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キヤノン EF-M22mm F2 STM レビュー

Sigma 35mm F1.4 DG HSMレンズ キヤノン EF-M22mm F2 STMは、キヤノンのミラーレス一眼カメラEOS Mシリーズ専用の交換レンズです。 2012年秋に発売が開始されました。

このレンズは、キヤノン初のミラーレスカメラEOSMの発売に合わせて、 レンズキットとしても発売開始されたレンズで、パンケーキタイプのコンパクトなレンズです。 コンパクトなミラーレス一眼カメラとのマッチングもよく、描写も良いという評判で、 キヤノンEOS Mユーザーに人気のあるレンズです。

キヤノン EF-M22mm F2 STMは、開放F値が2と明るいので、星空撮影にも使いやすいスペックのレンズです。 今回、このレンズで星空を撮影しましたので、 周辺減光の様子と星像について検証してみました。


キヤノン EF-M22mm F2 STMレンズの概要と外観

キヤノンEF-M22mm F2 STMレンズは、レンズの全長わずか23.7mmの薄型パンケーキレンズです。 レンズ構成は6群7枚で、非球面レンズが1枚採用されています。 この非球面レンズの採用により、高解像・高コントラストの像を結ぶとメーカーはアナウンスしています。

レンズのAF駆動には、ステッピングモーター(STM)が採用されています。 STMタイプのレンズは、レスポンスの良さと静音性が特長で、 動画撮影に向いているとされています。 デジカメで動画を撮影する機会が増えるにつれ、最近発売される同社の新しいレンズには、 このSTMタイプが採用されることが多くなってきています。

キヤノン EF-M22mm F2 STMの実勢価格は23,000円前後です。 同社には、EFマウント採用のパンケーキレンズ、キヤノンEF40mm F2.8 STMがありますが、 こちらの実勢価格は18,000円前後なので、そちらと比べると若干割高な印象です。 しかし、EOSMとのレンズキットとして購入すると、ボディ価格から僅かな追加料金で手に入れることができるため、 キットレンズとして人気があります。
※キヤノンEOS M2とキヤノン EF-M22mm F2 STMレンズとのレンズキットは、現在のところ用意されていないようです。

EF-M22mm F2 STMレンズの最短撮影距離は0.15m、フィルター径は43ミリです。 下にEF40mm F2.8 STMと大きさ比較の写真を載せていますが、 レンズの外径は、68.2ミリから60.9ミリと若干細くなるものの、 長さはEF-M22mmレンズの方が1ミリほど長くなっています。 重さは25g程、EF-M22ミリレンズの方が軽量です。

キヤノン EF-M22mm F2 STMの写真 キヤノン EF-M22mm F2 STMのマウント
キヤノン EF-M22mm F2 STMのマウント

一般撮影での印象

Canon EF-M22mm F2 STMレンズで撮った写真 キヤノン EF-M22mm F2 STMは、開放F値の明るい広角レンズですので、 パンフォーカスを生かした風景写真やスナップ撮影、またボケを生かした撮影に使用することができます。

今回は、キヤノンEOS Mと組み合わせて、見頃を迎えていた桜の写真を撮影してみました。 様々な条件で撮影してみましたが、逆光時でもコントラスト低下が少なく、 単焦点レンズらしい透明感のある画像を得られました。 ただ開放撮影時は、周辺減光がかなり目立ちました。

オートフォーカスの速度は、今回使用したデジカメがキヤノンEOS Mだった影響か、もさっとした印象です。 新型のミラーレスカメラEOS M2と組み合わせて使用すれば、もう少しきびきびとした動作が得られたかもしれません。

EF-M22mm F2 STMをキヤノンEOS MやEOS M2に取り付けても、 高級コンパクトデジカメ並みの大きさで収まります。 これなら小さなバッグにも容易に入れることができるので、 気軽にカメラを持ち歩きたいスナップ撮影などの用途に適していると思います。


星空撮影での印象

周辺減光の様子を調べるために、 キヤノンEF-M22mm F2 STMとAPS-Cサイズのセンサーが用いられたミラーレス一眼カメラ、 キヤノンEOS Mを使用して星空を撮影してみました。

下がその画像です。左は絞り開放で撮影した画像、右は1段絞ってF2.8で撮影したもの、 その下はF4とF5.6に絞って撮影した、おおぐま座の北斗七星付近の写真です。 どの画像も周辺減光補正やトリミング等の画像処理は施していません。 撮影には、ポータブル赤道儀を使用しました。

絞り開放で撮影 絞りF2.8で撮影
キヤノンEF-M22mm F2 STMレンズの開放で撮影した星空 キヤノンEF-M22mm F2 STMレンズの絞り2.8で撮影した星空
拡大画像へのリンク 拡大画像へのリンク
絞りF4で撮影 絞りF5.6で撮影
キヤノンEF-M22mm F2 STMレンズの絞り4で撮影した星空 キヤノンEF-M22mm F2 STMレンズの絞り5.6で撮影した星空
拡大画像へのリンク 拡大画像へのリンク

小さな画像では分かりづらいかもしれませんが、絞り開放の画像では、中央部は明るく、周辺部はかなり暗くなっています。 その画像と比較すると、1段絞ったF2.8の画像では、周辺減光が減少しています。 2段絞ると明るさはよりフラットになり、3段絞ると光量は一層均一になりますが、 F2.8と比べてそれほど大きく周辺減光が減ったようには思えませんでした。 これらの結果からすると、周辺減光が気になる星空撮影の際は、 1段程度絞って撮影するのが良さそうです。

※リンク先の大きな画像もご覧下さい。
※画像の上側が他と比べて若干明るくなっているのは光害の影響です。


キヤノンEFM22mm F2レンズの像面湾曲

星空を撮影する際、写真全面で良好な星像を得るため、ピントを合わせる時は、 写野の中心部ではなく、中心から少し離れた地点でピントを合わせています。 こうすることによって、写真全体に渡ってシャープな星像を得られることが多いのですが、 このレンズの撮影画像を仔細に確認したところ、他のレンズの星像と若干様子が異なっていました。

下の画像は、絞りをF2.8に絞って撮影した北斗七星の写真です。 四角くマークをしたポイントの星を使ってピントを合わせた後、露出時間190秒で星空の撮影を行いました。

キヤノンEFM22mm F2レンズで撮影した北斗七星

この撮影画像をパソコンモニターで等倍表示してみたところ、 中心部の星像がボケているのに気づきました。 下がそれぞれのポイントでのピクセル等倍画像です。

ピントを合わせたポイント 画像中心 右上隅
キヤノンEFM22mm F2レンズの星像1 キヤノンEF-M22mm F2 STMレンズの中心星像 キヤノンEF-M22mm F2 STMレンズの星像3

この画像をご覧いただくと、ピントを合わせた付近の星と比べて、 写野中心の星が若干ボケているのがわかります。 右上隅の星はピントはほぼ合っているようですが、収差で星がコマ状に広がっています。

次に、今度は写野中心の星を使ってピントを合わせてから、 東の空から上ってきた夏の大三角付近を絞りF2.8で撮影してみました。 以下は、その全体画像とそれぞれのポイントでのピクセル等倍画像です。

キヤノンEFM22mm F2レンズで撮影した夏の大三角
ポイント@ ポイントA ポイントB
キヤノンEFM22mm F2レンズの中心星像(絞り開放) キヤノンEF-M22mm F2 STMレンズの星像 キヤノンEF-M22mm F2 STMレンズの撮影画像

今回は、写野中心の星でピントを合わせましたので、中心部の星像は極めてシャープです。 一方、写野端の星はドーナツ状に写っており、星がピンボケして写っているのがわかります。 これらの撮影結果から、私が今回使用したキヤノンEF-M22mm F2 STMレンズは、 周辺部と中心部でピント位置がわずかにずれていることがわかりました。 レンズが作り出す焦点面が、若干湾曲しているためと思われます。


星像と色収差

星空を撮影する際には、特に周辺の星像が気になるところですので、 絞りを各段階に絞ったときの、中心星像と周辺星像を調べてみました。 それぞれのF値に絞ったときの、画像各ポイントでのピクセル等倍画像を以下に掲載しましたのでご覧下さい。 なお、ピントを合わせたポイントは、上の北斗七星を撮影したときと同様、中心から少し離れた地点です。

絞り開放で撮影 絞りF2.8で撮影 絞りF4で撮影 絞りF5.6で撮影
中心像 キヤノンEFM22mm F2レンズの中心星像(絞り開放) キヤノンEFM22mm F2レンズの中心星像(絞りF2.8) キヤノンEFM22mm F2レンズの中心星像(絞りF4) キヤノンEFM22mm F2レンズの中心星像(絞りF5.6)
右下隅の星像 キヤノンEFM22mm F2レンズの右下星像(絞り開放) キヤノンEFM22mm F2レンズの右下星像(絞りF2.8) キヤノンEFM22mm F2レンズの右下星像(絞りF4) キヤノンEFM22mm F2レンズの右下星像(絞りF5.6)
左上隅の星像 キヤノンEFM22mm F2レンズの左上星像(絞り開放) キヤノンEFM22mm F2レンズの左上星像(絞りF2.8) キヤノンEFM22mm F2レンズの左上星像(絞りF4) キヤノンEFM22mm F2レンズの左上星像(絞りF5.6)

まず中心星像から見ていきましょう。 絞り開放の中心画像は、ピント面のズレのため、星像がボケて甘く、輝星の回りにパープルフリンジが見受けられます。 絞りを一段絞るとパープルフリンジは目立たなくなりますが、まだ星像は甘い印象です。 F4になるとほぼ満足できる星像になり、F5.6まで絞るとより一層シャープな星像になりますが、 ここまで絞るとレンズの明るさが生かされない気がします。

周辺の星像を見ると、絞り開放では星にスパイク状のコマが発生しているのがわかります。 この星像の収差は、絞りを1段絞ると若干改善され、2段絞るとほとんど目立たなくなります。 3段絞ってF5.6で撮影すると、コマは目立たなくなりますが、今度は星が放射状に伸びたように写りました。

以上の結果から、絞り開放時は像の湾曲によるピント位置の誤差が大きく出る上、色収差も発生するので、 星空撮影には向いていないと考えられます。 F2.8程度まで絞れば周辺星像は許容できる範囲まで改善されるので、全体に渡って星像が比較的よいピント位置を探すことができれば、 実用できるかもしれません。 しかし、写野全体に渡ってシャープな像を安定して得たいなら、F4に絞って撮影するのが良さそうです。


キヤノンEF-M 22mm F2レンズを星空撮影に使った印象

キヤノンEF-M 22mmレンズは、ネットでの評価も高く、 開放F値の明るい広角レンズなので、星空撮影に使いやすいミラーレス用レンズとして期待していました。 しかし、実際に星空を撮影してみると、ピント位置の誤差が他のレンズに比べて大きく、 開放絞りでは中心付近しかピントが合いません。 これは製品の個体差もあるのかもしれませんが、少々残念でした。

絞りを2段絞れば、ピント位置のズレも気にならなくなり、ほぼ全面にわたって良好な星像となりますが、 このレンズの明るさを生かせないのが難点です。 焦点距離が22ミリ前後の画角は星空撮影に使い易いのですが、EFマウントのキヤノンEF24mmF1.4LIIレンズもそうだったように、 開放から良好な星像のレンズが少ないのが残念です。

しかし、キヤノンEF-M 22mmレンズには軽量でコンパクトという大きな利点があります。 その優れた特徴を生かして、小型のポータブル赤道儀と組み合わせた星景写真撮影や、 旅行時のスナップ写真撮影などに活躍させていきたいと考えています。

キヤノンEF-M 22mm F2レンズのスペック

名称 EF-M22mm F2 STM
焦点距離 22mm
レンズ構成 6群 7枚
絞り羽枚数 7枚
最短撮影距離 0.15m
フィルター径 43ミリ
大きさ 23.7mm×60.9mm(最大径)
重量 105g
EF-M22mm F2 STM
Canon EF-M22mm F2 STM

キヤノンのミラーレス一眼カメラ専用の広角レンズです。 レンズ本体がコンパクトなパンケーキタイプなので、スナップ撮影などに人気があるレンズです。 F2と明るい単焦点レンズですので、星空撮影に適したスペックですが、 絞り開放では若干ピントが甘いようです。

レンズ単体の価格は2万数千円前後ですが、 キヤノン製ミラーレスカメラとのレンズキットで購入すれば、比較的安価に手に入れることができます。 小型のポータブル赤道儀には、軽量なデジカメとレンズが適していますので、こうしたレンズを使って星空を撮影してみるのも面白いのではないでしょうか。

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