DPPで処理したペリカン星雲

Pelican Nebula

夏の大三角形

Takayuki Yoshida

DPPで処理した はくちょう座のペリカン星雲

ペリカン星雲は、はくちょう座α星デネブの近くに輝く散光星雲で、 その形がペリカンのように見えることからこのように名づけられました。 ペリカン星雲のすぐ隣には、天文ファンによく知られている北アメリカ星雲が輝いています。 両星雲は、写野の広いカメラレンズや短焦点望遠鏡を使って、同写野に捉えられることも多い天体です。

ペリカン星雲は、Hα光を発して輝く散光星雲のため、肉眼ではその姿を見ることはできません。 大口径の望遠鏡に干渉フィルターを使えば、微かにその姿を捉えることは可能ですが、 観望対象というよりも撮影対象として人気が高い天体です。 デジタルカメラでペリカン星雲の姿をはっきりと写す為には、 デジタルカメラのセンサーの前に装着されたフィルターを天文用に換装する必要があります。 この写真は、フィルターを天文用に換装し、さらに冷却機能も付けたキヤノンEOS60D(Astro60D)カメラを使用して撮影しました。

撮影には、ビクセンED81SII望遠鏡を使用しました。 望遠鏡の直焦点そのままではF値が暗く、周辺像も乱れるので、笠井トレーディングから発売されているED屈折用0.8倍レデューサーを使用しました。 0.8倍なので合成F値は6前後と若干暗めですが、周辺までほぼ均質な星像を得ることができました。

撮影画像の画像処理には、キヤノン純正のRAW現像ソフトウェア、Digital Photo Professional(DPP)を使用しました。 普段使用しているPhotoshopCCに比べてレイヤー機能が使えないなどの制限はありますが、 機能がシンプルにまとめられており、感覚的にわかりやすいという印象を受けました。
※ダーク補正及びフラット補正は行っていません

※デジタルカメラギャラリーに、フルサイズデジタル一眼レフカメラと大型鏡筒で撮影した ペリカン星雲の写真を載せています。 口径による写りを比較していただければ幸いです。


Imaging information

撮影光学系: ビクセンED81SII望遠鏡、笠井トレーディングED屈折用0.8xレデューサー使用

使用カメラ: キヤノンEOS60D(天文用冷却改造モデル)

赤道儀: ビクセンSXD赤道儀、QHY5L-IIMカメラにてオートガイド撮影

カメラの設定: ホワイトバランスマニュアル、ISO1600、RAWモード、
アイダスHEUIB-IIフィルター使用

露出時間: 600秒×2コマ

画像処理ソフト: キヤノン Digital Photo Professional(DPP)

撮影場所: 兵庫県神河町砥峰高原