天体写真の世界 > 天体望遠鏡の選び方 > 天体望遠鏡の種類と仕組み

天体望遠鏡の種類と仕組み

天体望遠鏡の選び方にも述べたように、望遠鏡の種類は、屈折式と反射式に大きく分かれます。 詳細に分類すると、反射式や屈折式の中にも色々な形式があり、それぞれに特徴があります。 少し専門的になりますが、このページでは各望遠鏡の仕組みや特徴について、具体的な商品名を紹介しつつ説明しています。


屈折式天体望遠鏡

学校の授業で、光の屈折について学んだ記憶があると思います。 屈折率が異なる物質に光が斜めに入射すると、光線の方向が変わるという法則です。 この法則を利用して光を集めるのが、屈折式天体望遠鏡です。

屈折式天体望遠鏡の先端には、下図のように、対物レンズと呼ばれる大きなレンズが固定されています。 光は、このレンズを通過する間に曲げられ、後方に焦点を結びます。 この対物レンズでできた像を、接眼レンズで拡大して観察するように作られたのが、屈折天体望遠鏡です。

屈折式天体望遠鏡の構造図

屈折式望遠鏡の利点は、以下の通りです。

天体望遠鏡の向きと見る方向が一致するので、観察対象を捉えやすい
光軸調整などのメンテナンスがほぼ不要
筒内気流が起こりにくいため、外に出してすぐに観測を開始できる
反射望遠鏡と異なり、光路を遮るものがないため、コントラストの高い像を得ることができる

逆に欠点としては、以下の点が上げられます。

色収差が発生する
口径の大きな屈折望遠鏡は、反射式に比べて価格が高くなる
口径が大きくなるにつれて鏡筒が長く、重くなる

屈折式の最も大きな問題は色収差ですが、色収差の発生をほとんどなくした、高性能な屈折望遠鏡が開発されました。 色収差の極めて少ない屈折望遠鏡は、アポクロマート屈折望遠鏡と呼ばれ、2枚玉のアクロマート望遠鏡よりも、 更に優れた色消し性能を有しています。

最近のアポクロマート屈折望遠鏡は、対物レンズに、EDレンズやフローライトレンズを用いて、色収差を減らすだけでなく、 レンズ配置やレンズ構成を工夫して、ユーザーの目的に合うような商品が開発されています。


アクロマート屈折望遠鏡

アクロマートレンズの構造 プリズムに光を当てると、光が七色に分解されます。 これは光は波長毎に屈折率が異なるためですが、屈折望遠鏡は、この光の屈折を利用して光を集めるため、 色収差が生じてしまいます。

望遠鏡が発明された当時から、この色収差は大きな問題でした。 屈折率を小さくすれば、色収差も少なくなるため、曲率の弱いレンズ(厚みの薄いレンズ)を作成し、 焦点距離が非常に長い天体望遠鏡が作られたりしました。 ヘベリウスが作った、45mの望遠鏡は、その代表的なものと言えるでしょう。

色収差を減らすため、様々なガラスで対物レンズが作られました。 そして登場したのが、アクロマート天体望遠鏡です。 ヘベリウスが望遠鏡を作った頃は、対物レンズに単レンズが用いられていましたが、 アクロマート屈折望遠鏡には、屈折率の異なる2種類のガラス素材からできた、2枚のレンズが使われています。

このような対物レンズを、アクロマートレンズと呼び、 アクロマートレンズを使った天体望遠鏡を、アクロマート天体望遠鏡や、アクロマート屈折式と一般的に呼んでいます。

アクロマートレンズは、それまでの単レンズと比べると抜群の色消し性能がありますが、 2つの波長(C線とF線)だけで補正が行われているため、まだ若干の色収差が残り、 明るい星や月を見ると、青ハロや色のニジミが若干感じられます。 天体観望では、それほど気にならない程度の色のニジミですが、天体写真を撮る際は問題となります。

アクロマートレンズは、比較的安価なので、入門用天体望遠鏡のレンズとして広く使われています。 F値の大きい天体望遠鏡を選べば、観望用途では、色収差がほぼ気にならないレベルまで補正されています。


アポクロマート屈折式天体望遠鏡

アポクロマートの構造 アクロマートレンズの登場により、屈折式望遠鏡の色収差は、劇的に減少しましたが、写真撮影にはまだ不十分でした。 次に登場したのが、3色に対して色消のアポクロマートレンズを対物レンズに用いた天体望遠鏡です。

3色の色消しを実現するため、アポクロマートの対物レンズには、3枚のレンズが用いられました。 現在は、超低分散ガラスから製造したEDレンズや、フローライトレンズ(蛍石)を使うことで、 2枚のレンズでも同等以上の性能が得られるようになり、これが主流です。 アポクロマートレンズは、従来のアクロマートレンズに比べて、非常に優れた色消し能力を持っています。

アポクロマート望遠鏡は、屈折式天体望遠鏡の一番の弱点だった色収差を減らしましたが、 残念なことに価格が非常に高くなってしまいました。 同口径のアクロマート望遠鏡と比べると、アポクロマート望遠鏡の価格は2〜3倍高くなっています。

アポクロマート望遠鏡が、入門用機材として敬遠される理由はこの高価格ですが、 一度使用すると、それだけの価値が感じられる天体望遠鏡と思います。 以下、市販されているアポクロマート式望遠鏡の種類と特徴を見ていきましょう。


フローライト屈折望遠鏡

フローライト屈折望遠鏡の構造 対物レンズに用いられている凸レンズや凹レンズに、フローライトガラスを用いたアポクロマート望遠鏡です。

フローライトは、蛍石とも呼ばれる高級光学レンズ材で、高性能カメラレンズにも用いられます。 EDレンズより色収差補正能力が優れているとされ、昔はフローライト1枚でEDレンズ2枚分の色消し効果があると言われていました。

一方、フローライトは、EDガラスに比べて柔らかいため傷が付きやすく、経年劣化しやすい素材と言われています。 また、強度も低いので、急激な温度変化による破損にも注意する必要があります。 現在ではハードコーティング技術も進んでおり、強度も向上していますが、 基本的にデリケートなレンズと言えるでしょう。

フローライトを対物レンズに使用した天体望遠鏡としては、高橋製作所のFS、FCシリーズが有名でしたが、 ガラスのエコ化と共に、1990年代に生産が終了しました。 しかし、天文ファンの根強いフローライトへの思い入れがあったのでしょう、 一部の製品が、デジタル対応の新設計になって復活しています。

2018年現在、高橋製作所のラインナップの中には、凸レンズを前玉に用いた、タカハシFS-60CBと、 後玉に凸レンズを配置した、FC-76D、FC-100Dが掲載されています。 その他には、BORG天体望遠鏡から、BORG71FLが販売されています。


3枚玉アポクロマート

3枚玉アポクロマートの構造 現在主流の、EDレンズやフローライトを使ったアポクロマート屈折式天体望遠鏡の対物レンズには、 凸レンズ(EDレンズやフローライトレンズ)と、凹レンズを組み合わせた、 2枚玉と呼ばれるレンズ構成が採用されています。

この対物レンズのレンズを一枚増やし、3枚玉構成にして、色収差や球面収差の補正能力を、 より向上させた望遠鏡が、現在の3枚玉のアポクロマート天体望遠鏡です。

対物レンズの枚数を増やすと、レンズの屈折面が増えるため、光線の方向を操作できる自由度が向上します。 その利点を利用して、より収差の補正を狙った高級機には、3枚玉対物レンズが用いられるケースが多くなっています。

3枚玉アポクロマートの代表としては、高橋製作所のTOAシリーズがあります。 口径13センチと15センチのモデルが販売されていて、どちらもとても大きな望遠鏡です。 3枚玉の良好な収差特性と相まって、世界トップレベルの性能を誇っています。

高性能なTOAシリーズですが、非常に高価なため、 口径を小さくして設計変更した、口径10センチのTSA102、12センチのTSA120という、 3枚玉アポクロマートも同社から販売されています。
※TSA102は販売終了

ビクセンからは、AX103Sという口径10センチの3枚玉アポクロマートが販売されています。 AX103Sは、接眼部近くにフラットナーが標準装備されており、より天体写真撮影向きに作られています。

海外メーカーのExplore Scientificからは、口径8センチから15センチの、3枚玉アポクロマート鏡筒が販売されています。 3枚玉にしてはリーズナブルで、価格は日本の2枚玉アポクロマートと同程度に抑えられています。


ペッツバール式天体望遠鏡

ペッツバール式とは聞き慣れない名前ですが、望遠レンズによく用いられているレンズの構成方式です。

ペッツバール方式は、レンズを前群と後群に分けて、色収差だけでなく、コマ収差や像面歪曲も補正している点が特徴です。 主に、天体写真撮影用途の天体望遠鏡に採用される形式です。

ペッツバール方式が採用された天体望遠鏡としては、高橋製作所のFSQ-106EDが有名です。 大変優れた写真用望遠鏡で、フルサイズセンサーの隅まで鋭い像を結び、国内外から高い評価を得ています。

FSQ-106EDの口径を小さくした、FSQ-85EDも天体写真ファンの高い支持を集めています。 どちらもF値が明るく、写真に適した設計が採用されていますが、眼視による観望でも優れた性能を発揮します。 弱点としては、価格が3枚玉以上に高価なことでしょう。


反射式天体望遠鏡

反射式天体望遠鏡は、レンズの代わりに凹面鏡を使って、星の光を集めるタイプの天体望遠鏡です。 ニュートン式反射望遠鏡が、反射望遠鏡の代表的な存在です。

ニュートン反射式は、下図のように、主鏡と呼ばれる凹面鏡(放物面鏡)で光を集め、 集めた光を鏡筒の開口部近くにある斜鏡(平面鏡)で反射させて、筒外へ光を導きます。 その光を接眼レンズで拡大して、観察するという仕組みになっています。

ニュートン式反射天体望遠鏡の構造図

ニュートン式反射望遠鏡の利点は、以下の通りです。

色収差が発生しない
大口径を得やすい
中心像が極めてシャープ
同口径の屈折式と比べて安価で軽量

逆に欠点としては、以下の点が上げられます。

光軸がズレやすい
筒内気流が発生するので、使用前に外気になじませる必要がある
太陽観測ができない
副鏡が光を遮る
何年かに一度、鏡の再メッキが必要

反射式の最大の利点は、色収差が発生しないことです。 屈折式と見比べると、反射式では恒星がすっきりと見えることがわかります。 また、屈折式に比べて、反射式は大口径を得やすく、安価なのも魅力です。

一方、反射式はミラーの位置がずれ易く、ずれると光軸合わせが必要になります。 また、副鏡(斜鏡)やスパイダーが光路を遮るため、同口径のアポクロマート屈折式に比べて、 コントラストが若干悪くなります。


カセグレン式

カセグレン式は、主鏡にはニュートン式と同じ放物面鏡を用い、副鏡に凸面鏡を用いた反射式望遠鏡です。 屈折式と同じように、接眼部が鏡筒の後部にあるのが特徴です。

副鏡を平面鏡にすればニュートン式として使え、鏡筒長も短くなるという利点があるカセグレン式ですが、 副鏡に用いる双曲面凸鏡を高精度で製造するのが難しく、小型のものはあまり作られていません。 一方、その取り回しの良さから、公共天文台の大型望遠鏡でよく見かける形式です。

カセグレン式反射天体望遠鏡の構造図

カセグレン式には、シュミットカセグレン式や、リッチークレチアン式など、派生の光学系が多数あります。 それらと区別するために、副鏡に双曲面凸鏡を用いた天体望遠鏡を、 クラシカル・カセグレン式や純カセグレン式と呼ぶことがあります。

アマチュア用望遠鏡としては、高橋製作所から、タカハシCN-212が販売されていました。 CN-212は、カセグレン焦点とニュートン焦点を切り替えて使用できる面白い天体望遠鏡でしたが、 現在は製造終了となっています。

2019年、笠井トレーディングがGS社の純カセグレン式望遠鏡、GS-150CCとGS-200CCの取り扱いをはじめました。 価格も比較的安価で魅力的な商品ですが、 F値に対して副鏡の遮蔽率が高く、惑星観測や撮影には不向きかもしれません。


シュミットカセグレン式

望遠鏡の開口部にシュミット補正板という非球面ガラスを置き、 副鏡と主鏡を球面鏡にしたものがシュミットカセグレン望遠鏡です。 よく「シュミカセ」と呼ばれているタイプです。

シュミットカセグレン式では、主鏡と副鏡を球面鏡にしたため、収差が発生しますが、それをシュミット補正板で補正しています。 球面鏡を使うため、加工が容易で大量生産できるようになりました。 鏡筒長も短いので、重量が軽く、取り回しも楽という特徴があります。

シュミットカセグレン式反射天体望遠鏡の構造図

鏡筒は補正板でふさがれているため、従来は筒内気流が発生しないと考えられていましたが、 実際は気流が起こりやすく、また筒が閉じているために、一度気流が発生するとなかなか収まらないという難点があります。 筒内気流を速やかに抑えるため、接眼部から挿入する空冷ファンなどが市販されています。

シュミットカセグレン式の多くの機種では、主鏡の前後移動でピント合わせを行うため、ミラーシフトという光軸のずれが起こります。 撮影の際には注意が必要な現象で、これをキャンセルする冨田式ロックというアイテムがあります。

シュミットカセグレンの代表的なメーカーとして、アメリカのミード社とセレストロン社があります。 ニュートン式や純カセグレン式に比べると中心像は甘いですが、 口径の割にコンパクトで価格も抑えられているため、リーズナブルな大口径望遠鏡として人気があります。


シュミットカメラ

シュミットカメラは、観望するための天体望遠鏡ではなく、写真撮影に特化した鏡筒です。 そのため望遠鏡に接眼部はなく、鏡筒内にフィルムを充填するための窓口があいています。

シュミットカメラの筒先には、補正板が取り付けられていて、主鏡で発生する収差を補正できるようになっています。 主鏡で集められた光は、鏡筒内に設けられたフィルムホルダー上で焦点を結びます。 ただ、この焦点は球面になるため、フィルムを球面に合うようにカーブさせて取り付ける必要があります。

シュミットカメラの構造図

シュミットカメラ光学系は、F値がF2〜F3と非常に明るく、全写野にわたって球面収差やコマ収差のない像を得ることができます。 この速写性と広い視野を生かして、銀塩フィルム全盛の頃は、彗星の撮影によく使用されていました。 しかし、光軸調整の難しさや焦点面が平らでないことから、デジタルデバイスが発展するにつれて姿を消しつつあります。

代表的なシュミットカメラとしては、日本特殊光学(JSO)の16センチF2.5があげられます。 現在では販売されていませんが、1990年代には人気を博していました。


リッチークレチアン式

リッチー・クレチャン望遠鏡は、よくRC望遠鏡と呼ばれている反射ミラーを使った望遠鏡です。 天文台の大型望遠鏡によく使用されている形式で、ハワイのすばる望遠鏡もリッチークレチアン式です。

リッチークレチアン式の主鏡と副鏡には、複雑な高次非球面鏡が用いられています。 反射望遠鏡は、コマ収差が大きく出るのが欠点ですが、リッチークレチアン式では、このミラーのお陰でコマ収差のない像を得ることができます。

しかし、焦点面が湾曲するので、画面の端まで均一なピントを得るには、フィルムや撮像素子を焦点面の曲率に合わせてカーブさせる必要があります。 このような加工は現実的でないため、天体撮影には、焦点面を平らにするフィールドフラットナーがよく用いられます。

代表的なリッチークレチアン望遠鏡としては、アメリカのRCOS社の製品があります。 口径25センチから1m以上の製品がそろっており、世界の天体写真家の間で人気がある製品です。 また、笠井トレーディングからは、台湾製のGSシリーズが販売されています。 こちらは比較的リーズナブルなので、長焦点撮影をはじめてみようとする天文ファンからも人気があります。


ドール・カーカム式

ドールカーカム式は、イギリスの天文ファン、ドール氏が発明した天体望遠鏡です。 主鏡に楕円面鏡、副鏡に球面鏡を用いており、鏡の加工が比較的容易なのが特徴です。

ドールカーカム式の中心像は、ニュートン式に劣らないほどシャープですが、 コマ収差はカセグレン式の4倍と非常に大きく、良像を得られる写野が狭いのが欠点です。 そのため、広がった星雲の撮影には適していません。

ドールカーカム式は、主に惑星や月面の観望や撮影に使用されています。 F値が12前後と長いので、高倍率を得やすいのも利点でしょう。

ドールカーカム式の構造図

ドールカーカム式は、主鏡と副鏡が球面なので、 リッチークレチャン式や純カセグレン式に比べて光軸合わせが行いやすいのが美点です。

鏡筒内に補正レンズを組み込んだ「コレクテッド・ドールカーカム式」と名づけられた天体望遠鏡も市販されています。 コレクテッド・ドールカーカム式では、ドールカーカム式の弱点だったコマ収差を補正し、 天体撮影に適した機種も販売されています。

ドールカーカム式の代表的な望遠鏡としては、 タカハシのミューロンシリーズ、PlaneWave社のCDKシリーズが上げられます。


マクストフ・ニュートン式

マクストフニュートン式は、ロシアのマクストフ氏が考案した改良型ニュートン式望遠鏡です。

マクストフニュートン式の筒先には、メニスカスレンズと呼ばれる球面レンズがはめ込まれ、主鏡で発生する収差を補正しています。 副鏡はメニスクレンズの中央に固定されているので、ニュートン式とは異なり、スパイダーが必要ありません。 主鏡や副鏡は球面のため、精度良く生産しやすいという特徴があります。

マクストフニュートンの構造図

マクストフニュートン式にはスパイダーがないため、光の回折が少なくなり、 惑星観望などでコントラストの高い像が得られます。 また、コマ収差が補正されているので、直焦点撮影に使っても面白いかもしれません。

代表的なマクストフニュートン望遠鏡としては、笠井トレーディングが取り扱う、INTES-MICROのALTERシリーズが上げられます。 副鏡を変更して焦点位置を鏡筒後方に移動した、マクストフカセグレン式という製品もあります。


イプシロン式

イプシロン光学系は、高橋製作所が製造している天体写真用の天体望遠鏡シリーズです。 外観はニュートン式反射望遠鏡とよく似ていますが、鏡筒長が短かく、ずんぐりした形をしています。 明るいF値と広い写野が魅力の撮影用望遠鏡です。

タカハシε-180EDの光学概略図

主鏡には双曲面鏡が使われており、主鏡で発生した収差を、接眼部に取り付けられた補正レンズで取り除いています。 改良型リッチークレチアン式とも考えられる光学系ですが、ニュートン式と同じ構造のため取り扱いやすくなっています。 メーカーのカタログによれば、この望遠鏡は観望には不適で、天体写真撮影専用とされています。

一時、全機種の生産が終了していたイプシロンシリーズですが、 デジタルカメラが天体撮影に使われだしてから、再び注目を集め、再生産がはじまりました。 現在は、口径18センチのε-180EDと、口径13センチのε-130Dが高橋製作所から販売されています。


シーフシュピグラー式

反射望遠鏡には色収差が全くありませんが、副鏡が入射する光の一部を遮るため、どうしても星の回折像が乱れます。 屈折望遠鏡では容易に見ることができる回折リングが、反射望遠鏡ではよく見えないのもこのためです。 この回折限界に反射式で挑もうと考え出されたのが、シーフシュピグラー式です。

シーフシュピグラー式の望遠鏡は、下図のように、主鏡を斜めにおいて、 入射光線上から外した副鏡に光を集めるような構造をしています。 観望する際は、この副鏡から反射された光を接眼レンズで拡大して観察します。

シーフシュピグラー式反射天体望遠鏡の構造図

シーフシュピグラー式では、副鏡やスパイダーによる回折や光損失がないため、 回折限界までの良像が得られますが、鏡の製作が難しく、非点収差が発生しやすいのが難点です。 この収差を目立たなくするため、F20〜F25と口径比の大きい製品が主に作られています。 珍しい形式の天体望遠鏡ですが、笠井トレーディングが、スイスAOK社の製品を取り扱っています。

誰でも使える天体望遠鏡
誰でも使える天体望遠鏡

これから天体観測を始めてみようという初心者の方向けに、 天体望遠鏡の選び方から、基本的な使い方までを説明している書籍です。 シンプルな構成で読みやすいのが特徴です。

初心者に人気のある屈折望遠鏡を中心に解説している本ですので、 このページに載せているような、マニアックな内容は掲載されていません。 しかし、これから望遠鏡を初めて購入しようと思っている方には参考になる本だと思います。

Amazon