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よくいただくご質問集 FAQ

星空観望会や、天体撮影地などでいただいたご質問をまとめました。 回答には、作者の見解や印象も多分に入っていますが、一つの意見としてご参考にしていただければ幸いです。

Q:ビクセンの赤道儀に他社の望遠鏡を載せることは問題ないのですか?

A:問題ありません。 実際に、ビクセンのSXP赤道儀にタカハシのFSQ望遠鏡や、 BORGの望遠鏡を載せて天体撮影を楽しまれている方がたくさんいらっしゃいます。 赤道儀のヘッド部分のネジ径が共通化されつつありますので、他社製のものでも比較的簡単に取り付けられるようになりました。 とは言っても、中にはアダプターが必要なものもありますので、他社製のセットの購入をご検討される際には、 一度天文ショップに相談されることをお勧めします。


Q:ビクセンポルタで月を撮る時に必要なカメラアダプターはなんですか?

A:ビクセンには様々なオプションパーツが用意されていますが、ポルタ経緯台に 使い易いカメラアダプターは「デジタルカメラクイックブラケット」という製品です。 これは天体望遠鏡の接眼部分に挟む形で使用し、コンパクトデジカメを取り付けて撮影できるように なっています。私も所有していますが、他社製の天体望遠鏡やフィールドスコープにも使用できて、 大変便利なパーツです。


Q:ビクセンのポルタとポルタUの違いはなんですか?

A:ポルタとポルタUの違いですが、フリーストップ架台部分と三脚が取り外せるようになったのが 大きな違いです。それ以外はボディの色合いが変わったぐらいで、同じ機能を有しています。 接眼部も同じ形状(31.7スリーブ)ですので、どちらも同じようにアダプターを使用できます。


Q:銀河や星雲の写真を撮りたいのですが、赤道儀を買わないと撮れませんか?

A:星雲や銀河は小さいので、大きく撮ろうと思うと、望遠レンズや望遠鏡を使って像を拡大する必要があります。 拡大すると星は視野の中で大きく動きますので、1分という短い露出時間でも星は流れて写ってしまいます。 そのため、どうしても星を追いかける装置、赤道儀が必要です。 どのような天体を取りたいかを決めてから、赤道儀を選ばれた方がよいと思います。 載せる機材の大きさによって赤道儀の大きさも変わってきますので、載せる最大の機材に合わせて赤道儀を 購入されると良いと思います。


Q:デジスコという言葉をよく見かけます。これはなんですか?

A:デジスコというのは造語で、デジカメとスコープを使って撮影する方法のことです。 詳しくはデジスコとデジカメというページにまとめましたので、左のリンクからご覧ください。


Q:天体望遠鏡の口径は大きい方がよいと聞きました。カタログに載っている一番大きな屈折望遠鏡を 買えばよいのですか?

A:仰るとおり、口径が大きくなるほど望遠鏡の性能は上がります。しかし大きくなれば重さや大きさも 大きくなりますから、その点を留意する必要があります。 また、同じ設計の屈折望遠鏡の場合、口径が大きくなるほど色収差などが出やすくなります。 ですから、小さい望遠鏡で性能が良かったからと言っても、それと同じモデルの大口径の性能もよいとは限りません。


Q:初めて望遠鏡を買います。安価な反射望遠鏡を買う上で注意した方がよいことはありますか?

A:少し専門的なお話しになりますが、反射望遠鏡の主鏡には、凹面鏡が使われています。 凹面鏡には、いろいろな種類がありますが、ニュートン式反射望遠鏡の主鏡に使われているのは、 放物面鏡という鏡です。 安価なモデルには、放物面鏡の代わりに球面鏡が使われたものがありますが、 球面鏡の場合は、星の光が一点に集まりませんので、性能が落ちてしまいます。 小口径なら気にならないこともありますが、できれば、このような製品は避けた方がよいと思います。


Q:口径6センチの望遠鏡を使って楽しめる天体は何ですか?

A:お住まいの場所の星空環境にもよりますが、小さな望遠鏡でもいろいろな天体を楽しむことができます。 小口径で見やすい天体を「天体観測入門」のページにまとめましたので、そちらをご覧になってください。


Q:望遠鏡を使えば土星の環は見えますか?

A:口径6センチ以上の望遠鏡を使えば、土星の環は簡単に見えます。ただし土星は環の傾きが毎年変わります。 そのため、環の傾きが0度になると地球からは環が見えなくなってしまいます(土星の環の消失といいます)。 この時には、どんなに大きな望遠鏡(例えばすばる望遠鏡)でも環が見えなくなります。


Q:日によって木星の模様が違います。なぜですか?

A:木星は縞模様が綺麗な星ですが、日によって見え方が異なります。これは木星が自転しているためです。 木星は特に自転周期が早く一周するのに8時間ほどしかかりません。そのため、30分くらい見ていると 模様が変わっていく様子がわかります。写真に撮るとよりよくわかるでしょう。


Q:都心に住んでいるのですが、望遠鏡を使えば月のクレーターが見えますか?

A:月や惑星は明るいので、都心にお住まいでも見ることができます。


Q:望遠鏡の使い方講習会とかありますか?

A:私の知っている範囲では聞いたことがありません。しかし、夏になると各地で 星の集まりが行われます(関西ですと「星もと」が有名です)。そういう場所に参加されれば、 天文ファンが集まっているので、いろいろと教えてもらえると思います。 他には地元の天文同好会が観望会を開いていることがありますので、そういったイベントに参加するのもお勧めです。 私もお会いできれば、アドバイスさせていただきます。


Q:カメラの三脚に天体望遠鏡を載せられますか?

A:天体望遠鏡自体には、カメラネジは普通付いていません。しかし、天体望遠鏡を挟む鏡筒バンドに 付いているモデルもあります。また私の使っ ているminiBORG45EDには、カメラネジが接眼部近くに 切られています。モデルによっては、カメラ三脚に載せて使うこともできると思います。


Q:望遠鏡の保管はどうしていますか?

A:望遠鏡はレンズや鏡にカビが生えることがありますので、乾燥剤を入れたナイロンに入れて 保管するようにしています。カメラレンズと一緒ですね。


Q:都会に住んでいるのですが、望遠鏡を使えば星雲が見えますか?

A:残念ながら都会からだと望遠鏡を使っても、星雲はほとんど見えません。ただし夜空の状況にも よりますが、明るいオリオン大星雲などは見える可能性はあります。


Q:ギャラリーに載っているアンドロメダ銀河を見たいのですが、望遠鏡を使えば写真のように見えますか?

A:残念ながら写真のようには見えません。ボウッとした雲のように見えるのが精一杯です。 これは星雲や銀河の発する光が、大変淡いからです。写真はその光を何時間も蓄積するので、あのように 明るく写ります。


Q:ギャラリーのようなカラフルな星雲を望遠鏡を使って見れますか?

A:残念ながら写真のようには見えません。ほとんどの星雲は、望遠鏡を使っても全く見ることができません。 これは人間の眼の構造によるものが大きいです。人間の眼は、星雲が発する波長の光に対してはほとんど感度がありません。 そのため、夜空にはたくさん星雲が存在しているのですが、肉眼では見ることができません。 中には非常に明るく発光するので、望遠鏡を使って見ることができるものもありますが、その場合もモノクロの映像となります。


Q:なぜ星雲は黒白の映像に見えるのですか?

A:人間の眼は、暗いところではモノクロ画像になるようにできています。これは、部屋を暗くして試してみるとよくわかります。 そのため暗い宇宙の星雲を見るときには、モノクロ画像になってしまいます。また、星雲自体も非常に淡くしか輝いていないので、 肉眼で見るとモノクロになってしまいます。


Q:なぜ望遠鏡を使うと月のクレーターが見えるのですか?

A:望遠鏡を使うと光をたくさん集められるからです。人間の眼に入っているレンズの直径はおよそ7mmです。 この7mmの間に入ってきた光を集めて、私達はものを見ています。 小さい望遠鏡でもレンズの直径は、6センチくらいあります。人間の眼のおよそ10倍です。 その分たくさん光を集められるので、細かいところまで見ることができます。


Q:赤道儀には電源がいるのですか?電池ですか?

A:はい、モーターを動かすためには電源が要ります。電源がなくてもクランプフリーで動かせますが、 そうすると赤道儀を使う意味があまりありません。電池でも動きますが、最近の赤道儀は電気をたくさん 使うので、DC12Vのバッテリーやコンセントからの変換アダプターを、 望遠鏡ショップなどで買うのがお勧めです。


Q:色収差ってなんですか?よくないのですか?

A:光は波長(色)によって屈折率が違います(曲がり方が違う)。ですから、望遠鏡のレンズに光が入ると、 光の曲がる大きさが色によって違うので、一点に光が綺麗に集まりません。 こういう光を目で見ると、なんだか色がずれて呆けたように見えてしまいます。 これが色収差です。
色収差があると月の輪郭が二重に見えたりします。絶対にいけないことはありませんが、 ない方がスッキリ見えて綺麗です。


Q:カメラレンズはEDレンズのモデルがいいと言いますが、望遠鏡もそうですか?

A:その通りです。EDレンズを使った方が色収差を減らせるので、スッキリした像を楽しめます。 特に天体写真を撮られるのでしたら、EDレンズを使ったモデルの方がよいでしょう。


Q:量販店でコンパクトな望遠鏡を見つけました。200倍までOKと書かれていますがよく見えますか?

A:天体望遠鏡の選び方にも書いていますが、量販店で売っている望遠鏡でよく見えるものはなかなか ないと思います。実はコンパクトというのは、天体望遠鏡にとってはマイナスなのです。 できるだけ長い方が、色収差などを減らせるので有利なのです。 コンパクトと倍率を売り文句にした望遠鏡は、あまりお勧めできないのが実状です。


Q:UWとかPLとか接眼レンズに書かれています。これはなんですか?

A:接眼レンズは設計によっていろいろ区分されています。PLというのは普通プローセルと呼ばれている スタンダードなモデルです。UWというのは、この場合はウルトラワイドという意味でしょう。 普通の接眼レンズよりもワイドな視界が楽しめるタイプです。


Q:高い接眼レンズの方がよいですか?

A:高い方が高級なレンズを使っていたり、設計が優れたりしていてよいことが多いです。 しかし一概に高い方がよいとも限らず、お使いの望遠鏡との相性もあります。まずは、それほど 高くないものからお使いになってはいかがでしょう。また、場合によっては、お使いの 天体望遠鏡に付かない(接眼部の太さが異なる)ことがありますので注意しましょう。


Q:接眼レンズはたくさん種類がありますが、初めはどうやって選べばよいですか?

A:仰るとおりたくさんのメーカーからいろいろな種類が出ています。 しかしすべての接眼レンズには、焦点距離が書かれていますので、まずはその焦点距離を見てみましょう。 焦点距離がわかれば倍率がわかります。欲しい倍率とそれとを比べて、まずは探してみてはいかがでしょうか。


Q:接眼レンズというのはどういうものですか?

A:天体望遠鏡だけですと、それほど倍率は高くできません。そのため天体望遠鏡では、接眼部にレンズを 取り付けてその像を拡大して見やすくしています。その接眼部に用いられるのが、 接眼レンズ(アイピース)というわけです。接眼レンズの比較ページに 、いくつか写真を載せていますのでこちらもご覧ください。


Q:天体望遠鏡の倍率はどうやって決まるのですか?

A:天体望遠鏡の倍率は、天体望遠鏡の焦点距離÷接眼レンズの焦点距離で求められます。 例えば、口径8センチで焦点距離800mmの望遠鏡に、焦点距離が8mmの接眼レンズを用いると、 800÷8=100で100倍の倍率になります。