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M81、M82銀河周囲の分子雲

Integrated Flux Nebulae around M81 and M82 Galaxy

M81、M82銀河周囲の分子雲

Takayuki Yoshida

M81、M82銀河周囲の分子雲

M81とM82銀河は、おおぐま座に位置し、 春の代表的な系外銀河として広く天文ファンに知られています。 銀河中心部から伸びた腕がくるりと巻いているM81銀河と、 横から見た円盤のように見えるM82銀河の対比がおもしろく、 よくペアで撮影される天体です。 しかし、本作品の主役はこの二つの銀河ではなく、周囲に広がる淡いガス(分子雲)です。

写真の左上から右下方向に薄雲のように写っている分子雲の正体は、 天の川銀河内に拡散した星間ガスと考えられています。 海外では「Integrated Flux Nebula」と呼ばれており、 デジタル機材の発展につれて、 天球の至るところに、このような淡い星間物質が広がっていることがわかってきています。 大変淡いため、肉眼ではもちろん、写真に写してもバックグランドに溶け込んでしまいます。 強烈な画像処理を施して、ようやく浮かび上がらせたのがこの写真です。

今回の撮影では、焦点距離350ミリのテレフォトレンズを使用しましたが、 分子雲はこの構図の外側にも広がっているので、標準レンズ〜中望遠レンズでも撮影を楽しむことができます。 中望遠レンズなら開放F値が明るいカメラレンズがそろっているので、淡い天体の撮影には好都合です。 透明度の良い冬の夜空を選んで、淡い天体の撮影にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。


Imaging information

撮影光学系: コーワ PROMINAR 500mm F5.6 FL (マウントアダプター TX07使用, 350mm F4)

赤道儀: ビクセンSXP赤道儀

使用カメラ: SBIG STL-11000M、Astronomik Type2C LRGBフィルター

露出時間: L=180分(15分×12)、R=20分、Green=20分、Blue=20分
総露出時間 4時間

画像処理ソフト: ステライメージ7PhotoshopCC

撮影場所: 岡山県備前市八塔寺