS5DMarkIIIを発売開始した後、2012年末にキヤノンEOS6Dを市場に投入しました。 当初はそれほど注目されませんでしたが、ノイズが少ないフルサイズモデルということがわかり、 天体写真ファンの間で徐々に人気が出てきました。

順位カメラ名1年間の登場回数カメラの発売開始時期
1位キヤノンEOS6D32回2012年11月
2位キヤノンEOS5DMarkIII23回2012年3月
3位ニコンD800(D800E含)14回2012年3月
4位キヤノンEOS5DMarkII4回2008年11月
5位ニコンD44回2012年3月
5位キヤノンEOS60D4回2010年9月
5位ペンタックスK-5II4回2012年10月

昨年トップだったキヤノンEOS5DMarkIIIに代わり、キヤノンEOS6Dが1位に輝きました。 星ナビギャラリーの登場回数は32回と、昨年のEOS5DMarkIIIと同じ登場回数です。 ノイズが少なく、価格的にも手に入れやすいフルサイズデジカメということで、一気に普及が進んだのでしょう。 2014年8月号の星ナビ誌面では、5つの作品がこのキヤノンEOS6Dで撮影されています。

2014年のデジカメ使用率集計グラフ キヤノンEOSMarkIIの登場回数は一気に減り、EOS5MarkIIIも前年と比べて若干減りました。 これは、キヤノンEOSMarkIIユーザーが後継機のMarkIIIではなく、 キヤノンEOS6Dへと流れた結果とも考えられます。 キヤノンEOS5DMarkIIIは、AF機能が強化されるなど、機能の高いデジタル一眼レフカメラですが、 天体撮影に高機能なAFは必要ありません。 手頃な価格でノイズが少ないキヤノンEOS6Dの方が、天体写真ファンのスイートスポットに収まったのでしょう。

3位には、ニコンD800が入っています。 登場回数も一気に増えて、存在感を増しています。 ポテンシャルの高いデジタル一眼レフカメラですから、星景写真の分野でのこれからの活躍が気になるところです。

右上のメーカーごとの集計結果グラフを見ると、更にキヤノンのシェアが減り、 ニコンの割合が徐々に増えてきていることがわかります。


まとめ

集計結果を見ると、星景写真の撮影には、 35ミリフルサイズのデジタル一眼レフカメラが主に用いられていることがわかります。 星景写真では、広い範囲を写すことが多いので、同じ焦点距離のレンズでも、 画角が広いフルサイズの方が有利なことと、 フルサイズセンサーの方が、APS-Cセンサーに比べてノイズが少ないためでしょう。

また、フルサイズデジカメの中でも、各メーカーの最上位機種ではなく、 ハイアマチュア向けの機種が中心に使われています。 これは、星空撮影にはスポーツ撮影等に必要な、多点AF機能や連射機能は必要ないためと考えられます。 キヤノンEOS6Dの人気が最近高いのも、同じ理由によるのでしょう。

メーカーごとのシェアを表した円グラフを比較すると、キヤノンのシェアが減り、 他社製デジカメの割合が増えてきつつあるようにも見えます。 ニコンは、2014年にニコンD750という可動式液晶モニターを搭載したフルサイズデジカメを発売開始しました。 また、ソニーからは、α7S ILCE-7Sという高感度に強いフルサイズデジカメが登場しました。 このようなカメラの活躍如何によっては、 星景写真分野でのキヤノン一人勝ちの構図は変わってくるかもしれません。

キヤノンEOS6D
キヤノンEOS6D

2012年秋に発表されたのが、キヤノンのフルサイズデジタル一眼レフカメラ、キヤノンEOS6Dです。 画素数はEOS5DMarkIIやEOS5DMarkIIIよりも若干少ないものの、 高感度ノイズが大変少ないということで、星景写真ファンの間で人気機種となっています。

天体撮影用にフィルターを換装しなくても、星景写真の撮影は楽しめますので、 星景写真撮影のためにフィルター換装の改造を行うことは希です。

最近、星雲や星団の撮影にも、フィルターを天文用に換装したEOS6Dが、 ハイアマチュアを中心に使用されるようになりました。 天文改造を施せば、本格的な天体撮影にも使用できるモデルです。

AF機能が強化されたキヤノンEOS5DMarkIIIと比較すると、 手に入れやすい価格であるのもEOS6Dの魅力です。 現在、星空撮影に最も適したカメラの一つだと思います。

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nikonD810
Nikon D810

ニコンD810は、ニコンD800の後継機として2014年7月に発売開始されたフルサイズデジタル一眼レフカメラです。 前機種と同じく、3635万画素の高画素センサーが使われたモデルで、 完成度が一段と高くなったということで、カメラファンからの評価が高いモデルです。

発売開始直後のため、2014年末の時点では星ナビギャラリーには登場していませんが、 電子先幕シャッターが搭載されるなど、天体撮影により使い易い仕様になっているようです。

星景写真のデジタル一眼レフカメラボディの分野においては、キヤノンの人気が圧倒的ですが、 カメラレンズの分野ではニッコールレンズのシェアが高くなっています。

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