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キャノンのデジタル一眼レフカメラが人気の理由

天体写真の世界では、キヤノン製デジタル一眼レフカメラに人気が集まっています。もちろんニコンユーザーも いるのですが、撮影地で会う天文ファンのおよそ8割はキャノンユーザーです。しかし、そういうキャノンユーザーも 一般撮影にはニコン製デジカメを使っていたりします。なぜこうしたことが起こっているのでしょうか。


キャノンのデジタル一眼レフが有利な点

キャノンEOS50Dデジタル一眼レフカメラ キャノンのデジタル一眼レフカメラの躍進は、初代キャノンEOSKissDが登場してからです。 それまでのデジタルカメラは、天文ファンからは見向きもされませんでした。

人気がキャノンに集まる理由の一つは、キャノン製デジタル一眼レフカメラの長時間ノイズが少ないためです。 初代キャノンEOSKissDは、他社製デジカメに比べて圧倒的にノイズが少なく、皆がこぞって買い集めました。 そのキャノン低ノイズ神話はまだ続いていて、今でもEOSキスシリーズは天体写真ファンの注目の的です。

もう一つの理由はレンズマウントの口径です。キャノンと双璧を並べるニコンですが、ニコンは古いFマウントを 使い続けているために、EOSマウントと比べてマウント径が非常に小さくなっています。 そのため、周辺減光を嫌う天体写真の世界では、そのマウント径が小さいことからニコンが敬遠されています。 できるだけ周辺光量を取り込めるように望遠鏡の接眼部を設計しても、マウント径が小さくなると制約が大きくなります。 そういうことがあり、ニコンよりもキャノンのデジカメが人気となっています。


ニコンの戦略と天体写真

ニコンのデジタル一眼レフカメラは次々とヒットを飛ばし、一般ユーザー向けの調査では売り上げ一位となって います。最近のニコンのマーケティング戦略は、最高級機で培った技術をハイアマチュア用のモデルにいち早く導入することで、 写真にこだわるファンから絶大な支持を得ています。ニコンD700がこの代表です。

こうしたニコンの戦略ですが、天体写真ファンの目からは魅力的には映りませんでした。 ニコンD70が登場した当時は、天体写真ユーザーの数はニコンの方が多かったのです。 しかしその後継機、ニコンD80がよくありませんでした。一見ノイズは少なそうに見えたのですが、ノイズの出方に ばらつきがあり、ダーク補正という画像処理手法が上手くできません。これでは写真撮影ワークフローが回らなくなるので、 一人また一人とニコンD80を手放していきました。そしてそうした人が次に選んだのが、当時発売されていた キャノンEOSKissデジタルNでした。

ニコンは、ニコンD70が発売されていた頃、ニコンD50という入門者向けデジカメを発売します。 これはニコンD70よりもノイズが少なく、一時は大変な人気となりました。 しかし、ニコンD40という次の機種は出たものの、画素数は同じで写りはほぼ同等でした。 高画素化がもたらす新たな写りを求めたユーザーは、やはりキャノンへと流れていきました。

しかし、ニコンD3とニコンD700が登場してからは、ニコンの人気が復活しつつあります。 これは、画素数を抑えて高感度ノイズ、長時間ノイズを押さえたニコンの戦略を天文ユーザーが好感したからです。 ニコンは好きだけど天体写真用にやむなくキャノンを購入したユーザーが、ニコンカメラに返り咲いています。 ただし、ニコンD700やD3の人気は星景写真の分野のみです。天体写真の醍醐味とも言える直焦点撮影で用いられるのは 希で、これは価格が高いため改造しづらいということが原因にあるのでしょう。


改造しやすいキャノン

デジカメのフィルター改造 本格的に天体写真を撮影するなら、デジタル一眼レフカメラのフィルターを交換しなければなりません。 こうした改造は天文ショップを中心に行われていますが、現在のところ改造を受け付けているのは、キヤノン製 デジタル一眼レフカメラが中心です。

せっかくデジタル一眼レフカメラを購入しても、こうした改造サービスを受けられなければ、本格的な星雲銀河の 撮影は行えません。それがキャノンに人気が集まる原因の一つともなっています。 改造が必要だから皆がキヤノン製デジカメを買うと、またキャノンに人気が集まるという連鎖反応です。

フィルター改造だけでなく、撮像素子を直接ペルチェ素子で冷やすことができる冷却改造デジカメも登場してきました。 このモデルに選ばれているのは、キャノンEOS40DとキャノンEOSKissX2というキヤノン製デジタル一眼レフカメラのみです。 こうしたこともあり、キャノンデジタル一眼レフが天文ファンの人気の的となっています。


天体写真専用カメラを作ったキャノン

キャノンは、キャノンEOS20Dを発売していた頃、キャノンEOS20Daという天体写真専用モデルを発売しました。 当時、天文界はキャノンEOSKissDとニコンD70で人気が二分していた頃です。そこにキャノンが、フィルターを専用品に 交換した天体写真専用モデルを投入し、話題になりました。

このキャノンEOS20Daは受注生産の上に値段が高かったため、それほど販売数は伸びなかったようですが、 天文ファンに与えたインパクトは想像以上でした。それからすぐにキャノンEOSKissDNが登場しますが、このデジカメが 大ヒットしたのもうなずけるでしょう。誰もがキャノンは天文ファンの見方だと思ったわけです。


富士フイルムのFinePixシリーズ

デジタル一眼レフカメラは一般向けとして登場したのは、2000年の頃ですが、天文用として主に使われ出したのは2002年の 頃です。この天体写真用デジカメの先駆けとなったのが、富士フイルムから登場したFinePixS2Proでした。

フジFinePixS2Proは、617万画素のハニカムCCDを撮像素子に持ち、長時間ノイズが他のデジカメと比べてぬきんでていました。 赤色の星雲の写りも比較的良かったので、まだデジカメの改造サービスというのがなかった頃ということもあり、 大変な人気となりました。天文誌のコンテストでもよくこのカメラが登場していました。

2005年にこのS2Proは、FinePixS3Proへとモデルチェンジを行います。画素数は一気に2倍の1,234万画素となりますが、 長時間ノイズが多く、人気はがた落ちになってしまいます。FinePixS2Proでユーザーの支持をせっかく得たのに、 一代で離れていってしまうとは悲しい結果でした。


その他のメーカー

ペンタックスやソニー、それにオリンパスもデジタル一眼レフカメラを製造しています。 それぞれ特徴のあるラインナップで、特にオリンパスはフォーサーズというサイズの撮像素子を用い、野鳥撮影 ファンなどに強い支持を得ています。

これらのメーカーのカメラは、残念ながら天文ファンには人気があまりないようです。 まず、改造サービスが受けられないというのが大きな原因の一つでしょう。また、天体写真画像処理用のソフトウェアの 対応が十分でないことがあり、これも一因となっています。と言っても天文ファンは移り気です。 あるとき誰かが「このカメラのノイズはすごく少ない」と素晴らしい作例を出せば、一気に注目が集まり、 皆がこぞって買い求めます。こうしたメーカーにも天文に向いたカメラを作っていただいて、魅力的なデジタル一眼レフが より低価格で手に入るようになることを望んでやみません。 ※個人の意見や偏見なども大いに入っていますので、軽い気持ちで読んでいただければ幸いです。