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秋の星空撮影情報

残暑が過ぎ、秋霖が終わって天気図から秋雨前線が消えれば、本格的な秋の到来です。 大陸から移動性の高気圧が帯のように広がり、晴れる日が多くなります。 たいてい10月10日(元、体育の日)を境に、晴れる日がだんだん増えてきます。

野山では紅葉も始まり、絶好のハイキング日和になります。透明度もよいので、星空観望には 一年を通じて最適な季節です。この季節こそ天体写真撮影と星空観望に勤しみたい時期ですね。

今年の秋の新月は10月29日と11月28日です。この前後1週間が撮影に適した時期でしょう。 秋になると夜が長くなるので、ゆっくり星空観望や星雲などの撮影を楽しむことができます。 特に今年は11月3日が文化の日ですので、11月1日から3連休になります。月も細いので 星空撮影に最適の時期ですね。

薄明終了と開始の時間

天体写真撮影に最適な時間は、天文薄明が終わってから天文薄明が始まるまでの間です。 太陽の沈む時間と上ってくる時間は、観測地の経度や緯度に関係しますから、場所によって少し ずつ変わってきます。 例として、以下の表で2008年11月1日の各地の時刻を見てみましょう。

場所 日の入り 天文薄明終了 天文薄明開始 日の出
神戸市 17:06 18:31 4:55 6:20
札幌市 16:27 18:03 4:33 6:09
東京 16:46 18:13 4:38 6:04
沖縄県那覇市 17:48 19:06 5:20 6:38

北海道は日が暮れるのが早い一方、沖縄は朝が遅くてなっています。 夏に比べると夜が長くて撮影時間がグーッと長くなりますね。

今年の秋の月

今月の新月は10月29日と11月28日です。 この前後10日間ほどが撮影適齢期ですね。

撮影する天体選び

現地に着いてから撮影プランを考えていると、あっという間に撮影時間がなくなってしまうものです。 特に慣れない内は、前もってある程度調べておくのがよいでしょう。 その下調べが案外と楽しかったりするので、二度お得だと思います。 ステラナビゲーターやtheSKYなどの星空シミュレーションソフトがあれば、構図まで考えることができて とても便利です。

薄明終了直後

アンドロメダの写真 近畿地方の2008年11月1日の薄明終了後の南の空には、 みなみのうお座のフォーマルハウトが輝いています。夏の間その姿を楽しませてくれた木星は西に傾き、見頃が過ぎてしまっています。 東の空に目を転じると、アンドロメダ銀河が高く上っています。薄明が終わった頃は秋の星座を撮影するのに最適な時期です。

やっぱりこの時期のターゲットといえば、アンドロメダ座のアンドロメダ大銀河でしょう。 誰もが知っている有名で美しい渦巻き銀河です。地球からは220万光年の彼方にあります。

その次の人気ターゲットは、アンドロメダ座の隣で輝くさんかく座にある渦巻き銀河M33です。 こちらも大変大きな銀河ですが、淡いため肉眼ではほとんど見えません。写真に撮ってその美しい渦巻きの姿がわかります。

夜半頃

すばるの写真 日本は余計な光が多いので、野山に行っても夜空は夜半までは光害の影響が出てしまいます。 ですから、これからの時間が天体写真撮影の本番とも言えます。 普通の人は床につく時間ですが、天体写真ファンは俄然元気が沸く時間です(笑)。

東の空を見てみると、冬の星座のオリオン座が上りつつあります。地上近くにはシリウスの鋭い輝きも見えていることでしょう。 天頂付近には、すばるが爛々と輝いています。寂しい秋の星空から賑やかな冬の星空へと様変わりしています。

まず撮影しておきたいのは、おうし座の散開星団すばるです。美しい青色の星が見応えがある星々です。 その次にはオリオン座のオリオン大星雲を狙ってみましょう。どちらも明るいので簡単に撮影することができます。 天体写真初心者の方にもお勧めの被写体です。

ベテランの方なら、ぎょしゃ座の散光星雲を狙ってみてはいかがでしょう。こちらも色合いがカラフルな星雲です。 マニアックなところを狙うのなら、ぎょしゃ座の超新星残骸がお勧めです。大変淡い星雲ですから、心して撮影しましょう。

明け方

明け方の様子 夜半頃にシャッターを切ると、すべてのコマが撮影終了したときには、天文薄明が始まるかどうかの 時間になってしまっています。秋になると明け方頃は大変寒いので、防寒対策はしっかりしていきましょう。

薄明直前の東の空を見上げると、春の星座のしし座がもう上ってきています。 しし座の3銀河を撮影しようと思ったら撮影できるくらいです。 その下には、おとめ座の銀河団も顔を出していて、冬が過ぎれば春が来ることを感じさせてくれます。

この時期の惑星

惑星一覧

土星

薄明が始まる頃に東の空で輝いています。しし座で輝いているので、見つけやすいでしょう。 環の傾きがより一層少なくなって、環が線のように見えることでしょう。

木星

木星は太陽系最大の惑星で、明るさもマイナス2等級と明るいため、夜空に見えていれば、すぐにそれとわかります。 今年はいて座に位置しているので、薄明が終わった頃には西空低くで輝いています。もうシーズン終了です。

今月の木星は、薄明終了してすると南の空で輝いています。その後すぐに南中し、西へと傾きます。ます。 7月9日に衝が過ぎたので、少しずつ視直径が小さくなっていますが、まだまだ観測絶好機です。 小さな望遠鏡でも縞模様が見えますから、是非観察してみましょう。

その他の天体

火星は観測不適の日が続いています。

海王星が8月15日に衝を迎えた後で、見頃が続いています。青っぽい綺麗な星ですので、望遠鏡で一度観察してみましょう。 大きくは見えませんので、事前に位置を調べてから見つけましょう。 7等星台と明るくなるので、双眼鏡でも見ることができます。やぎ座に位置していています。

天王星も水瓶座で輝いていて見やすい時期です。こちらは5等星台と明るく大きいので、望遠鏡を使うと 歪んだ楕円形に見えてきます。緑色の美しい星ですのでこの機会に見てみましょう。

天文現象

10月と言えばオリオン座流星群です。オリオン座流星群は、最近活発に流星が飛ぶことで知られ、 私も一昨年に見に行ったときには、たくさんの流星を見ることができました。 今年の極大時期は21日の18時頃。残念ながら下弦の月がありますが、見逃せない流星群です。 夜空の暗いところに出かけたらチェックしておきましょう。