夏の大三角

Summer Triangle

夏の大三角形

Takayuki Yoshida

夏の大三角

夏の大三角とは、夏の夜空で輝く明るい三つの星を頂点とした大きな三角形のことです。 夏の大三角形とも呼ばれるこの形は、星空が見えづらくなった都会の星空でもよく目立ち、 星座を見つける上でよい指標となります。

夏の大三角を構成する三つの星は、明るい方から、こと座のベガ、 わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブです。 どの星も、それぞれの星座の中で最も明るい星になります。 特にベガは1等星よりも更に明るい0等星のため、夜空でよく目立ち、上の写真でも右上に一際明るく大きく写っています。

ベガとアルタイルは、七夕物語でもよく知られている星です。 七夕物語では、ベガが織姫星、アルタイルが牽牛星と紹介されています。 物語では、天帝の娘であった織姫と牽牛は結婚した後、幸福に酔って怠惰な生活を送るようになりました。 それを見た天帝は怒り、二人を天の川の両岸に隔ててしまいますが、 やがて哀れに思い、年に一度7月7日の日にだけ会うことを許しました。 こうして年に一度だけ、二人は天の川を渡って再会するというお話です。 上の写真でも、ベガとアルタイル(中央下の明るい星)が天の川の両側で輝いていることがわかります。

この日の星空は、黄砂とPM2.5の影響で、普段よりも透明度が悪く、光害の影響も感じられる夜空でした。 そこで、周辺減光が目立たないように、レンズの絞りを通常より絞って撮影しました。 また、なるべく良い条件で撮影するため、撮影対象の夏の大三角が天頂に昇ってくるまで待ってシャッターを切りました。

なお、この夏の大三角の写真は、デジタル一眼レフカメラを使用して撮影しましたが、 露出時間が480秒と長いため、カメラ三脚に載せただけでは、日周運動で動く星々は流れて写ってしまいます。 そこで、星の動きを追いかけるポータブル赤道儀にカメラ一式を載せて撮影しています。 このような撮影方法を追尾撮影と呼んでいますが、 詳しい撮影の方法は、ポータブル赤道儀を使った撮影方法のページをご覧ください。

※銀塩写真ギャラリーに中判カメラで撮影した夏の大三角の写真を載せています。 デジタルと銀塩の写りを比較していただければ幸いです。


Imaging information

撮影光学系: シグマ 35mm F1.4 DG HSM

使用カメラ: キヤノンEOS5D MarkII

赤道儀: ユニテックSWAT-200赤道儀にて恒星時追尾

カメラの設定: ホワイトバランスオート、F3.2、ISO800、RAWモード、
ケンコーPROソフトンAフィルター使用

露出時間: 480秒×4コマ

画像処理ソフト: ステライメージ7、PhotoshopCC

撮影場所: 兵庫県神河町砥峰高原