ガム星雲の広がり

Gum Nebula

ガム星雲の広がり

Takayuki Yoshida

ガム星雲 冬の南天の大星雲

ガム星雲は、大昔に超新星爆発が起こったときの残骸と言われています。 写真は、冬の天の川で輝く「おおいぬ座」の南部から「ほ座」にかけての天の川を、 日本から写した作品ですが、 ガム星雲は、写真下方にボンヤリと赤く写っています。 ガム星雲の視直径は40度ほどもあり、巨大な星雲です。 ガム星雲の広がりから、その時の超新星爆発の大きさが感じられますね。

ガム星雲は、「とも座」「ほ座」「らしんばん座」「りゅうこつ座」にわたって広がっている星雲です。 昔、これらの4星座があるところには、「アルゴ座」という一つの星座がありましたが、 あまりに大きな星座なので、天文学者ラカイユが4つの星座に分割しました。

アルゴ座の元となった冒険船アルゴ号は、ギリシア神話では「50人の勇士を乗せて、金の毛を持つ羊を捕まえに行く船」として描かれています。 そんなことを思い浮かべながらガム星雲の写真を眺めていると、なんだか船の乗組員の亡霊が星雲になって、 ボォーッと輝いているような気がしてきます。

この星域は、ガム星雲以外にも比較的大きな散光星雲が点在していて、色彩が豊かなところです。 冬の淡い天の川も上から下へと流れて、印象に残る作品になりました。 南天低い対象ですので、視界が良くないと写しづらい対象ですが、一度撮影されてみてはいかがでしょう。 標準レンズぐらいの画角がガム星雲も写りやすく、手軽に撮影を楽しめると思います。

※オーストラリアまで出かけて、ガム星雲の一部を拡大撮影した「ほ座の超新星残骸」の写真もご覧ください。


Imaging information

撮影機材:SMC Pentax105mmF2.4レンズ(F4で撮影)、タカハシP-2赤道儀

使用カメラ:ペンタックス67 カメラ

露出時間:25分、エクタロームE200(+1増感)

撮影場所: 奈良県十津川村、2004年撮影

月刊天文入選作品