天体写真の世界 > 天体写真の撮影方法 > 星空撮影方法の分類

星空撮影方法の分類

固定撮影や直焦点撮影など、天体写真の撮り方には様々な呼び名が付けられています。 このような呼び名は、書籍や人によって変わることもあり、初めて星空撮影にチャレンジする方には、 少々分かりづらいと思います。 そこで、このページではそのような撮影方法を私なりに分類し、それぞれの撮影方法についてまとめてみました。

撮影方法による分類

撮影方法による分類では、大きく固定撮影と追尾撮影に分けられます。 固定撮影は、カメラ三脚などを使い、カメラを固定(静止)させた状態で撮影する方法です。 追尾撮影は、赤道儀を使い、カメラを星空の動きに合わせて動かしながら撮影する方法です。

追尾撮影を追尾方法でさらに細かく分類すると、ノータッチ追尾とガイド追尾に分かれます。 ノータッチ追尾とは、赤道儀に任せて撮影する方法で、ノータッチガイド撮影と呼ぶ方もいます。

一方、ガイド追尾は、ガイド撮影とも呼ばれ、赤道儀が星を追尾している間もその動きを監視し、 ずれが発生した場合は補正信号を送ってズレを補正する方法です。 このガイド追尾は、人間がガイドを監視する眼視ガイドと、 機械(オートガイダー)が監視するオートガイドに分けられます。

系統図にまとめると以下の通りです。 こうして見ていただくと、わかりやすいのではないでしょうか。

撮影方法による分類

なお、赤道儀が電動化される前は、追尾方法は手動追尾と電動追尾(自動追尾)にも分かれていました。 手動追尾とは、赤道儀のギアを手で回して星を追いかける方法のことで、電動追尾ではモーターがギアを回してくれます。 現在では、ほとんどの赤道儀にモーターが付属していますので、手動追尾することは希でしょう。

撮影光学系による分類

天体望遠鏡を使って撮影する場合、組み合わせる光学系によって撮影方法の呼び名がわかれています。

まず、天体望遠鏡本体とデジタル一眼レフカメラのボディを直接取り付けて撮影する方法を、直焦点撮影と呼んでいます。 天体望遠鏡の対物レンズ(もしくは主鏡)でできる像を、直接撮影することからこの呼び名があります。 天体望遠鏡によっては、レデューサーなどのコンバーションレンズがオプションで用意されていることがありますが、 これを使う場合も直焦点撮影と呼んでいます。

次に、拡大撮影という方法があります。 これは、天体望遠鏡でできた像を接眼レンズで拡大し、その像をデジタル一眼レフカメラで撮影する方法です。 この場合も、カメラはボディだけを使用し、カメラに付属するレンズは使用しません。 直焦点撮影よりも天体を拡大して撮影したい時に用います。

さらに、コリメート撮影という方法があります。 これは拡大撮影同様、天体望遠鏡と接眼レンズで像を拡大しますが、それを撮影するカメラには、レンズが付属した コンパクトデジカメを用いる方法です。 コンパクトデジカメを使って、月や惑星の拡大撮影に使われる撮影方法です。

各撮影方法を図にまとめると、下のようになります。 天体望遠鏡とカメラの間にレンズが入るかどうかで、呼び名が変わっているのがわかります。

撮影光学系による分類

その他での分類

星空と風景を一緒に撮影した写真のことを、よく星景写真と呼んでいます。 この星景写真を撮ることを、星景写真撮影と呼んでいる書籍もあります。

また、カメラレンズを使って星座を撮影することを、星野写真撮影と呼ぶことがあります。 天の川の写真を撮ることも星野写真撮影に含まれます。 書籍によっては、カメラレンズだけでなく、望遠鏡を使って星空を撮影することも含めて、星野写真撮影と呼んでいることもあります。

星野写真は、字で書くと分かるのですが、口頭で「星野写真を撮影」と言うと分かりづらいことがあります。 そのため、私はよく「星空写真を撮影」と言っています。 他にも様々な呼び名や分類がありますので、あまり厳密に考えず、柔軟に使うとよいのではないでしょうか。

本サイトでの紹介

固定撮影のページでは、カメラレンズとデジタル一眼レフカメラを使って、星空を撮影することを中心に紹介しています。 経緯台に載せた望遠鏡を使っても固定撮影ですが、一般的に固定撮影と言えばカメラレンズと三脚での撮影を連想します。

追尾撮影の方法では、カメラレンズを付けたデジタル一眼レフカメラを小型赤道儀に載せて、星空を撮る方法を紹介しています。 赤道儀式望遠鏡を使った撮影も追尾撮影ですが、一般的には直焦点撮影と呼ぶことの方が多いので、そちらのページで取り上げています。

直焦点撮影のページでは、望遠鏡と赤道儀を使った星雲や銀河の撮影方法を紹介しています。 厳密に言えば、ポルタ経緯台に載せた望遠鏡を使って、月の全景写真を撮ることも直焦点撮影です。 しかし、天体写真ファンの間で直焦点撮影と言えば、一般的には望遠鏡と赤道儀を使った星雲や銀河の撮影のことを想像しますので、 それに合わせて記載しています。

拡大撮影やコリメートを使った撮影方法は、月の撮影方法のページで紹介しています。 惑星の撮影方法のページでは、コリメート撮影だけでなく、Webカメラを使った撮影方法についても記載しています。

ガイド撮影の方法のページでは、眼視ガイドの方法を主に紹介しています。 また、オートガイドの方法ページでは、オートガイダーを使った撮影方法について説明しています。 書籍によっては、追尾撮影のこと全てをガイド撮影と記載している場合もありますが、 本サイトでは、追尾撮影とガイド撮影に分けて紹介しています。

撮影方法メニュー

天体写真の撮り方 デジカメの改造 ピント合わせの方法 固定撮影の方法 追尾撮影の方法 直焦点撮影の方法 月の撮影方法 惑星の撮影方法 彗星の撮影方法 流れ星の撮り方 天の川の撮影方法 星景写真の撮影方法 星空撮影のデジカメ設定 系外銀河の撮影方法 銀塩カメラの星空の撮り方 冷却CMOSカメラとは

ガイド撮影編

ガイド撮影の方法 ガイド鏡の支持方法 初めてのオートガイド撮影 オートガイドの方法 PHD Guidingの使用方法 ガイド撮影の失敗と対策 オートガイダーの種類 STVオートガイダー フラットフレーム撮影方法 ディザリング撮影とは 天体撮影用ソフトウェア

星空撮影の知識

撮影に必要な追尾精度 星空撮影方法の分類 星空写真の構図 夜露と結露防止対策 北極星の見つけ方 極軸の合わせ方 南半球の極軸合わせ よくいただくご質問 天文用語ミニ辞典

チャレンジ編

簡単な星空撮影の方法 ポータブル赤道儀で星空撮影 200mm望遠レンズで天体撮影

関連ページ

天体写真向き天体望遠鏡 天体写真向きデジカメ 冷却CCDモノクロ撮影 冷却CCDカラー撮影 デジ一眼の画像処理