からす座とコップ座

Corvus & Crater

からす座とコップ座

Takayuki Yoshida

からす座とコップ座の概要

春から初夏の頃にかけて、南の空に目を向けると、全天一長い星座「うみへび座」が横たわっています。 そのうみへび座の背の上には、3つの星座が輝いているのですが、 その中の二つが今回取り上げたコップ座とからす座です(もう一つの星座は「ろくぶんぎ座」です)。

コップ座とからす座は、暗い星々から構成されている小さな星座のため、一般にはあまり知られていない星座です。 上の写真では右側に写っている盃(さかずき)のような形をした星の集まりがコップ座で、 小さな四辺形の形をしているのがからす座です。 コップ座の方はあまり目立ちませんが、からす座の四辺形は、この周りに明るい星がないこともあり、 思ったよりも目につきます。 星空の綺麗な場所に出かけたら、からす座の四辺形を探してみてはいかがでしょう。

ギリシア神話では、からす座になっているカラスは、太陽神アポロンの使い鳥だったと考えられています。 非常に賢いカラスで人間の言葉も自由に話せたのですが、おしゃべりが過ぎて、アポロンの怒りを買ってしまいます。 口は災いの元という例えにも使われることがあるからす座です。

コップ座となった盃は、ギリシア神話に登場する酒造りの神ディオニュソスが使っていた盃とか、 アポロンやヘルクレスが使っていた盃だったと語られています。 また、他の話では、魔女が若返りの薬を作るために使った鉢だとも言われていて、 目立たないわりには、物語の多い星座といえます。

どちらも小さな星座なので、星座内にはそれほど多くの天体は存在していないのですが、 からす座の中で輝いている触覚銀河は有名です。 触覚銀河はアンテナ銀河とも呼ばれている系外銀河で、二つの銀河系が衝突し、 潮汐力を及ぼし合うことで2本の長い腕状の構造が伸びている天体です。 宇宙のダイナミックな変化を感じられる天体の一つです。

星座名 英語名 略号 星数(5.5等まで) 特徴 季節
コップ Crater Crt 34個 取っ手が付いた盃を形をした星座
からす Corvus Crv 27個 4つの3等星が形作る四角形の星座

Imaging information

撮影レンズ: キャノンEF24mmF1.4LUSMII

使用カメラ: キャノンEOS60D(フィルター換装、冷却改造)

露出時間: L=5分x4, ISO800, F2.5, 追尾撮影