いて座 M8とM20

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いて座 M8とM20

M8とM20は、夏を代表する散光星雲で、いて座で輝いています。 M8は干潟星雲、M20は三裂星雲の愛称でも広く知られていて、天体写真の被写体としても人気があります。 どちらも明るい星雲なので、口径5センチの双眼鏡で観望すると、 夏の天の川の中で、ぼんやりと輝く姿を確認することができます。 口径の大きな天体望遠鏡を使えば、 三裂星雲の三つに引き裂かれた様子や、干潟星雲のガスの濃淡を観察することも可能です。

M8とM20の撮影には、ビクセンの屈折望遠鏡「ED103S」を用いました。 ビクセンED103Sは、2004年末に発売された屈折式望遠鏡ですが、現行機種のSD103Sと同じ光学系が採用されています。 ED103Sにも、SDシリーズ用の補正レンズが使用できるため、 ED103SにレデューサーHDを取り付け、35ミリフルサイズのデジタル一眼レフカメラで撮影しました。 最新設計の補正レンズの性能は素晴らしく、フルサイズ最周辺まで鋭い星像を結びました。

梅雨前線が本州に近づいている影響で、撮影した夜は天候が不安定で、 撮影画像の半分程度は、薄雲の影響で星がにじんで写っていました。 その撮影画像の中から、できるだけ薄雲の影響が少ない画像を選んで、コンポジット処理して仕上げた作品です。 元々明るい星雲なので、画像処理時の強調は控え、カラーバランスと色カブリの補正に重きを置いて仕上げました。


Imaging information

撮影光学系:ビクセン ED103S(デジタル対応SD改造サービス実施)、SDフラットナーHD+レデューサーHD 使用

撮影カメラ:キヤノン EOS6D(フィルター換装・冷却改造)

赤道儀:ビクセン SXP赤道儀、オートガイド追尾

カメラの設定:ホワイトバランス 手動設定、ISO1600、RAWモード

露出時間:480秒×6コマ

画像処理ソフト:ステライメージ8、PhotoshopCC 2015

撮影場所:奈良県五條市大塔村、2020年撮影