月面の観望

月は明るいので、光害が酷くて星空があまり見えない都会でもよく見えます。 また、どんな大きさの天体望遠鏡でもよく見えるのが月です。 初めて天体望遠鏡を買ったら、ほとんどの人は最初に月を観望するのではないでしょうか。

ここでは、そんな月の観望と天体望遠鏡について記載しています。 まだ内容が不十分な点もありますが、これからも随時更新していきますのでお楽しみに。


月は眼で見るに限る

望遠鏡で見た月のイメージ 今はデジタル機材と画像処理が発展して高解像度の写真が得られるようになりましたが、以前は、 月は天体望遠鏡で観望するのが一番と言われてきました。 これは、眼で見ているときは、大気が落ち着いた瞬間を逃さず捉えることができるからです。

そのため、何十センチもの大きな望遠鏡で撮影した月の銀塩写真よりも、10センチ程度の天体望遠鏡で覗いた 方がよく見えることが多かったのです。月は明るいので、人間の眼の分解能を生かせるのでしょう。


小さな天体望遠鏡で十分

天体望遠鏡は、口径の大きさが大きくなるほど、集められる光の量が増えて性能が上がります。 それに従えば、大きな望遠鏡の方が月の細かい部分を見分けられそうですが、必ずしもそうはなりません。 それは上空の大気の揺らぎのためです。

大きな望遠鏡は、大気の揺らぎの影響を大きく受けます。 大気が揺らぐと、望遠鏡で作った像が揺らいで呆けてしまいます。 そのため、せっかくの性能を生かせる日が少なくなってしまいます。 大口径の反射望遠鏡と比べると、小さな望遠鏡は安定して性能を発揮してくれますので、ストレスなく月の観望を楽しむことができます。

また、屈折式天体望遠鏡よりも反射望遠鏡の方が、気流の影響を大きく受けます。 一般的に20センチ以上の反射望遠鏡は、性能を生かせる日が少なくなります。 気流の悪い日は、10センチ程度の屈折望遠鏡の方が、月の小さなクレーターを見やすいでしょう。


長い天体望遠鏡が有利

ビクセンポルタ屈折式天体望遠鏡 小型コンパクトがもてはやされる時代ですが、月を観望するなら長い天体望遠鏡の方が有利です。 これは天体望遠鏡は焦点距離が長い方が、色収差と言った収差を減らせるからです。

ですので、玩具店などで売っている小型で安い天体望遠鏡は避けた方が無難です。 詳しい内容については、天体望遠鏡の選び方ページをご覧ください。

また、月を観望するときには、高い倍率をよく使います。 望遠鏡が長い(焦点距離が長い)と高倍率が容易に得られますので、月のクレーターを見やすくなります。


屈折式が使いやすい

上記したように、屈折式望遠鏡の方が大気の揺らぎを受けにくくなります。 また屈折式は像のコントラストも高いので、月の凸凹が反射式よりも立体的に見えます。

そうしたことを考えると、月の観望には屈折式望遠鏡の方が使いやすいでしょう。 ただ屈折式には色収差という、像に色が付く現象がどうしても起こってしまいます。

色収差は、焦点距離の長い天体望遠鏡でしたらそれほど気になりませんが、色収差が特に気になる方もいらっしゃいます。 そうした方には、EDレンズ等を使ったアポクロマート天体望遠鏡をお勧めします。 非常に高価ですが、高性能な屈折望遠鏡は末永く使うことができます。

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