M77とNGC1055銀河

M77,NGC1055

M77とNGC1055銀河

Takayuki Yoshida

くじら座のM77銀河とNGC1055銀河

M77銀河は、くじら座で唯一のメシエ天体で、写真の中央左下に写っている丸い渦巻状の銀河がそれです。 このM77銀河は、セイファート銀河に分類される銀河で、明るい中心核と外側に淡い広がりを持っています。 M77銀河は、このセイファート銀河の中でも最大の大きさを誇る銀河で、その直径は17万光年もあると考えられています。 地球からM77銀河までの距離は、おおよそ4700万光年。遙か彼方の銀河の姿です。

M77銀河の右上に写っているのは、NGC1055銀河です。 この銀河は暗黒帯が地球側を向いた、エッジオンタイプに分類される銀河で、約5200万光年の彼方で輝いています。 このM77銀河とNGC1055銀河は、小さな銀河団を構成していると考えられており、 写真をよく見ると、この銀河団に属する小さく暗い銀河がいくつか写っているのがわかります。

写真の中で輝いている明るい星は、くじら座γ星です。 天体望遠鏡でM77銀河やNGC1055銀河を探すときは、この星を目安にして探すと良いでしょう。 M77銀河は天体望遠鏡で見ると、中央部の明るい部分がぼんやりと見え、恒星とは異なることがよくわかります。 しかし、写真のような周りの淡い部分まで確認するのは難しいでしょう。

銀河の写真といえば、長焦点でのクローズアップ撮影が主流ですが、 このM77とNGC1055銀河は形が異なる2つの銀河が並んでいるので、広写野でもよい被写体になりました。 ただ写真のようにくじら座γ星を写野に入れると、輝星の周りに大きなゴーストが出てしまいますので避けた方がよさそうです。 焦点距離1000ミリ程度の望遠鏡とデジタル一眼レフカメラで撮ると、ちょうど収まりがよいのではないでしょうか。


Imaging information

撮影機材: タカハシε250, 国際光器ヘラクレス赤道儀

使用カメラ: SBIG STL-11000M, Astronomik Type2C LRGBフィルター

露出時間: L=60分(10分×6),R=10min, G=10min, B=10minで撮影
総露出時間 1時間30分

画像処理ソフト: ステライメージ6.5, PhotoshopCS5

撮影場所: 岡山県備前市八塔寺、2012年撮影