ニコンD70
ニコンD70は2004年に登場した一眼レフデジタルカメラです。発売当時のニコンD70の希望小売価格は15万円程でした。 私はそれまでニコンD100を撮影に使っていましたが、ノイズが減って天体写真撮影に使い易いと聞いたので すぐニコンD70に買い換えました。ニコンD70はこの後マイナーチェンジされて、ニコンD70sが登場します。
ニコンD70の概要
ニコンD70は2004年に発売されたカメラで、600万画素のAPS-CサイズCCDセンサーを持ったカメラです。 それまでのデジタル一眼レフカメラは30万円近い価格でしたが、ニコンD70はそのおよそ半額の価格で登場しました。 デジタル一眼レフカメラの価格が一気に下がった頃に登場したのがニコンD70です。
このニコンD70は、天体写真用としてニコンファンの間で人気がありました。 その理由は、長時間露出しても当時は非常に低ノイズだったためです。 しかし、アンプノイズ(熱カブリ)と言われるノイズが画像に出てしまい、それが大きな問題となりました。 その対策として、Raw現像前にソフトウェアを使ってノイズリダクションを行う方法が考え出されました。
今では旧機種になってしまったニコンD70ですが、今でも天体写真用として使っている方はたくさんいます。 これは、ニコンD70の後継機ニコンD80が、天体写真撮影にはあまり向いていなかったためです。 現代のデジカメと比べるとノイズは多いものの、今でも現役で活躍しているニコンD70です。
ところで、このニコンD70が登場したとき、突然デジカメが二度と起動しなくなるという現象「突然死」がよく起こりました。 私のニコンD70も購入して1ヶ月後にこの現象が起こり、ニコンサービスで無償交換してもらいました。 ニコンにとっては、大きな痛手だったと思います。
IRフィルター改造しやすかったニコンD70
ニコンD70が天体写真用に人気が出たのは、フィルターの改造がし易かったことも理由です。 ボディ側面のねじを外せば、簡単にCCDセンサーにアクセスできるので、静電気などに注意すれば誰でも フィルターを自分で外すことができました。 交換用のフィルターもお店で販売していたので、自分で交換していた方も多かったようです。
この頃、キヤノンからはキヤノンEOSKissDが登場しています。こちらは交換が難しく、専門店での改造が必要でした。 そのため多くの方がニコンD70を購入し、天体写真用に改造して写真撮影を楽しんでいました。 撮影地に出かけてもニコンD70をお使いの方が大多数でした。 当時はニコンの方が天体写真でのシェアも大きかったと思います。今ではキヤノンに逆転されてしまいました。
ニコンD70の長時間ノイズ
このニコンD70カメラで実際に撮ったノイズ画像を見ながら、長時間ノイズの量を見てみましょう。 外気温24度でISO800に設定し、露出時間600秒で撮影したダーク画像(ダークフレーム)全景を下に載せてみました。 画像の左上に熱ノイズが出ています。
上のノイズ画像の中央部をピクセル等倍にしたものが下の画像です。 画面の中にポツポツと輝点ノイズが写っています。
実際に長時間撮影した画像をみると、現在のデジカメと比べるとやはりノイズは多めです。 現在のデジカメは画像処理エンジンでノイズを除去しているためなのか、 ニコンD70とはノイズの発生の仕方が違ってみえます。D70の方が素直なノイズの出方だったのかもしれません。
ニコンD70で撮った天体写真
下にこのニコンD70で撮影した天体写真を展示してみました。この写真は、はくちょう座のγ星付近を写したものです。 このD70はIRフィルターを改造しているので、このような淡い赤い星雲もよく写ってくれます。 この星雲はフィルターを改造していないデジカメで写すと、ほとんど写ってくれません。
参考までに、この写真はニコンの180mmF2.8というカメラレンズを使って撮影した写真です。 星の追尾には小型赤道儀を用いて撮影しています。オートガイドしなかったので、よく見ると星がわずかに流れています。
ニコンD70デジタル一眼レフカメラについて
ニコンD70は一般撮影、天体撮影用にと長い間愛用したデジカメです。 長時間ノイズはニコンD50等と比べると若干多かったのですが、ニコンD100同様の使いやすさが魅力でした。 使っていて楽しいデジカメで、ペンタックス67のサブ機としていつも持ち歩いていました。
ただニコンD70でバルブ露出するためには、別売りのリモコンが必要だったのですが、これは使い辛かったです。 本当に簡易な赤外線リモコンのため、隣のリモコンにカメラが反応してシャッターが切れることが間々ありました。 キヤノンのタイマーリモートコントローラーを使っている人を、羨ましく眺めていたほどです。 これからは、こうしたデジカメ周辺機器の使いやすさにも、力を入れていっていただきたいです。