星空コラム
窓から星空を見てほっと一息リラックス。 ストレス社会だからこそ見直したい星空観望。 夜空には、星々が変わらず輝き続けています。 そうした星々についてのちょっとした話題を綴った星空コラムです。
星空コラム オリオン座
立春が過ぎた今頃の季節は一年で最も寒い時期。 太平洋側でも雪が降ることが多く、毎年寒い冬ですが、 冬の夜空は透き通っていて、星がいつもにも増してキラキラ輝いています。 部屋の明かりを消して窓から夜空を見てみれば、明るい冬の星座が夜空を華やかにしてくれてます。 そんな冬の星座の中でもひときわ目に付くのが、 全天一有名な星座『オリオン座』です。
オリオン座は黄道十二星座の星座ではないため、星占いには出てきませんが、 一般の方々にも知られているポピュラーな星座です。 4つの明るい星に囲まれた内側に、ちょっと斜めになった三ツ星が輝いていて端正な姿をした星座です。 今月はそんなオリオン座にスポットを当ててみましょう。
超人気のオリオン座
オリオン座が東の空から昇ってくると、ほとんどの天体写真ファンは、『待ってました』とばかり、 レンズをそちらに向けます。 オリオン座は、有名タレントも驚きの人気ぶりです。
それもこの人気は日本だけにとどまりません。 地球上のあらゆる場所に住む天文ファンが、オリオン座に注目しています。 夜晴れていてオリオン座が見えていれば、世界のどこかで、 きっと誰かがオリオン座に向けてシャッターを切っているでしょう<
そんな全天一大人気のオリオン君ですが、 なぜそんなに人気があるかと言えば、星間分子雲と呼ばれる星の間に漂うガスがこの方角に豊富に存在しているためです。 この星間分子雲は星雲と呼ばれ、星の光を浴びて華やかな色合いで輝くので、写真ファンに人気があります。 その星雲がたくさんオリオン座に位置しているためです。
左の写真は、その星雲の姿だけを取り出す特殊なフィルターを使って撮影したオリオン座の姿 です。白いベールはすべて星雲です。目には見えないのですが、写真で撮ると見えない宇宙にも 大きなガスが漂っていることがわかります。
このオリオン座のガスの中には、有名なオリオン大星雲や馬頭星雲も輝いています。 特にオリオン大星雲は明るく大きいので、天体写真ファンに好まれています。 初心者の方でも撮りやすい星雲なので、これから天体写真をはじめようという方にもお勧めの被写体です。
神話の中でのオリオン座
天文ファンに人気のオリオン座ですが、このオリオン座となったのは、美男の狩人オリオンです。 海の神ポセイドンとアマゾン女王の子オリオンは、端正な美男子と知られていました。 その上、海の上でも自由に歩け、勇ましい男性でしたが、乱暴者ととして知られていました。
そのオリオンの乱暴ぶりに呆れたガイア神が、ある時、大サソリをし向けました。 勇ましいオリオンでしたがこの大サソリには敵わず、刺し殺されてしまいます。 また、刺し殺した大サソリも監視役としてさそり座として天に上げられ輝いています。 オリオンは天に昇ってからも大サソリが恐いので、さそり座が東の空から見え 出すと、オリオン座は西空にこそこそと逃げてしまうというのは有名な話です。
また別のお話では、オリオンは月と狩りの女神アルテミスに愛されていました。しかしあるとき ふとした過ちから、アルテミスが愛するオリオンを射殺してしまい大いに嘆き悲しみます。 その悲しむアルテミスの姿を哀れと思った大神ゼウスが、オリオンを天に上げて星座にしたとも 言われています。アルテミスは月の女神です。オリオン座に月が近づく時は、お互いが見つめ合っ ているかのようです。こちらの方がロマンチックでちょっと素敵なお話ですね。
オリオン大星雲から生まれる星々君
勇者オリオンが、天空で子作りに励んでいるかどうかは知りませんが、 オリオン座には今でも次々と星が生み出されている現場があります。 有名なオリオン座の大星雲「オリオン大星雲」です。
このオリオン大星雲は、オリオン座の三ツ星の少し下で輝いていて、 私たちの太陽のような星がいくつも作り出されている大きなガスの固まりです。 このオリオン大星雲の中心には、生み出されたばかりのトラペジウムという星が4個輝いています。 トラペジウムは、天体望遠鏡で覗く四重星に見えるのですが、 この星々が大変強烈な光を放って星雲自体が輝いています。 ドライアイスの煙にスポットライトを浴びせて、カラフルに輝かせる様子を想像するとわかりやすいかもしれません。
この星の生まれる現場までの距離は、約1500光年。 光の速度で走っても着くのに1500年かかる距離です。 とても遠い距離ですが、このオリオン大星雲が輝く場所も、まだ私たちが住む天の川銀河系の中ですから、 驚くほど銀河系は広いですね。 月まで行くのが精一杯の今の人類が、こんなところまで到達できる日は来るのでしょうか。 遠い星々を眺めながら、宇宙旅行の気分を味わってみたら、 心は大きく膨らんで、嫌なことも忘れてリラックス効果抜群かもしれません。
番外コラム:湯煙の中のオリオン座
日本でリラックスといえば温泉。それも露天風呂が大人気。 その露天風呂のキャッチフレーズによくあるのが「満天の星空を見ながら」という言葉。 でも実際に露天風呂に入ると照明も明るですし、 湯煙は立ち上っていて、満天の星空が見えたことがありません。
でもそんな露天風呂でも、オリオン座だけは明るいのでよく見えます。 冬の時期に露天風呂に行かれたら、南の方向だけ確認してから風呂に入れば、 21時頃、南の空にオリオン座が輝いているはずです。 一つでも星座がわかれば、そこから他の星座を辿っていくのも楽しいもの。 温かいお風呂の中で、湯煙の向こうで輝く星座探しもいいですね。