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キヤノンのデジタル一眼レフカメラが人気の理由

天体写真の世界では、キヤノン製のデジタル一眼レフカメラに人気が集まっています。 もちろんニコン製カメラのユーザーもいますが、撮影地でお会いする天文ファンのおよそ8割は、キャノンユーザーです。 しかし、天体撮影ではキヤノン製カメラを愛用するユーザーも、一般撮影ではニコン製デジカメを使用していたりします。 なぜでしょうか。


キヤノンのデジタル一眼レフが有利な点

キヤノン製デジタル一眼レフカメラが天体写真ファンに愛用されている大きな理由としては、以下の5点が考えられます。

@長時間ノイズの少なさ
Aダークフレームの減算処理が可能なRAW画像
B天文用フィルター改造サービスの豊富さ
Cキヤノン用の天文用パーツ・処理ソフトウェアの充実度
Dユーザーの多さからくる豊富な情報

細かく見ていけば、これら以外にもキヤノンの有利な点は挙げられるかもしれませんが、 大きな理由はこの5点に集約されるのではないでしょうか。 以下、各項目について、見ていきます。


キヤノン製デジタル一眼レフカメラはノイズが少ない

キヤノンEOS80Dデジタル一眼レフカメラ 一般撮影の世界では、数秒露出でも長時間露出と呼ばれますが、天体撮影では、通常、300秒〜600秒露出で撮影されます。

一般的には超長時間露出とみなされるほどの長い間、センサーに光を当て続けるので、長時間ノイズが多くては話になりません。 その点、キヤノン製カメラは長時間ノイズが少なく、天体撮影の分野では有利です。

今ではキヤノン製カメラの人気は不動ですが、初めからキヤノン製デジカメが天体写真ファンの注目を集めていたわけではありません。 キヤノンのデジタル一眼レフカメラが天文界で注目を集めるようになったのは、キャノンKISSデジタルシリーズが登場してからです。 デジカメの長時間ノイズがまだ多かった時代に、実売10万円前後の価格でノイズの少ないデジタル一眼レフカメラを手に入れられるということで、 天文ファンが注目し始めたのです。

KISSデジタルの初代「キヤノンEOSKissD」は、他社製デジカメに比べて圧倒的にノイズが少なく、その点を天文誌等が特集しました。 そして、その記事を読んだ天文ファンがこぞってキヤノン製デジタル一眼レフカメラを使い始め、 天体写真の分野でのキヤノンのシェアが伸びたのです。

現在では、他メーカーのデジカメもノイズ発生量が減り、キヤノン機を上回るほどになりました。 しかし、キヤノン低ノイズ神話は今も続いており、EOSキスシリーズの新製品発表は、天体写真ファンの注目を集めています。


キヤノン製デジタル一眼はダークフレームの減算処理がしやすい

長時間ノイズを減らすため、デジタルカメラには「長時間ノイズの低減機能」が設けられています。 しかし、この機能を使用すると、撮影後に、撮影時間と同じ時間だけシャッターを閉じたままダーク画像を撮影し、減算処理が行われます。 ノイズリダクション中は次の撮影を行えないため、ノイズリダクションを行わない場合と比べて、撮影できる時間が半分になってしまいます。

一枚当たりの露出時間が長い天体写真の撮影において、貴重な撮影可能時間をノイズリダクションに使うのは非常にもったいないことです。 そこで考え出されたのが、全ての撮影が終わってからノイズだけを別撮りし、パソコンソフトウェア上でノイズリダクションを実施する方法です。 この方法は、ダークノイズ減算と呼ばれ、本格的な天体写真を撮影するファンの中で、現在広く用いられています。

ダークノイズ減算処理は、RAW画像を用いて処理しますが、 デジタルカメラによっては、ダーク減算に失敗する機種もあります。 長時間露出の場合、RAW画像と言えども、ある程度のノイズ低減処理がカメラ内で行われているのが一般的です。 この内部処理の方法によって、ダークノイズ減算が上手くできる機種と失敗する機種が出てきました。 その点、キヤノン製のデジタルカメラは、問題なくダークノイズ減算ができ、この点でも天文ファンの間で高評価を得ています。


フィルター改造しやすいキヤノンデジタル

デジカメのフィルター改造と冷却改造 天体望遠鏡をレンズ代わりに使って本格的に星雲や銀河の写真を撮影するなら、 デジタル一眼レフカメラのローパスフィルターを天体用フィルターに交換する必要があります。

このような改造は天文ショップ等で実施されていますが、現在のところ、 改造を受け付けているのはキヤノン製デジタル一眼レフカメラが中心です。

天体撮影用にデジタル一眼レフカメラを購入しても、このような改造サービスを受けられなければ、 オリオン大星雲やバラ星雲といったメジャーな天体の撮影は楽しめません。 この点もキヤノンに人気が集まる理由の一つとなっています。

フィルター改造だけではなく、撮像素子自体をペルチェ素子で冷却し、ノイズを減らす冷却改造デジカメも2008年頃から登場しました(右上写真)。 このモデルに選ばれたのは、キヤノンの中級機種EOS40DやEOS50D、EOS60D、 それにキヤノンEOSKissX2といったキヤノン製デジタル一眼レフカメラのみでした。 冷却デジタル一眼レフカメラは、究極の天文用改造デジタル一眼レフカメラと言われ、 天体写真ファンの憧れのデジタル一眼レフカメラとなりました。

なお、フルサイズデジタル一眼レフカメラは高価なため、フィルター改造が行われることは希で、 改造が行われるのは、APS-Cサイズのデジタル一眼レフカメラが中心です。 フルサイズデジタル一眼レフカメラは、星景写真の撮影によく使われています。


豊富なキヤノン用天文パーツ

フィルターの改造サービスに加えて、キヤノン製デジタルカメラ用の天体撮影パーツが揃っている点も、 キヤノンのデジタル一眼レフカメラの人気が高い理由の一つでしょう。

例えば、宇宙に浮かぶ散光星雲をコントラスト良く撮影するために、干渉フィルターという製品が天文ショップで販売されています。 しかし、カメラボディ内に装填できるドロップインフィルタータイプは、キヤノン用デジタルカメラにしかありません。 また、天文ショップのオリジナル商品もキヤノン専用のものが多く、ニコンや他社製ユーザーにとっては歯がゆいところです。

このキヤノン神話の現象は日本に限ったことではなく、海外でも同様です。 海外には、天体撮影に便利な個人が開発したカメラソフトウェアがありますが、 これらの大半はキヤノン製デジタル一眼レフカメラを対象としたものです。 ネット上で海外の天体撮影に関するフォーラムに参加すると、アメリカを始めとする海外では、日本国内以上にキヤノンの人気が高いと感じます。


キヤノンユーザーの情報量が豊富

望遠鏡とキヤノンEOS6D 天体写真の中でも、望遠鏡や望遠レンズを使って星雲や銀河を撮影する分野では、とりわけキヤノンのシェアは圧倒的です。

このような本格的な天体撮影はなかなか難しく、上達するには情報収集が欠かせません。 その点、キヤノン製カメラなら、ネットで同じ機種を使っているユーザーを捜しやすく、 情報共有できる可能性が高まります。

このようなユーザーの豊富な情報量も、現在、キヤノン製カメラが選ばれる大きな理由となっています。 実は、デジカメが天体撮影に使われ始めた当初は、ニコン製カメラの情報もキヤノンに負けないほど豊富でした。 私自身、ニコンD100やD70を使用して情報を発信していましたし、ニコン製カメラによる天体撮影を特集したサイトもありました。 しかし、徐々にキヤノンユーザーの数が増え、いつの間にかニコンや他社製カメラは少数派になってしまいました。

現在ではキヤノン以外のデジカメの長時間ノイズも減り、いろいろなカメラが星空撮影に使われるようになっています。 徐々にですが、キャノン以外のカメラで撮影された星空写真も増えつつあります。 しかし、星雲や銀河などの本格的な撮影では、まだまだキヤノンのシェアは揺らぎそうにありません。 これから星雲や銀河の撮影を始めるなら、ひとまずキヤノン製を選んでおくと、後悔がないと言えそうです。


レンズマウントの大きさと天体撮影用デジカメ

キャノンEOS60Da キヤノン人気の5つのポイントは以上の通りですが、その他にもいくつか考えられるポイントがあるのでご紹介します。 まず、キヤノンは、レンズマウントの口径が他社製に比べて大きいという点です。

キヤノンとニコンのボディを比べると、マウント開口部の大きさの違いは一目瞭然です。 ニコンは従来から続くFマウントを使い続けているため、キャノンEOSマウントと比べてマウント径が小さくなっています。 開放F値での周辺減光を嫌う天体写真の世界では、マウント径が小さいニコンマウントは敬遠されがちです。

例えば、できるだけ周辺光量を取り込めるように天体望遠鏡の接眼部を設計しても、 カメラと望遠鏡を繋ぐカメラマウントの口径が小さいと、周辺減光が大きく出やすくなります。 実際、冷却CCDカメラという天体撮影専用カメラをカメラマウントで接続する場合、 冷却CCDカメラのメーカーは、キヤノン製マウントアダプターの使用を推奨しています。 わざわざ他社製のマウントアダプターを使用して、周辺減光を増やすことはないという意味でしょう。

さらに、キヤノンは、天体撮影用デジタル一眼レフカメラを発売した唯一のメーカーである点も大きいでしょう。

キヤノンは、キヤノンEOS20Dを発売していた頃、キヤノンEOS20Daという天体写真専用モデルを発売しました。 当時、天文界では、キヤノンEOSKissDとニコンD70で人気が二分されていた頃です。 そこにキヤノンがフィルターを天体撮影専用品に交換した天体写真専用モデルを投入し、 天体写真ファンの間で大きな話題になりました。

キヤノンEOS20Daは受注生産の上に値段も高かったため、販売数はそれほど伸びなかったようですが、 天文ファンに与えたインパクトは大変大きなものでした。 それからほどなくしてキヤノンEOSKissDNが登場しますが、このデジカメが大ヒットしたのは当然の成り行きかもしれません。 天文ファンは、「キヤノンは我々の味方だ」と考えたのでしょう。

EOS20Daの登場から7年後、キヤノンは再びEOS60Dの天体専用カスタムモデル、キヤノンEOS60Daを発表しました。 長時間ノイズが少ないことで知られたEOS60Dよりも、さらに一段とノイズが少ない、という評判で、天体写真ファンの人気を集めました。 「もう天体専用モデルは登場しないかも・・・」と思っていたところでの再登場で、 天文ファンの間では、再びキヤノン神話が燃え上がりました。

追記:ニコンからも天体撮影専用カメラ「ニコンD810A」が2015年5月に発売されました。


ニコンのデジカメと天体写真

ニコンD70デジタル一眼レフカメラ この辺りで視点を変え、ニコンのデジタル一眼レフカメラのこれまでの経緯を、キヤノンと対比して見てみましょう。

ニコンのデジタル一眼レフカメラが一般的に入手しやすい価格になったのは、ニコンD100の登場からでしょう。 ニコンD100は、有効画素数約600万画素で30万円弱という価格帯で、今にして思えば高価なカメラでしたが、 私も含めて多くの人が購入しました。

一般撮影用として人気を博したニコンD100ですが、長時間ノイズが多いため、天体撮影には使いづらいカメラでした。 この後、2004年に、ニコンはニコンD70を発売開始します。 このカメラは、長時間ノイズが少なく、天体撮影を行うニコンユーザーに愛用されました。 私もニコンD100からすぐに買い換えて使い始め、天体写真の分野ではキヤノンのEOSKissDigitalと双璧をなすカメラとなりました。

しかしその後継機、ニコンD80が天体写真撮影という点では良くありませんでした。 長時間ノイズは一見少なそうに見えたのですが、RAW画像に対して行われていたノイズ低減処理の影響のため、 ダークフレーム減算処理が上手く運用できませんでした。 これでは、星空を撮影した後にノイズだけを別に撮影し、パソコン上でノイズを減算するというワークフローが回りません。 そのため、ニコンD80を手放すユーザーが相次ぎました。 そしてこれらのニコンユーザーが次に選んだのが、当時発売されていたキヤノンEOSKissデジタルNだったのです。

ところで、ニコンは、ニコンD70が発売されていた頃、ニコンD50という入門者向けデジカメを発売します。 これはニコンD70よりもノイズが少なく、一時は大変な人気機種となりました。 しかし、次のニコンD40は、画素数は変わらず写りもほぼ同等でした。 高画素化がもたらす新たな写りを求めたユーザーは、高画素化と低ノイズ化を同時に実現したキャノン製カメラへ流れ、 天体写真分野でのキヤノンのシェアはこの時に決定的になりました。


ニコンとキヤノンのフルサイズでの対決

キヤノンEOS5DMarkIIとニコンD810デジタル一眼レフカメラ 他社に先駆けて35ミリフルサイズのデジタル一眼レフカメラを発売開始したキヤノンは、 ハイアマチュア向けフルサイズカメラとして、キヤノンEOS5Dを2005年に発売開始します。 これは、当時低ノイズと評価されていた、天体専用デジタル一眼レフカメラ、キヤノンEOS20Daよりも更にノイズが少なく、 高価でしたが、天体写真のベテランを中心に人気が出ました。

その3年後、キヤノンは画素数を大幅に増やしたEOS5DMarkIIを発表します。 発売開始当初は、黒点問題などが発生したものの、高画素化と低ノイズ化を同時に実現していたため、星景写真ファンを中心に高い支持を得ます。 星景写真ファンのキヤノンEOS5DMarkIIの所有率は極めて高く、 天文誌のギャラリーの星景写真部門は、このカメラで撮影された作品ばかりが並ぶこともありました。

一方、ニコンは、2007年に同社初のフルサイズデジタル一眼レフカメラ、D3を発表します。 このすぐ後にD3の機能と画質を受け継いだニコンD700が登場し、ニコンユーザーの中で人気機種となりました。

ニコンD700は、画素数を抑えて高感度ノイズを減らすという天体写真向きのスペックではありましたが、 星を写すとキヤノン機に比べて偽色が目立つことがわかり、天体写真ファンから敬遠されてしまいます。 そのため、この後にニコンD3Sという高感度ノイズがさらに低減されたハイスペックモデルが登場しますが、 天体写真ファンの間で人気モデルとなることはありませんでした。


ニコンD800とキヤノンEOS5DMarkIII

キヤノンEOS5DMarkIIIデジタル一眼レフカメラ 2012年に入り、ニコンとキヤノンは、フルサイズデジタル一眼レフカメラの後継機を、ほぼ同時に発表します。 ニコンは3,620万画素という撮像素子を使った高画素カメラ「ニコンD800」を発表し、カメラ業界を驚かせました。 一方、キヤノンは、画素数はほぼ据え置いて、高感度ノイズを減らし、使いやすさを向上させた「キヤノンEOS5DMarkIII」を発売開始します。

一時は供給不足にもなったニコンD800に比べると、キヤノンEOS5DMarkIIIはインパクトが弱く、発売数はそれほど伸びず、苦戦を強いられます。 キヤノンEOS5DMarkIIからのモデルチェンジを待ち望んでいた星景写真ファンも、新機種への移行はそれほど起こらず、 新しく発表されたEOS6Dの実写性能を見てからという雰囲気でした。

ところで、ニコンD800とキヤノンEOS5DMarkIIIの画質差を比べて、レンズ資産を売り払ってでもニコンに鞍替えしたユーザーもいる中、 天体写真ファンではキヤノンを使い続けようと考える人が多かったように思います。 一つの大きな理由は、ライブビューでのピントの合わせやすさでしょう。 残念ながら、ニコンのデジタル一眼レフカメラは、ライブビュー画面にノイズが表れるので星像を確認しづらく、 マニュアル時のピントの山がわかりにくいという欠点がありました。 それに比べてキヤノンのライブビューモードは見やすく、拡大ルーペと合わせて使うと、 ほぼ正確なピントをいち早く得ることができます。

このような星空撮影での使いやすさという点でキヤノンはまだ支持を集めていますが、 ニコンD800で撮影された高解像度の写真が天文誌のギャラリーに紹介されるとともに、ニコン製カメラに注目が集まりつつあります。 新しく発売されたニコンD810やニコンD750では、ライブビューの見やすさも改善されているという情報もあります。 フルサイズ一眼レフカメラ部門に限っていえば、キヤノンの牙城が崩れるのも時間の問題かもしれません。


キヤノンEOS6DとニコンD810A

ニコンD810A 2012年末に発売開始されたキヤノンEOS6Dは、EOS5DMarkIIIより画素数が若干少なくなったものの、 長時間撮影時のノイズが少なく、手ごろな価格のフルサイズデジカメということで、 天体写真ファンの間に徐々に広まりました。

当初は、星景写真を撮影する用途が主でしたが、2014年頃になると、EOS6Dのフィルターを天文用フィルターに換装して、 直焦点での星雲星団の撮影にも使われるようになりました。 また、キヤノンEOS6Dの人気が高まった影響で、35ミリフルサイズの分野でも、 再びキヤノンのデジカメが注目されるようになりました

そして、キャノンは、2015年2月に開催されたCP+で、 5,060万画素のCMOSセンサーが用いられた35ミリフルサイズ一眼レフカメラ「キヤノンEOS 5Ds」を発表しました。 ニコンD800シリーズに画素数で遅れを取っていたのを一気に巻き返す、キヤノンの超高画素モデルの登場です。 超高画素が話題を呼び、CP+のキヤノンのブースでは一般写真ユーザーの注目を集めましたが、 常用ISO感度が下がったため、天体写真ファンの間での注目度は今のところ限定的です。

一方、ニコンは、同じCP+で、同社初の天体撮影専用デジタル一眼レフカメラ「ニコンD810A」を発表しました。 天体写真の分野でキヤノンの後塵を拝していたニコンから、初の天体撮影専用機が発表されたということで、 天体写真ファンの注目を集めました。

天体写真分野にニコンが参入したことを喜ぶ天体写真ファンは多いですが、ニコンD810Aは、 同社のハイアマチュアモデル、ニコンD810をベース機種としているため、 販売価格がキヤノンEOS6Dに比べて高くなっており、購入をためらう人もいるかもしれません。 しかし、ニコンからD810Aが発表されたインパクトは大きく、 キヤノン機への対応が中心だった天体撮影用ソフトや天文パーツに、 ニコン機対応の動きが出つつあります。 ニコンD810Aの登場によって、キヤノン中心だった天体撮影用カメラのシェアが今後、 どのように動くのか注目されます。


富士フイルムのFinePixシリーズ

現在はキヤノンの一人勝ちの様相を呈している天体写真界ですが、 キヤノンのEOSKissDigitalが登場するずっと以前に、天体写真界で注目されていたデジタル一眼レフカメラがありました。 富士フイルムFinePixS2Proです。

デジタル一眼レフカメラが一般向けとして登場したのは2000年の頃ですが、天文用として主に使われ出したのは2002年の頃です。 この天体写真用デジタル一眼レフカメラの先駆けとなったのが、富士フイルムから登場したFinePixS2Proでした。

フジFinePixS2Proは、617万画素のハニカムCCDを撮像素子に使い、長時間ノイズが他の当時のデジカメと比べて抜きん出て少なくなっていました。 赤色の星雲の写りも比較的良かったので、デジカメのフィルター改造サービスがまだ登場していなかったこともあり、 天文ファンの間で注目の的となりました。 当時、天文誌のコンテストでもよくこのカメラが登場していました。

S2Proは、2005年にFinePixS3Proへモデルチェンジを行います。 画素数は一気に2倍の1,234万画素となりますが、他メーカーから新しく発売されたカメラと比べると長時間ノイズが多く、 また価格が高かったために人気は落ちてしまいました。 フジフィルムは、FinePixS2Proで天体写真ユーザーの支持を得ることができたのに、僅か一代でユーザーに離れられてしまう悲しい結果に終わりました。


その他のメーカー

ペンタックスやソニー、オリンパス、シグマ等もデジタル一眼レフカメラを製造しています。

それぞれ特徴があるラインナップで、オリンパスはフォーサーズというサイズの撮像素子を用い、 野鳥撮影ファンを中心に支持を得ています。 ペンタックスのアストロトレーサーも、赤道儀を使わなくても星を追尾できるということで話題を呼んでいます。

しかし、これらのメーカーのデジタル一眼レフカメラは、残念ながら星雲などを撮影する本格的な天体写真ファンにはあまり人気がないようです。 まず、フィルターの換装サービスを受けにくいというのが大きな原因の一つでしょう。 次に、天体望遠鏡メーカーによっては、カメラと望遠鏡を接続するカメラマウントに、キヤノンとニコン以外のモデルを用意していないという現実があります。 せっかく天体撮影用に購入しても、天体望遠鏡に接続できなければ、天体写真の楽しみは半減してしまいます。 それに加えて、天体写真の画像処理用ソフトウェアの対応が、キヤノンやニコン中心であることも人気が伸びない一因でしょう。

最近では、ペンタックスやソニーのデジタル一眼レフカメラの長時間ノイズも少なくなり、 天体写真に向いた機種も発売されるようになりました。 いろいろなカメラで天体写真を楽しむ上でも、天体望遠鏡メーカーには、それぞれのカメラに対応した取り付けアダプターを発売していただきたいところです。

また、最近のポータブル赤道儀ブームと共に、ミラーレスのデジカメも注目を集めるようになりました。 長時間ノイズという面では、デジタル一眼レフカメラが一歩先を行く感がありますが、 軽量でコンパクトなミラーレスカメラは赤道儀への負担が少なく、海外遠征時でも持ち運びやすいのが魅力です。 このようなミラーレスカメラ向けの接続アダプターの充実にも配慮してもらえるとありがたいです。

※作者の見解や印象も多分に入っていますので、軽い気持ちで読んでいただければ幸いです。

キヤノンEOS8000D
キヤノン EOS 8000D

キヤノンEOS8000Dは、2015年春に登場したデジタル一眼レフカメラで、入門機のEOSKissシリーズと、 中級機のEOS二桁モデルの間に位置する機種です。

EOS8000Dには、バリアングル液晶が採用されています。 バリアングル液晶は星空撮影に大変使い易く、 特に屈折望遠鏡ユーザーなら、撮影の度にこの機能のありがたさを実感するでしょう。 入門機のEOSKissX8iと変わらない価格で販売されているので、EOS8000Dの方がお勧めだと思います。

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キヤノンEOS6D
キヤノン EOS6D

2012年秋に発表されたのが、キヤノンのフルサイズデジタル一眼レフカメラ、キヤノンEOS6Dです。 画素数はEOS5DMarkIIやEOS5DMarkIIIよりも若干少ないものの、 高感度ノイズが大変少ないので、星景写真ファンに高い人気があります。

フルサイズデジタル一眼レフカメラの中では手頃な価格なこともあり、 天文用フィルターへの改造を天文ショップに依頼して、星雲・星団の撮影にも使われています。 現在、星空撮影に最も適したカメラの一つだと思います。

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ニコンD810A
ニコン D810A

ニコンD810Aは、ニコンD810をベースとしたデジタル一眼レフカメラで、ニコン初の天体撮影用専用モデルです。 D810AにはHα光の透過率を高めたフィルターが用いられているので、天体写真ファンに人気の赤い星雲を鮮やかに写しだす事ができます。 専用フィルター以外にも、拡大率が高いライブビューモードや暗視野の赤色照明など、天体撮影時に便利な機能が用意されているのが魅力です。

D810Aは、35ミリフルサイズ機ですので、天体撮影の専用デジカメとしては大変高価ですが、 メーカーのサービスセンターで保証や修理を受けられるので安心感があります。 キヤノンEOS60Daの発売は終了していますので、現在、唯一手に入れられるカメラメーカー純正の天体撮影用デジタル一眼レフカメラです。

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2013年11月改訂・追記
2014年10月改訂・追記
2015年3月追記
2015年5月改訂・追記

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