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きょしちょう座 Tucana

きょしちょう座は南天の星座で、天の南極付近で輝いています。そのため日本からは全く見ることができない星座です。 秋の夕暮れ時、つる座が南の空低くに輝いていますが、そのずっと下にある星座です。 きょしちょう座は3等星が一つある他は暗い星ばかりで構成されていて、その名前となったきょし鳥の形を連想するのは 至難の業です。

きょしちょう座のモデルとなったきょし鳥(巨嘴鳥)は、日本では「おおばし」と呼ばれている鳥のことです。 体長50センチほどの黒い鳥で、お腹の方は白くなっています。目立つのがその嘴で、体の大きさに不釣り合いなほど 巨大です。色が鮮やかなので大変目立つ嘴です。南米のジャングルが主な生息地ですが、大航海時代にコロンブスらが 発見し、ヨーロッパに持ち帰ったとされています。そこで一気に名前が広まり、星座名として使われるようになったのでしょう。

きょしちょう座を命名したのは、ドイツのヨーハン・バウアーです。彼の有名な星図「ウラノメトリア」に紹介され 広まったと言われています。きっとコロンブスが持ち帰った巨嘴鳥を見て、星図に書き入れたのでしょう。 新しい星座のため、ギリシア神話などは伝わっていません。