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ニコンD50 IRフィルター改造モデル

ニコンD50は2005年に登場した一眼レフデジタルカメラです。それまで天体写真用として人気のあった、 ニコンD70の廉価版デジカメです。安価ですがノイズはニコンD70よりも少なかったので、 ニコン派天体写真ファンの間で人気を呼びました。

私もそれまで使っていたニコンD70デジカメを手放し、IRフィルター改造されたこのニコンD50を 天体写真撮影に使うようになりました。

ニコンD50 IRフィルター改造モデル


ニコンD50の概要

ニコンD50は2005年に発売されたカメラで、600万画素のAPS-CサイズCCDセンサーを持ったカメラです。 重さが約540グラムと非常に軽いのが特徴の一つで、ニコンのデジタル一眼レフカメラ入門機種として 発売されました。

このニコンD50は、天体写真用としてニコンファンの間では非常に人気があるカメラの一つです。 その理由は、長時間露出しても非常に低ノイズだったためです。その低ノイズ特性は、現在のニコンD40にも 受け継がれています。

今では旧機種になってしまったニコンD50ですが、今でも天体写真撮影に使っている人が多くいらっしゃるようです。 その一つの理由としては、ニコンがその後発売したニコンD80やD200がノイズが多くて、天体写真撮影に使いづらかったためです。 また価格が安いので、IRフィルター改造し易かったのも大きな理由でしょう。 いくらノイズが少ないと言っても、30万円クラスのニコンD700を天体写真専用として改造するのは 勇気が要ります。


IRフィルター改造とは

デジタルカメラのCCD直前には、ローパスフィルターが組み込まれています。 このローパスフィルターは、星雲が輝くHα光という特定の波長はカットするように作られています。 そのため、普通のデジカメを使って星雲を写しても、赤い部分はほとんど写ってくれません。 これを改善するのがIRフィルター改造です。

IRフィルター改造では、ローパスフィルターを取り外し、赤外線をカットするフィルターを取り付けます。 この赤外線フィルターのことをIRフィルターと言うので、IRフィルター改造という呼び名がいつの間にか 広まりました。

フィルターを交換した後のデジカメは、星雲は見違えるほどよく写るようになります。しかし普通の風景を撮影 すると赤カブリするようになってしまいます。 場合によっては普通の撮影にも使用できますが、あまり使うのはお勧めできません。 天体写真専用と割り切った方がよいでしょう。

このIRフィルター改造は、各天体望遠鏡販売店で行われています。 販売店によって値段がまちまちですので、いろいろなページで調べてから実施するのがよいでしょう。 一部特殊なフィルターを使う販売店がありますが、改造の内容自体は同じようなものです。 ただし、フィルターを交換した後もAFが働くかどうかだけは、確認しておきましょう。


ニコンD50の長時間ノイズ

このニコンD50カメラで実際に撮ったノイズ画像を見ながら、長時間ノイズの量を見てみましょう。 外気温20度でISO1600に設定し、露出時間600秒で撮影したダーク画像(ダークフレーム)全景を下に載せてみました。 この画像は、カメラが保存したデータそのままの画像です。 前モデルのニコンD70では気になった熱ノイズは、ほとんどわからず真っ暗です。

ニコンD50ダークノイズ画像

上のノイズ画像の中央部をピクセル等倍にしたものが下の画像です。 こうしてみてもあまりノイズは目立ちません。

ニコンD50 長時間ノイズピクセル等倍画像


ニコンD50で撮った天体写真

下にこのニコンD50で撮影した天体写真を展示してみました。このD50はIRフィルターを改造しているので、 このような淡い赤い星雲もよく写ってくれます。この星雲は北アメリカ星雲という名前ですが、 フィルターを改造していないデジカメで写すと、ほとんど写ってくれません。

ニコンD50で撮影した北アメリカ星雲

参考までにこの写真は、ニコンD50の画素数の少なさを補うために、6コマをずらして撮影してモザイク合成して 仕上げています。ノイズが少なくて天体写真向きのニコンD50ですが、600万画素というのは、さすがに 解像度不足を感じます。しかしモザイク合成の手法を用いれば、最新鋭機とも十分戦えるデジカメと思います。


ニコンD50のレリーズについて

NikonD50のレリーズアダプター ニコンD50やD70で、バルブ機能を使って長時間露光をしようと思うとレリーズが必要になります。 残念ながらケーブルレリーズは使えないので、ニコンから発売されている小さなワイヤレスリモコンML-L3を 購入する必要があります。これがないと、露出時間中はずっとシャッターを押さえておかなければなりません。

このML-L3は、お世辞にも天体写真撮影に使い勝手がよいとは言えず、ニコンD700やD300用の リモートコードMC036とは機能面で雲泥の差があります。また、ニコンD50を二台並べて置いているところで ML-L3を使うと二つのデジカメがこのレリーズに反応してしまいます。赤外線チャンネルが同じになって いるのでしょう。

この使い勝手の悪さを解消するため、各天文ショップからキヤノンの タイマーリモートコントローラーTC-80N3が使えるようになるアダプター(TRC)が販売されています。右上写真のように、ニコンD50のアクセサリーシューにこのアダプターを取り付け、 そこにTC-80N3を繋ぐ形になっています。非常に便利なアダプターなので、ニコンD70やD50で天体写真を 撮られている方は、よくこのアダプターを使われています。


ニコンのデジタル一眼レフカメラについて

ニコンD50が発売されている頃は、キヤノンEOSKissDと同じくらいニコンの一眼レフデジカメも天体写真撮影に人気がありました。 しかし、ニコンがD80を発表した頃から、天体写真ファンはキヤノン製カメラへと移り変わってしまいます。

この一つの理由は、ニコンのデジカメの長時間ノイズが、キヤノンに比べて多かったためです。 カメラ雑誌などでのレポートでは、長時間ノイズの結果はあまり変わらない結果が出ていましたが、 天体写真を撮る人達はよりシビアにノイズのことを見ています。 その点、ニコンはキヤノンに比べて少し分が悪かったのだと思います。

またもう一つの理由は、ニコンFマウントのマウント径の小ささです。キヤノンEOSマウントに比べると明らかに小さいので、 周辺減光を嫌う天体写真ファンにとってはネックになります。 これもニコンが天体写真の撮影という面で、不利になった原因ではないでしょうか。

現在ニコンは、ニコンD3にニコンD700というフルサイズCCDで低ノイズのデジカメを登場させました。 1,200万画素で35ミリフルサイズという撮像素子に、ニコンのポリシーが感じられるデジカメです。 この技術を生かした高画素で低ノイズカメラが将来登場することを、楽しみにしています。

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