かみのけ座 Coma

かみのけ座は、しし座とおとめ座、それにうしかい座に囲まれた中に位置していて、4等星以下の暗い微恒星で 構成されている星座です。あまり目立たない星座の上に、「髪の毛」という名前ですから、知らない人も多く、 そんな名前の星座があるとびっくりする人もいるほどです。テレビのクイズ番組にも時折クイズ問題として登場している星座です。

この星座の歴史は古く、紀元前の頃からかみのけ座という名前が使われいたようです。昔は「ベレニケのかみのけ座」という 風に、かみのけの前に人の名前が付いていました。このベレニケというのは、古代マケドニア王朝の王妃のことで、 彼女の髪の毛という意味で星座になったのでしょう。


ギリシア神話の中でのかみのけ座

かみのけ座は、上記の通りベレニケの髪の毛からきた星座です。紀元前3世紀頃、エジプトはマケドニア王朝のプトレマイオス3世に よって治められていました。彼は優れた王で、この頃のアレクサンドリアは、学芸、天文学などの学問が花開いていたと いわれています。やがて彼は、ギリシアに近いキュレネの女王ベレニケを妻に迎えます。 その後第三次シリア戦争にも勝った彼は、マケドニア王朝の最盛期を築きます。

この王がシリア戦争に向かう際、ベレニケ王妃は夫の無事を祈り、戦争に勝った際には自分の髪を美の女神アフロディテに捧げると約束します。 彼女の髪は非常に美しく、遠く異国の国でも有名だったそうです。

無事に夫が戦争で勝利を収めると、王妃は誓いの通り髪の毛を切って祭壇にまつります。帰ってきた王は、髪の毛を切ったベレニケ王妃に 驚きますが、翌朝祭壇をみると髪の毛が消え去ってしまっています。驚いた王は、天文学者を呼んで事の次第をたずねると、 その頃ちょうど現れた新星の群れを指さし「王妃の髪の毛は星座の群れに加えられたのです」と答えます。 これを聞いた王と王妃は満足し、いつまでも星空を眺めていたということです。


かみのけ座の主な星

ディアデム

かみのけ座のα星がディアデムです。ラテン語で王冠という意味の言葉で、ベレニケ王妃の髪飾りの意味で名付けられた星と いわれています。星座絵では綺麗な王冠として描かれることが多い星です。