ガーネット・スターとIC1396

Herschel's Garnet Star,IC1396

ガーネット・スターとIC1396

Takayuki Yoshida

ガーネット・スターとIC1396

ケフェウス座μ星(写真左上に写っている明るい星)は、赤く輝く色合いから「ガーネット・スター」の愛称で親しまれています。 ガーネット・スターは、脈動変光星の一つで、730日の周期で3.4等から5.1等へと明るさが変わります。 ガーネット・スターの表面温度は2000度以下と低く、 直径は太陽の1500倍以上もあると考えられています。

IC1396は、ガーネット・スターの南側に広がる輝線星雲で、 地球から約2400光年の彼方に存在しています。 主にHα光で輝く星雲のため、一般撮影用デジカメでは写りづらいですが、 天体撮影用のデジカメを使用すると、作例のように、赤く広がった星雲の姿が浮かび上がってきます。 IC1396の中には、「象の鼻星雲(Elephant's Trunk Nebula)」と呼ばれる、 星間物質が豊富で星の形成が活発に行なわれている領域があり、この部分のクローズアップ撮影もよく行われています。

作例の撮影には、F値が明るい反射望遠鏡「タカハシε-180ED」を用いました。 夜空の透明度が若干悪かったため、240秒露光では若干露光オーバーになってしまいましたが、 画像処理時に修正して仕上げました。 また、この日は夜露が酷く、明け方には機材が雨に濡れたような状態になりましたが、乾燥空気を送っていたお陰で、 望遠鏡のミラーや補正レンズは無事でした。 空気が乾燥しやすい秋の時期でも、夜露対策は必要ですね。


Imaging information

撮影光学系:タカハシ ε-180ED

撮影カメラ:キヤノン EOS6D(フィルター換装・冷却改造)

赤道儀:ビクセン AXD赤道儀にて追尾

カメラの設定:ホワイトバランス 手動設定、ISO1600、RAWモード

露出時間:240秒×12コマ

画像処理ソフト:ステライメージ8、PhotoshopCC 2015

撮影場所:岡山県備前市吉永町 八塔寺、2018年撮影