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フランジバックの寸法一覧

冷却CMOSカメラや冷却CCDカメラにカメラレンズを取り付ける時、 気になるのがデジタルカメラ毎に異なるフランジバックの長さです。 また、マウント変換アダプターを介して、他のメーカー製のデジタル一眼レフカメラにレンズを取り付ける時にも、 フランジバックの寸法が問題になります。

このページでは、自分の備忘録という意味も含めて、各社デジタルカメラのフランジバックの寸法を一覧にまとめています。 冷却CCDカメラや冷却CMOSカメラの寸法は、自ら計測した結果も含まれていますので、 幾分誤差がある場合もあるかもしれませんが、何かの参考になれば幸いです。

フランジバックとは

フランジバックとは、カメラマウントの取り付け面から、 デジタル一眼レフカメラの撮像素子面までの距離のことです。

フランジバックの距離は、カメラメーカーの中で厳密に決められていて、 例えば、キヤノンのEFマウントでは44ミリとなっています。

フランジバックの寸法が製品に正確に反映されているお陰で、 同じレンズマウントを介するレンズとデジタルカメラの組み合わせであれば、 ピントが正確に合うというわけです。

バックフォーカスとは

天体写真の機材の話でよく話題にのぼるのが、バックフォーカスです。 こちらはレンズ最後面から、レンズが焦点を結ぶ点までの距離のことで、厳密にはフランジバックとは異なります。

天体望遠鏡にレデューサーをはじめとした補正レンズを取り付けて、 その後ろに冷却CMOSカメラを取り付けて撮影する際、バックフォーカスが足りないとピントが合いません。 そうしたとき、「このカメラを付けるとバックフォーカスが足らない。」とよく天体写真ファンは言ったりします。

また、メーカーが発表しているバックフォーカスの位置にセンサーを置かないと、 星が歪に写ったり、流れたような星像になってしまいます。 冷却CMOSカメラを使用するときは、カメラのバックフォーカスと望遠鏡の取り付けアダプターの寸法を正確に測り、 既定の位置にセンサーを置くようにしましょう。

フランジバック寸法一覧

主なカメラのフランジバックの寸法を一覧にまとめました。 冷却CCDカメラのフランジバックは、私が実測した値やメーカーの公表値です。 値には若干の誤差や間違いなどがあるかもしれません。 その点はご容赦ください。

カメラマウント名フランジバック備考
ニコン Z16.0mm
ニコン F46.5mm
ニコン 117.0mm
キヤノン RF20.0mm
キヤノン EF44.0mm
キヤノン EF-M18.0mm
キヤノン FD42.0mm
ペンタックス K45.5mm
ペンタックス 64571.0mm中判カメラ
ペンタックス 6785.0mm中判カメラ
オリンパス OM46.0mm
ミノルタ A44.5mmαマウント
ソニー A44.5mm
ソニー E18.0mm
コンタックス N48.0mm
コンタックス 64564.0mm
マミヤ 64563.0mm
マミヤRZ 67104.0mm
M42スクリュー45.5mm

冷却CCDカメラ名フランジバック備考
ST-2000XM18.8mmCCDからカバー表面
ST-2000XM+D-Block25.7mmD-block取付
ST-2000XM+CFW8A44.2mmCFW8A取付
ST-2000XM+CFW1033.5mmCFW10取付
STL-11000M39.6mmアクセサリーブロック含
STL-11000M32.6mmCCD〜カバー表面
リモートガイドヘッド17.5mm
STX-1680335.3mmCCD〜カバー表面
ST-8300M17.5mm
STF-8300M17.5mm
ST-402ME17.5mm
SBIG AO-789.0mm取付スレッド含
SBIG AO-848.0mm
SBIG AO-L38.0mmSTLシリーズ用
ATIK 31412.0mmATIK314L+,ATIK314E
ATIK 45013.0mm
ATIK EFW222.0mmフィルターホイール
FLI PL1680321.0mmカメラカバー面まで
FLI PL1680324.8mmカメラアダプター面まで
FLI CFW4-5厚み19.9mm
(FLIと組み合わせたときの光路長12mm)
フィルターホイール
PL16803+CFW4-542.2mm
FLI PL1100230.0mm接続アダプター含む
FLI PL1100221.3mmカメラカバー面まで
FLI ML0900016.0mmカメラカバー面まで
Moravian G3シリーズ29.0mmフィルターホイール含む

冷却CCDカメラは、カメラレンズに取り付けられるように設計されていないため、フランジバックが機種によってまちまちです。 フランジバックが短い機種を選んでおけば、焦点面を後ろに下げるのは簡単ですから安心です。 とは言っても、一見短そうに感じる冷却CCDカメラも、フィルターホイールなどを付けてしまうと、 一気にフランジバックが伸びてしまいます。 カメラレンズとモノクロ冷却CCDカメラを組み合わせて撮影を考えていられるなら、この点を注意する必要があります。

※STL-11000Mカメラを計測してメーカーに問い合わせた結果、 同じ機種でもフランジバックの寸法に若干差があることがわかりました。 冷却CCDカメラの場合、メーカーによっては、フランジバックの距離に個体差があるようです。

冷却CMOSカメラ名フランジバック備考
ZWO 2600MM Pro17.5mmCCDから接続面まで
ZWO 294MM Pro17.5mmCCDから接続面まで
ZWO 2400MC Pro17.5mmCCDから接続面まで
ZWO ASI 120MM-mini8.5mmオートガイド用のスリーブ形状
QHYCCD QHY5L-IIM10.4mm定番オートガイダー
QHYCCD QHY268M12.5mmZWO 2600MMと同じセンサー
ToupCam モノクロ ガイディングCMOSカメラ27.6mmToupteck社製オートガイダー

天体望遠鏡のバックフォーカス

天体望遠鏡をカメラレンズの代わりに用いる直焦点撮影では、 その望遠鏡のバックフォーカスが問題になります。 特にレデューサーやフラットナーと呼ばれる補正レンズを入れて撮影する時には、 最適な位置にカメラを取り付けることが大切です。

ところで、望遠鏡のバックフォーカスですが、レンズからの距離ではなく、補正レンズのマウント面から距離を測ることが 多いため、メタルバックとよく呼ばれています。 そこで、このページでもメタルバックの寸法を一覧にまとめました。

天体望遠鏡名メタルバック備考
FSQ85ED197.5mm
FSQ85ED+レデューサー72mm
SKY90+レデューサー72mm
FSQ106ED178mm
FSQ106ED+レデューサー72mm
FSQ106ED+645レデューサー56mm
TSA102+TOA35フラットナー117.5mm
TSA120+TOA35フラットナー117.5mm
TOA130+TOA35フラットナー117.5mmエクステンダー使用可
TOA130F+67フラットナー106mmエクステンダー使用可
TOA130F+TOA645フラットナー83.7mm2021年発売
TOA130+レデュサー83mm延長筒あり
TOA130+TOA-35レデューサー0.7×65.5mm2013年4月発売開始
FC-35レデュサー65.3mmFS-128,FS-152,FC-125
FC-35レデュサー68.8mmFS-102,FC-100
FC-35レデュサー74.1mmFC-100DF
ε-130D56mm
ε-16056mm
ε-160ED56mm
ε-180ED56mm
ε-25084mm
MT-160+レデューサー56mm
MT-200+レデューサー56mm
BRC250106mm
CCA250194mm
CCA250+レデューサー56mm
μ300118.5mm
μ300+レデューサー56mm
Mewlon250CRS148mmコレクテッドミューロン
Mewlon250CRS+レデューサー72.2mmコレクテッドミューロン
Mewlon250CRS+エクステンダーCR1.5×117.5mmコレクテッドミューロン
Mewlon300CRS189.5mmコレクテッドミューロン
Mewlon300CRS+レデューサー72.2mmコレクテッドミューロン
ビクセンVSD100F3.8116mm接眼パーツを外しての距離
ビクセンVSD100F3.8
+レデューサー
63.5mm
ビクセンFL55SS
+フラットナーHD for FL55SS+レデューサーHD5.5
63.5mm
Askar FRA400140mm口径72mm 5枚玉アポクロマート屈折
Askar FRA600160mm口径108mm 5枚玉アポクロマート屈折
SHARPSTAR 15028HNT55mm口径15cm F2.8 反射式アストログラフ
SHARPSTAR 20032PNT55mm口径20cm F3.2 反射式アストログラフ
SHARPSTAR SCA26075mm口径26cm F5 カセグレン式アストログラフ
パラコア57mmコマ補正レンズ
バーダーMPCC55mmコマ補正レンズ
バーダーRCC91.5mmコマ補正レンズ

マウントアダプター

Nikon→キヤノンマウントアダプター 他社製レンズを使うためのアダプターは、デジタルカメラが登場して以来、以前よりも注目を集めているようで、 いろいろな種類のマウントアダプターをヨドバシカメラなどで見かけます。 特にニコンレンズを他社製デジタル一眼レフカメラに取り付けるマウントアダプターが人気のようです。 ニコンFマウントのレンズはバックフォーカスが長いので、いろいろなデジタル一眼レフカメラに取り付けられます。

逆にニコンのデジタル一眼レフカメラはフランジバックが大きいので、他社製レンズを取り付けにくいという点があります。 ニコンカメラ用のマウントアダプターには、レンズが取り付けられているのがほとんどで、 これで他社製レンズでも無限遠が出るように調整されています。

どのマウントアダプターを使うにせよ、オートフォーカス機能などは使えなくなるので、マニュアルが基本となります。 天体写真の世界ではマニュアルが基本ですから、そういう点では天体写真ファンにはお手の物でしょう。 マウントアダプターを介して、いろいろなレンズを使ってみるのも面白いかもしれません。

ニコンFマウントレンズ-EOSマウントアダプター
ニコンFマウントレンズ-EOSマウントアダプター

ニコンFマウントレンズをキヤノンEOSボディーに付けるマウントアダプターです。 絞り環のないニコンのGタイプレンズには対応していませんが、手頃な価格なので私も同じものを愛用しています。

マウントアダプターの作り自体はしっかりしていて好感が持てるのですが、 平面性に問題があるのか、このマウントアダプターを介して星空を撮影すると若干片ボケします。 シムテープを挟むことで対処していますが、個体差なのかもしれません。 EOS用のマウントアダプターは、様々な価格の製品がありますので、どれがいいのか判断がなかなか難しいところです。

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