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実践フラット補正

フラット補正の撮影方法、画像処理と書いてきましたが「やっぱり難しい」という ご質問を多数いただきました。 そこでこのページでは、私のフラット補正のデーター(冷却CCDカメラ)を用いながら、実践的にお話し を進めていきたいと思っています。少し専門的な用語も出てきますがご容赦ください。


フラット補正の露出時間

フラット撮影の様子 フラット補正の撮影時に重要なのが露出時間です。 フラットフレームを撮影する時に、画像が飽和してしまうほど露出をかけてはいけません。 これでは全体が真っ白になって、周辺減光の様子がデーターに残りません。

私が冷却CCDカメラでフラット画像を撮る時には、露出時間は約20秒前後で撮るようにしています。 改めてデーターを見てみると、IRカットフィルターを用いてL画像(ビニング無し)を撮るときは、ほぼすべて露出時間20秒で撮っていました。

フラット画像の撮影には、薄明が始まったばかりの夜空を利用しています。 露出時間20秒でフラットフレームを撮影するためには、太陽が昇ってくる直前の明るすぎる薄明の空は不向きです。 明るい星はまだ空に見えているが、暗い星は背景の明るさにかき消されつつあるという状態で撮影しています。

冷却CCDカメラの制御ソフト上では、カメラが撮影した画像の最大輝度が表示されます。 これで表現すると、20秒露出して、画像の最大輝度が飽和輝度の3分の1ぐらいになるぐらいの空の明るさの時に撮影しています。 ちょっとわかりづらい表現ですが、16ビットを扱える冷却CCDカメラの最大輝度は、65536カウントです。 この値が、露出20秒で最大輝度が2万ぐらいになる時の空、というと分かりやすいでしょうか。


フラット画像の良否の判断

フラット画像の良否の判断は難しいものです。 撮影本画像にフラット補正を適用して周辺減光が緩和されれば成功なのですが、 果たしてそれでベストな結果かどうかよくわかりません。 見比べる対象がないですものね。

そこで、私の撮影した撮影本画像とフラット画像を、ネットからダウンロードできるようにしてみました。 このダウンロードに使ったのは、ε160で撮影したM33銀河の画像と、そのフラット画像です。 下の表からダウンロードしてください。
※画像ファイルがあまりにも大きくサーバー容量を必要とするため、2008年12月からはメールでのご提供となりました。 お気軽にメールフォームからご連絡くだされば幸いです。
※新しいサーバーを設置したのでフラット画像をダウンロードできるようになりました。ファイルはZip形式で圧縮されています。 ダウンロード後、解凍してお使いください。 解凍後のファイルはFits形式になりますので、ステライメージなどを使って画像を参照してください。

画像名称 ダウンロードアドレス
M33銀河 L画像
フラット画像(ST2000XM)
ダウンロード

なお、あまりにもファイル容量が大きかったので、提供画像は半分に縮小して圧縮しています。 また画像は解凍してお使いください。フィット形式のファイルのままですので、ステライメージを使ってフラット補正を試すこと ができると思います。「Ryutaoはこんな感じでフラット補正しているんだなぁ」という目安にしていただければ幸いです。


都会で撮った画像のフラット補正

光害が多い都会で撮影した場合は、いくら上手にフラット画像を作っても完全にフラットにならないことが多いはずです。 これは、光害のために夜空の明るさにムラがあるためです。

フラット画像を使えば周辺減光は補正できますが、夜空の背景のムラまで補正するのは難しいです。 撮影した対象と同じ方向に望遠鏡を向けてフラット画像を撮る、という方法もありますが、そういう方法を取っても なかなかうまくいきません。

昔はST7を始めとしたサイズの小さなCCDチップが主流でした。 ところが現在では、APS-Cサイズも超えるフルサイズCCDが主流になりつつあります。 こんなに広いチップですから、光学系の周辺減光や背景のムラも大きく出てきてしまいます。 フラット補正にあまり神経質になりすぎず、最後はステライメージのカブリ補正や、フォトショップのグラデーションマスクを使って 補正するのが現実的だと思います。