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ステライメージ

ステライメージは、アストロアーツ社が製造・販売している天体写真専用の画像処理ソフトです。

現在は、デジカメで撮影した天体写真の画像処理ソフトウェアとしても認知されるようになりましたが、 元々は冷却CCDカメラで撮影した画像を処理するためのソフトウェアでした。

このページでは、「今まで、ステライメージの名前を聞いたことがない」という方向けに、 ステライメージの特徴と使い勝手を記載しています。


ステライメージの特徴

ステライメージシリーズ ステライメージの最大の特徴は、32ビット(64ビット)という広い演算空間を使用できることです。

ステライメージが扱えるファイル形式には、一般的なTIFF形式やJPEG形式に加え、fits形式でも保存できるので、 画像処理の途中でもデーターの劣化なく画像を保存することができます。 レベル補正を何度行っても、元画像のデーターが書き換えられるわけではないので、 画像処理の試行錯誤が容易に行えます。

また、冷却CCDカメラユーザーにありがたいのは、SBIG形式などの特殊な形式のファイルに対応していることです。 元々冷却CCDカメラ用のソフトウェアということを考えれば当然かもしれませんが、 日本製のソフトウェアでこの形式に対応している他のソフトは見あたりません。 冷却CCDカメラユーザーなら手に入れておきたいソフトです。


デジカメに対応したステライメージ5

ステライメージ5が発売された頃、天体写真ファンの間でデジタル一眼レフカメラの人気が高まりつつありました。 それに対応するため、ステライメージ5は、ステライメージシリーズで初めて、 デジタル一眼レフカメラのRaw現像処理に対応するようになりました。

またステライメージ5では、それと同時にダーク減算処理をRaw現像前にできるようになるなど、 デジカメユーザーが使い易いソフトウェアになりました。 しかし一部のユーザーから、「処理に時間がかかる」「Photoshopのようなマスク処理ができない」 「ファイルが見分けにくい」などの意見が寄せられました。 そこで登場したのがステライメージ6です。


より使い易くなったステライメージ6

ステライメージ6 ステライメージ5では、画像処理を行った際、プレビュー画面の表示に時間がかかるという欠点がありました。 これはハイスペックなパソコンを使用した場合もあまり変わりがなく、ユーザーの間で時間が掛かりすぎると不評でした。

新しく登場したステライメージ6では、その点が大幅に改善されました。 デジタル現像処理時のプレビューも素早く表示されるようになり、より使いやすいソフトウェアに生まれ変わりました。 また、選択マスク機能や、ワークフローという新しい機能も加わりました。 ファイルのサムネイル機能も、使いやすさを前面に出したバージョンアップの現れでしょう。

しかし、改善が必要な部分もまだ残っていした まず、デジタル一眼レフカメラのRAW画像を開くのに時間がかかってしまうことです。 冷却CCDの撮影画像を扱う際は、処理に時間は掛からなくなりましたが、 デジカメの画像を開けてダーク処理、フラット処理を施そうと思うと、処理で待たされることがあります。 その他には、特に画像ファイルが多数入ったフォルダをサムネイル表示しようと思うと、 パソコンがフリーズしてしまうこともありました。

こうした問題点があったため、デジタル一眼レフカメラで天体撮影を楽しんでいるハイアマチュアによっては、 ダークフラット処理ができる専用ソフト(例:RAP2)を用意して、 そちらで前処理をしてから、ステライメージ6で処理するという方法を取っていました。 二つのソフトウェアを用意するのはコスト的にも辛いところなので、この点は改善してもらいたい点でした。


速くなったステライメージ6.5

2011年冬にステライメージ6のアップデートデーターとして、ステライメージ6.5が発表されました。 今回のアップデートは、処理速度の改善を狙ったもので、最新のマルチコアCPUが用いられたパソコンに合わせて、 マルチスレッド処理の強化、64ビットOSの正式対応が行われました。 このアップデートのお陰でで、処理速度は大幅に速くなりました。

このステライメージ6.5は、今までの「処理に時間が掛かる」という不満点を大幅に改良してくれました。 大きなプログラム変更にも関わらず、無償アップデートというのがユーザーから喜ばれました。


ステライメージ7

ステライメージ7 ステライメージ6.5は、2013年にバージョンアップが行われて、ステライメージ7になりました。 ステライメージ7では、これまでの白基調のインターフェースが黒ベースと変わり、 より引き締まった印象を受けるソフトウェアとなりました。

今回のバージョンアップで最も大きく変わったのは、撮影画像をコンポジットする際、 位置ズレと回転ズレを自動的に検出してくれる機能でしょう。 以前のバージョンまでは、ユーザーが設定した基準点を元にして位置ズレ、回転ズレを検知していたので、 コンポジットしたい全ての画像に基準点を打つ必要がありました。 ステライメージ7ではその必要がなくなり、作業の負担が減るでしょう。 ただ、位置ズレの演算には相当の時間がかかり、多数の画像を重ね合わせようとすると、パソコンがフリーズすることがありました。

ステライメージ7にカラーバランスを整えるオートストレッチ機能が搭載されました。 オートストレッチは、上坂氏が考案した機能ですが、この機能を使用すると感覚的にカラーバランスを整えることができます。 今まで色合いの調整に悩んでいた方にとっては、重宝する機能でしょう。

これらの他にも太陽面のHα画像処理コマンドなど、いくつかのコマンドが新たに搭載されています。 全体としてみれば、ステライメージ6.5とそれほど大きな差異はありませんが、 これから新しく発売されるデジタル機材に対応してくれるのはありがたい点でしょう。


ステライメージ8

ステライメージは、2017年にバージョンアップされて、ステライメージ8になりました。 今回のバージョンでは、ダーク減算やフラット処理からコンポジットまで、 普段行なう一連の処理をルーチン化し、自動化が図られました。

また、その他のインターフェースもユーザーが視覚的に見やすくなるように変更され、 以前のバージョンと比べて、全体的に使いやすくなった印象を受けました。

一方、処理速度や使用できるコマンドは、ステライメージ7とほとんど変わらず、 既存のユーザーからは「ステライメージ7」となんら変わらないという意見も散見されました。 特に自動コンポジット処理は、海外製ソフトウェアと比べ遅く、パソコンのマシンパワーを十分に生かしきれていない状態です。

最近は、5000万画素を超えるデジカメも一般的になっているので、 次回のバージョンアップでは、ソフトウェアの基本的な部分を改良していただき、 より高速な処理を実現してほしいところです。


ステライメージの処理速度

ステライメージ6が登場した頃から、パソコンのCPUにマルチコアが用いられるようになりました。 2019年現在では、低価格のパソコンでも、4コアのCPUは標準的に搭載されており、 高性能機になると、8コアのCPUが採用されています。

当然、最近の画像処理ソフトウェアのプログラムは、マルチコアに最適化されていますが、 ステライメージは、最新バージョンでも、シングルコアでしか動いていないことが多く、 それが、処理時間が長くかかる要因になっています。

下は、4コアのCPUが採用されたパソコンにて、PhotoshopCCとステライメージ8に、 天体写真の画像処理を実施したときのCPU動作状況です。

ステライメージ8の処理の遅さ

PhotoshopCCでは、CPUの4つのコアを生かし、パソコンの能力を最大限生かして処理しています。 一方、ステライメージ8の動作時は、シングルコアしか動いておらず、パソコンの能力を生かしきれていません。

ステライメージ6の頃でも酷評されましたが、マルチコアが当然となった現在でも、 プログラムの基本アルゴリズムには、大きな変更は加えられていないのでしょう。 コマンドを増やしたり、ユーザーインタフェースを変更するのではなく、 プログラムの基本的な部分にメスを入れて、 パソコンの能力を最大限生かせるステライメージへとバージョンアップして欲しいところです。

ステライメージ8
ステライメージ8

ステライメージ8は、天体写真専用の画像処理ソフトです。 冷却CCDカメラやデジカメの画像を扱うには最適なソフトで、ダーク減算・フラット補正といった天体写真の画像処理では欠かせない処理を行えます。 新しいデジカメにも素早く対応してくれるので、いろいろな種類のRAW画像を扱えます。

32ビットという広い演算処理を使えるので、画像を劣化させることなく処理を行えます。 また、シャープフィルターや色彩強調をはじめとしたコマンドも多数用意されているので、いろいろな処理を楽しめます。 画像処理ソフトの定番Photoshopと比べると、マスク処理などで使いづらい点もありますが、 天体写真を処理するなら用意しておきたいソフトです。

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