冷却CCDカメラの撮像素子サイズ比較
天体写真撮影用の冷却CCDカメラやCMOSカメラには、様々な種類の撮像素子(CCDやCMOSセンサー)が使われています。 いろいろなサイズのセンサーが登場し混乱してしまいますが、撮像素子のサイズやピクセルサイズは、冷却CCDカメラを選ぶに当たって重要なポイントです。 このページでは、CCDカメラやCMOSに使われている主な撮像素子の大きさを一覧にまとめ、比較しました。
ニコンD810AやキヤノンEOS6DMarkIIをはじめとしたデジタル一眼レフカメラには、 35ミリフルサイズセンサーが使われていますが、KAI-11002がほぼ同じ大きさになります。 こうして比べてみると、KAF-16803センサーの面積の広さがよくわかります。 参考までに、キヤノンEOS60Dに使われているAPS-Cサイズの大きさも比較として画像に入れています。
主なCCDセンサーの大きさ比較
天体撮影用として人気のある主な冷却CCDカメラに使われているCCDチップの大きさ比較表です。 表の最後に、キヤノンEOS60DとフジGFX50Sのデーターを比較用に記載しています。
CCD名 | 撮像素子サイズ(mm) | 対角寸法(mm) | ピクセルサイズ | アスペクト比 | 画素アレイ | 有効画素数 | 代表的な製品 |
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KAF-50100 | 49.1×36.8 | 61.3 | 6μ×6μ | 4:3 | 8176×6132 | 50.1M | FLI ML50100 |
KAF-16803 | 38.6×37.76 | 52.1 | 9μ×9μ | Square | 4096×4096 | 16.8M | Apogee Alta U16M |
KAI-16000 | 36.1×24 | 43.3 | 7.4μ×7.4μ | 3:2 | 4872×3248 | 15.8M | FLI ML16000 |
KAI-11002 | 37.25×25.7 | 43.3 | 9μ×9μ | 3:2 | 4008×2672 | 10.7M | SBIG STL-11000 |
KAI-29050 | 36.1×24.1 | 43.5 | 5.5μ×5.5μ | 3:2 | 6576×4384 | 29M | FLI ML29050 |
KAF-16200 | 27.2×21.8 | 34.6 | 6μ×6μ | - | 4540×3640 | 16.2M | QHY-16200 |
KAF-6303 | 27.6×18.48 | 33.4 | 9μ×9μ | - | 3072×2048 | 6.3M | SBIG STL-6803 |
KAF-8300 | 17.9×13.52 | 22.5 | 5.4μ×5.4μ | 4:3 | 3326×2504 | 8.3M | SBIG ST-8300 |
KAF-3200 | 14.8×10.26 | 18.0 | 6.8μ×6.8μ | - | 2184×1510 | 3.2M | SBIG ST-10 |
KAI-2020 | 11.8×8.8 | 14.8 | 7.4μ×7.4μ | 4:3 | 1600×1200 | 2M | SBIG ST-2000 |
KAF-0402 | 6.9×4.6 | 8.3 | 9μ×9μ | 3:2 | 768×512 | 0.4M | SBIG ST-402ME |
ICX694 | 14.6×12.8 | 19.4 | 4.54μ×4.54μ | 5:4 | 2750×2200 | 6M | BJ-53L |
EOS60D | 22.3×14.9 | 26.8 | 4.3μ×4.3μ | 3:2 | 5184×3456 | 18M | - |
フジ GFX50S | 43.8×32.9 | 54.8 | 5.3μ×5.3μ | 4:3 | 8256×6192 | 51.4M | - |
上の評に載せているCCDは、ソニー製のICX694を除くと全てコダック製です。 天体写真用冷却CCDカメラの撮像素子として、Kodakは大きなシェアを持っています。 これは性能が優れていると言うよりも、Kodak社がほぼ唯一のモノクロCCD供給元なので、 自然とどの冷却CCDカメラメーカーもコダック社撮像素子を使うというためでしょう。 他にはSONY製もありますが、ノイズが非常に小さいものの、撮像素子面積が小さい製品が多いので、 天体撮影に適したサイズのセンサーが少ないのが残念なところです。
ところで、コダック製のCCD名の頭文字に「KAF」と「KAI」と二種類ありますが、これはCCDの電荷転送方式が異なるためです。 KAFはフルフレーム転送方式の撮像素子、KAIはインターライン方式を使ったCCDになります。
※2020年3月、天体撮影用の冷却CCDカメラに使用されていたCCDセンサー(KAF-16200等の一部センサーを除く)の生産が終了しました。
主なCMOSセンサーの大きさ比較
天体撮影用デジタルカメラのセンサーは、長い間CCDが主流でしたが、CCDと比べて安価で供給量が多い、 CMOSセンサーが使われたカメラも登場しました。 特に、CCDセンサーの生産が終了して以降は、冷却CMOSカメラが天体撮影の主流になりつつあります。
CMOSセンサーの特徴としては、フレームレートの自由度が高く、動画撮影にも対応できることです。 CMOSセンサーは産業分野でも広く使用されているので、製品の更新が早く、新しいセンサーが搭載されたモデルが次々に登場するのも特徴です。
CMOS名称 | 撮像素子サイズ(mm) | 対角寸法(mm) | ピクセルサイズ | QE(量子効率)/th> | 画素アレイ | 有効画素数 | 代表的な製品 |
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IMX461 | 44×33 | 55 | 3.76μ×3.76μ | 80% | 11656×8750 | 100.7M | ASI461MM Pro |
IMX455 | 36×24 | 43.3 | 3.76μ×3.76μ | 80% | 9576×6388 | 61.7M | ASI6200MM Pro |
IMX571 | 23.5×15.7 | 28.2 | 3.76μ×3.76μ | 91% | 6248×4176 | 26.1M | ASI2600MM Pro |
IMX492 | 19.1×13 | 23.0 | 4.63μ×4.63μ | 90% | 4144×2822 | 11.7M | ASI294MM Pro |
MN34230 | 17.7×13.4 | 21.9 | 3.8μ×3.8μ | 60% | 4656×3520 | 16.5M | ASI1600MM Pro |
IMX183 | 13.2×8.8 | 15.9 | 2.4μ×2.4μ | 84% | 5496×3672 | 20.5M | ASI183MM Pro |
IMX178 | 7.4×5 | 8.9 | 2.4μ×2.4μ | 81% | 3096×2080 | 6.4M | ASI178MM |
IMX174LLJ | 11.25×7.03 | 13.3 | 5.86μ×5.86μ | 80% | 1936×1216 | 2.4M | ASI174MM |
※代表的な機種には一例として、私が使用しているZWO社の製品名を記載していますが、QHY CCD社などその他のメーカーからも同じセンサーを搭載したモデルが販売されています。
2019年4月 更新
2021年4月 追記