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北極星の見つけ方

北極星は、いつも真北の方角で輝いていて、正確な北の方向を教えてくれる星です。 天体観測を始めるにあたっては、まず北極星がどこで輝いているかを知ることが大切です。 北極星の見つけ方をここでおさらいしてみましょう。


北極星とは

北極星のポラリス 北極星は、天の北極に最も近い星で、北方向を指し示す星でもあります。 現在の北極星は、こぐま座のα星ポラリスですが、 ずっと昔は、りゅう座α星ドゥバンが天の北極に最も近く、ドゥバンが北極星でした。 つまり、正確には北極星というのは決まった星のことではなく、 その時点で天の北極に最も近い明るい星ということになります。

こうした北極星の移り変わりが生じるのは、地球の歳差運動のためです。 歳差運動とは、地球の自転軸が勢いの衰えたコマの心棒のように円を描くように回っているため、 回転軸が触れる現象のことです。

とは言っても、北極星の移り変わりは数千年ごとに起こる現象です。 ですので、私たちが生きている間は、こぐま座のポラリスが北極星であることは間違いがなく、 「北極星=ポラリス」と考えても差し支えないでしょう。


北斗七星を目印にする

北極星を見つける方法の中で、最もよく知られたものは、おおぐま座の北斗七星を目印にする方法です。 北斗七星は7つの明るい星からなる星の集まりで、大きな柄杓(ひしゃく)の形をしています。 春の頃、晴れた夜空の北方向を見上げれば、北斗七星の姿が確認できるはずです。

北斗七星が見つかったら、柄杓の先端の二つの星、α星とβ星を確認します。 この2つの星の間隔を、柄杓の口が開いた方向に5倍延長すると、そこに輝く北極星が見つけられます。 下の写真を見ていただくと、イメージがつかみやすいと思います。

北極星と北斗七星


カシオペア座を目印に

北極星を見つけるなら、北斗七星を使う方法が一番わかりやすいのですが、 季節や観測する時刻によっては、北斗七星が地平線下に沈んで見えないことがあります。 そうしたときは、カシオペア座を目安にするとよいでしょう。

カシオペア座は「W」の形をした北天の星座です。 北斗七星と比べると小さいながらも、明るい星がまとまっているので見つけやすい星座です。

こちらの星座を使う際は、少々ややこしいです。 カシオペア座のα星とβ星を結んでα星側に延長した先と、δ星とε星を結んでδ星側に延長した先が交わった点をまず想像します。 その交点からカシオペア座のγ星を結び、その交点とγ星との距離を約5倍伸ばすと、 そこで北極星が輝いています。 文章に書くとややこしいですが、下の図をご覧いただくとおわかりいただけると思います。

北極星とカシオペア座


方位磁針を使って

方位磁石 方位磁針を使って北の方向を調べることができるなら、北極星は容易に見つかります。 北極星の地平線からの高さは、観測場所の緯度とほぼ同じになりますから、 方位磁針の示す北方向に身体を向け、緯度の高さの分だけ顔を上げます。 北極星は他の星よりも明るいので、こうした方法でも見つけられるでしょう。

ただし、正確には方位磁針が示す北方向と実際の北は異なります。 方位磁針は、地球が発生している磁場、いわゆる地磁気を使って方向を指し示すものです。 この磁場は地球の自転軸から若干傾いているため、どうしても誤差が生まれてしまいます。

ちなみに国土地理院から発行されている地磁気偏角一覧表を利用すれば、 地域ごとのこうした地磁気のずれ量を確認できます。 こうした資料を基にして、地磁気のズレ量を補正できれば、ほぼ正確な北方向を知ることもできます。


北極星はどんな星?

現在の北極星であるこぐま座のポラリスは、明るさ2等星の恒星です。 北極星の色合いは、少し黄色かかっていているように見えます。 スペクトル分析でも黄白色に分類されていますので、黄色っぽく見えるので間違いないでしょう。

スペクトル分析から、北極星の表面温度は6000〜7000K(ケルビン)と考えられています。 これは太陽の表面温度6000Kとほぼ同じぐらいです。 また、北極星の大きさは太陽の約30倍と、太陽に比べてかなり大きな恒星だと言われています。

北極星のポラリスは二重星で、天体望遠鏡を使うとポラリスAとポラリスBに分解されます。 口径が小さな望遠鏡では難しいかもしれませんが、できるだけ気流の落ち着いた日に観察してみるとよいと思います。


北極星も動く?

北極星の位置 不動の星と呼ばれた北極星ですが、北極星は天の北極から角度で約41分離れていますので、 よく観察すると、北極星も天の北極の周りを回っていることがわかります。

デジタルカメラを使用して、長時間露出で北極星を撮影すると、 右の写真のように北極星も小さな円を描いているのがわかります(最も明るい軌跡が北極星です)。 通常は不動と考えても良いほどの量ですが、赤道儀を使用した天体撮影では、無視できないズレとなります。

ところで、この北極星が動くということに、江戸時代の日本人が一早く気づいていたようです。 天文館に置いてあった資料によれば、江戸時代の船頭桑名屋徳三さんのおかみさんが気づいた、 という伝承が残っているようです。 世界中の誰もが「北極星は不動の星」と思っていた頃にあって、日本人の観察力が優れていたということなのでしょうね。


南極星は?

天の南極付近の写真 天の北極に北極星があるなら、天の南極には南極星が輝いているのでしょうか。 残念ながら、今のところ南極星と公に呼ばれている星はありません。
※右は天の南極付近の写真です

しかし、北極星の定義と同じように、天の南極に一番近い明るい星を南極星と呼ぶべきという意見もあります。 こうした主張に沿えば、はちぶんぎ座のσ星が南極星になるのですが、 この星は5等級と大変暗く、肉眼ではよくわかりません。 そのため、北極星と対になる南極星はない、と考えるのが自然だと思います。

星空の撮影に赤道儀を使う際は、極軸合わせが必要になりますが、 南半球の撮影地では北極星が見えず、また南極星もないため、正確な極軸合わせは困難を極めます。 北半球の天文ファンが南半球で撮影すると、北極星のありがたさを再確認できるのではないでしょうか。