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天体望遠鏡の性能比較

天体望遠鏡にもいろいろな種類があって、様々なメーカーが製造販売しています。 このページでは、その天体望遠鏡の中でも天文ファンに人気のあるモデルを中心に、鏡筒(望遠鏡本体)の仕様を調べて表にまとめました。 内容には間違いがないようにしていますが、勘違いなどありましたらお許しください。 何かの参考になれば幸いです。


ビクセンの天体望遠鏡ラインナップ

初心者からベテランまで人気のあるビクセン社の天体望遠鏡ラインナップです。 株式会社ビクセンの天体望遠鏡は、性能と価格のバランスがよいのが特徴です。 幅広いラインナップも魅力で、安価なアクロマートレンズから高価なEDレンズを使った天体望遠鏡まで扱っています。 これから天体観測をはじめる人にとって、心強い天体望遠鏡メーカーです。

ビクセンの天体望遠鏡のもう一つの特徴は扱いやすさです。 同社のほとんどの天体望遠鏡には取っ手が付けられているので持ちやすく、 また赤道儀との取り付け部分もアリガタ式になっているため、ワンタッチで赤道儀に載せることが出来ます。 鏡筒自体も軽量なので、持ち運びがし易くなっています。

一方、天体写真を楽しむベテラン天文ファンからは、より天体写真撮影に適した鏡筒の登場を求む声があります。 基本性能は高いビクセンの望遠鏡ですが、タカハシ製と比較すると接眼部の作りが弱いなど、 天体写真を撮るときに気になる箇所があります。 こうした点を改善した、天体写真撮影に適したコストパフォーマンスの高い鏡筒の登場が待ち望まれています。

天体写真ファンの声にこたえて、ビクセンから天体写真撮影用の望遠鏡「VSD100 F3.8」が登場しました。 ペンタックスの技術を取り入れて開発した高性能機ですが、価格が非常に高くなってしまったのが残念です。

ビクセン屈折式

望遠鏡名形式有効口径焦点距離F値鏡筒径重さレデューサー価格
A80Mアクロマート80mm910mm11.490mm2.5kg×¥41,000
A105Mアクロマート105mm1000mm9.590mm3.8kg×¥75,000
NA140SSfネオアクロマート140mm800mm5.7140mm6.5kg×¥165,000
ED80SfEDアポクロマート80mm600mm7.5100mm3.4kg¥89,000
ED81SEDアポクロマート81mm625mm7.790mm2.3kg¥105,000
ED81SUEDアポクロマート81mm625mm7.790mm2.3kg¥107,500
ED103SEDアポクロマート103mm795mm7.7115mm3.6kg¥195,000
ED115SEDアポクロマート115mm890mm7.7125mm4.4kg¥280,000
AX103S3枚玉EDアポ103mm825mm8115mm4.6kg¥335,000
VSD1005枚玉EDアポ100mm380mm3.8115mm4.5kg¥620,000

ビクセン反射式

望遠鏡名形式有効口径焦点距離F値鏡筒径重さレデューサー価格
VMC95Lマクストフカセグレン95mm1050mm11.1107mm1.8kg×¥26,000
VMC110Lマクストフカセグレン110mm1035mm9.4119mm2.1kg×¥29,000
VMC200Lマクストフカセグレン200mm1950mm9.75232mm5.9kg¥148,000
VMC260Lマクストフカセグレン260mm3000mm11.5304mm10kg¥448,000
VC200Lバイザック200mm1800mm9232mm6kg¥168,000
R200SSニュートン200mm800mm4232mm5.3kgコマコレ¥130,000

※比較表には製造が終了した機種も含まれています。
※この他にもA70Lf,A80Mf,R130Sfなどの鏡筒がありますが、これらは架台とのセット販売のみとなっているようです。
※価格は2015年1月現在の税抜き価格です。


タカハシの天体望遠鏡ラインアップ

質実剛健で知られる高橋製作所(タカハシ)の天体望遠鏡一覧です。 タカハシの天体望遠鏡は光学性能が高く、天文ファンから絶大なる信頼を得ています。 特に屈折望遠鏡のFSQシリーズは、扱いやすい大きさとトップクラスの光学性能を両立した望遠鏡で、 天体写真ファンから高い評価を得ています。

性能が非常によいのがタカハシ望遠鏡の魅力ですが、価格が他社に比較して高いのが残念な点です。 最も安価なFS-60CBは8万円弱の価格ですが、天体写真ファンに人気があるFSQ106EDは、50万円近い価格です。 口径10センチの天体望遠鏡が50万円もするのですから、おいそれとは手が出ないタカハシの望遠鏡です。

また、最近のタカハシは、新製品が発売されると、その製品価格を毎年のように見直し(値上げ)ていく傾向があります。 例えば、天体写真ファンに人気のε-180EDは、2006年に発売開始したときには399,000円でした。 それが現在では、457,800円の定価が付けられています。わずか5年ほどの間に約15%の値上げをしたことになります。 天文マニアの間で「タカハシの新製品が出て欲しいと思ったら、その時に購入しないと高くて買えなくなる」という冗談を言うことがありますが、 あながち外れた話ではないと言えます。

タカハシ屈折式

望遠鏡名形式有効口径焦点距離F値鏡筒径重さレデューサー価格
GT-402枚玉アクロマート40mm240mm6ガイド専用570g×¥26,000
FS-60CB2枚玉フローライト60mm355mm5.980mm1.4kg¥75,000
FS-60Q2枚玉フローライト60mm600mm1080mm1.6kg-¥95,100
FOA-602枚玉フローライト60mm530mm8.868mm1.8kgF¥117,000
FC-76DC2群2枚フローライト76mm570mm7.580mm1.8kg¥129,000
FC-76DS2群2枚フローライト76mm570mm7.595mm3.0kg¥171,000
SKY-902群2枚フローライト90mm500mm5.695mm3.2kg¥202,000
FSQ-854群4枚ED85mm450mm5.395mm3.6kg¥280,000
FC-100DC2群2枚フローライト100mm740mm7.495mm2.8kg¥186,000
FC-100DF2群2枚フローライト100mm740mm7.495mm3.6kg¥212,000
FSQ-106ED4群4枚ED106mm530mm5.0125mm7.0kg¥464,000
TSA-102N3群3枚ED102mm816mm8.0114mm5.0kg¥225,000
TSA-102S3群3枚ED102mm816mm8.0114mm5.4kg¥275,000
TSA-1203群3枚ED120mm900mm7.5125mm6.7kg¥380,000
TOA-130NS3群3枚ED130mm1000mm7.7156mm10.5kg¥530,000
FSQ-130ED5群5枚ED130mm650mm5.0156mm12.7kg¥1,220,000
TOA-150B3群3枚ED150mm1100mm7.3179mm15.2kg¥1,190,000

タカハシ反射式

望遠鏡名形式有効口径焦点距離F値鏡筒径重さレデューサー価格
ε-130Dε光学式130mm430mm3.3166mm4.9kg-¥230,000
ε-180EDε光学式180mm500mm2.8232mm10.7kg-¥436,000
CCA-250変形カセグレン250mm1250mm5.0306mm22.8kg¥1,360,000
μ180Cドールカーカム180mm2160mm12210mm6.2kg¥179,000
μ210ドールカーカム210mm2415mm11.5244mm8.1kg¥262,000
μ250ドールカーカム250mm3000mm12.0280mm12.5kg¥580,000
μ300ドールカーカム300mm3572mm11.9324mm24.9kg¥1,180,000
M-250CRSコレクテッド
ドールカーカム
250mm2500mm10280mm12.0kg¥700,000
M-300CRSコレクテッド
ドールカーカム
300mm2960mm9.9324mm27.0kg¥1,400,000

※比較表には製造が終了した機種も含まれています。
※価格は税抜き価格(2015年現在)です。
※μ180、μ210用のレデューサーは生産中止です。


BORGの天体望遠鏡ラインアップ

BORG(ボーグ)は、株式会社トミーテックが製造販売している望遠鏡のブランドです。 天文ファンだけでなく、野鳥観察をするバードウォッチャーからも支持を得ているブランドで、 幅広い種類の接続パーツが魅力の望遠鏡メーカーです。

BORG望遠鏡の最大の特徴は、パーツを組み合わせることで自分だけの天体望遠鏡を作り出せることです。 ピントを合わせるフォーカサーだけでも何種類か用意されているので、 ユーザーが使いやすいパーツを選んで組み立てることができます。 逆にこの自由度の高さが、初心者には解りづらいというという弊害を生んでいます。 パーツの組み合わせによっては、望遠鏡のピントが出ないことがあるからです。 こうしたことを避けるためにも、初めてBORGを購入するときには、天体望遠鏡専門店で相談しながら購入することをお勧めします。

BORG望遠鏡内には絞り環が設けられていないものが多いので、 どちらかというとBORG望遠鏡は天体撮影や野鳥撮影を目的として作られている気がします。 オプションのレデューサーレンズを使って、星空に限らず、いろいろな被写体の撮影を楽しむのが、 BORG望遠鏡の楽しみ方ではないでしょうか。

なお、口径の大きな望遠鏡は、限定生産品が多く、人気商品はすぐに生産が終了してしまいます。 こうした限定品は、店頭で実機に触れられる機会も少ないので、カタログや公式Webサイトをチェックして、 よく検討してから購入した方が良いでしょう。

BORG屈折式

望遠鏡名形式有効口径焦点距離F値鏡筒径重さレデューサー価格
ペンシルボーグ25アクロマート25mm175mm732mm150g-¥14,286
コボーグ36EDEDアポ36mm200mm5.645mm209g-¥33,333
ミニボーグ45EDIIEDアポ45mm325mm7.260mm300g-¥38,952
ミニボーグ50アクロマート50mm250mm560mm320g-¥22,190
ミニボーグ50FLフローライト50mm400mm860mm790g-¥89,523
ミニボーグ60EDEDアポ60mm350mm5.860mm510g-¥61,429
ミニボーグ67FLフローライト67mm300mm4.560mm689g-¥112,381
ミニボーグ71FLフローライト71mm400mm5.660mm1.2kg-¥117,143
BORG77EDIIEDアポ77mm510mm6.680mm1.7kg-¥95,048
BORG101EDIIEDアポ101mm640mm6.380mm2.7kg-¥188,571
BORG125SDEDアポ125mm750mm6115mm3.5kg-¥557,142

※BORGには様々なレデューサーが用意されています。 組み合わせ方によって使える望遠鏡が異なってくるため、この表では「-」表示にしています。

※BORG望遠鏡の重さはパーツの組み合わせによって変わってきますので、この重量は目安程度にしてください。
※価格は税抜き価格です。パーツの組み合わせによって価格が変わってきます。


天体望遠鏡の性能について

天体望遠鏡の基本的な性能は、倍率ではなく望遠鏡の口径(有効口径)で決まります。 口径が大きいほど光を取り込めるので、暗い天体を観察することができます。 倍率は接眼レンズを変えることで自由に変更できますので、天体望遠鏡を比較するときに倍率を気にする必要はありません。

屈折望遠鏡の場合、アクロマートレンズと比べて、EDレンズやフローライトレンズを使った製品の方が色収差が少なく、 より高性能な仕様になっています。 このレンズの違いは、月などの明るい天体を見たときに顕著に表れ、 EDやフローライトを使った天体望遠鏡の方が色付が少なく、像がシャープに見えます。

同じ口径でも天体望遠鏡の作りによって、像のシャープさや写真性能は変わってきます。 カメラレンズの世界では、同じ焦点距離でも、高級仕様と安価な製品がありますが、あれと同じようなイメージです。 一般的に高級な製品の方が、色収差や周辺減光が少なくなっていて、結ぶ像がシャープになります。

天体写真撮影に使われる望遠鏡には、レデューサーと呼ばれるF値を明るくするコンバーションレンズが用意されています。 天体写真を撮影する目的で天体望遠鏡を購入されるなら、 こうしたレンズを使用できる天体望遠鏡を購入されるとよいでしょう。