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ケンコー天体望遠鏡の特徴

ケンコー天体望遠鏡を使った印象や、メーカーの特徴をまとめたページです。 個人の印象や見解なども多分に入っていますので、軽い気持ちで読んでいただければ幸いです。

ケンコー天体望遠鏡

ケンコースカイメモ赤道儀 ケンコー天体望遠鏡は、カメラのフィルターで有名な株式会社ケンコー・トキナーから発売されています。 天体写真ファンなら、ケンコーと言えば、ポータブル赤道儀の「スカイメモ」がまず頭に浮かぶでしょう。 モデルチェンジを繰り返しながら製造が長く続けられている、ポータブル赤道儀の定番機種です。

現行のスカイメモRは、前モデルのスカイメモNSと比べると小型軽量化されて機動性がアップしました。 そして、2012年にマイナーチェンジが行われ、スカイメモRSとなって発売開始されています。 今回のマイナーチェンジでは、恒星時追尾モードに加えて、 星景撮影モードなどを搭載し、より星景写真撮影に向いた仕様になっています。

スカイメモは、小さくてコンパクトな赤道儀ですが、強度と精度がよいことで知られています。 広角から中望遠のカメラレンズとデジタル一眼レフカメラを使って、星空を撮影するなら、 こうしたポータブル赤道儀が適しているでしょう。

ケンコーは天体望遠鏡も販売しています。 昔はケンコーβプラズマシリーズという望遠鏡を作っていましたが、現在は自社生産の製品はないようです。 現在、ケンコーブランドで販売している望遠鏡は、すべて中国のOEMメーカー製品となります。 このスカイエクスプローラーシリーズは、他社製品と比べると価格が安いので人気があります。


低価格のスカイエクスプローラー赤道儀

ケンコーのスカイエクスプローラー赤道儀は、高機能で低価格だったので、発売開始と同時に天文ファンの間で注目を集めました。 スカイエクスプローラーUは、自動導入機能が付いた赤道儀で、カタログ上のスペックはタカハシやビクセンの中型赤道儀に近い製品です。 そのスペックにも関わらず、価格はタカハシ赤道儀の4分の1程度でしたから、注目を集めたのも納得です。

実際に使ってみると、極軸望遠鏡がずれていたり、自動導入機能が英語表示だったりと使いにくい部分がありますが、 価格を考えるとお買い得感がある赤道儀です。 赤道儀の基本性能は高そうなので、自分で極軸望遠鏡やモーターの調整などできる方なら、高精度な赤道儀に改造できる かもしれません。

スカイエクスプローラーには、EQ6PROという大型のタイプもあります。 こちらは、より大型になって耐荷重を増やしたモデルです。 タカハシのEM200赤道儀や、ビクセンのアトラクス赤道儀と同じクラスの製品になりますが、価格は実売で20万円弱と他メーカーの半額程度です。 こちらもスカイエクスプローラーUと同じような問題がありますが、強度が高いので、より大きな機材を使って 天体写真撮影をする方に人気があります。

上記のように、ケンコーのスカイエクスプローラー赤道儀には、極軸望遠鏡の設置などに問題があるため、自分で調整する必要があります。 しかし、製品の基本的な強度は高いので、改造などの手を加えられれば、安価で実用的な赤道儀に生まれ変わる可能性があります。 あれこれ考えながら、改造するのが好きな方に向いた製品ではないでしょうか。


お買い得なケンコーSE反射望遠鏡

ケンコー製品のもう一つの魅力は、安価な大口径反射望遠鏡がラインナップされていることです。 ケンコーSE200と名付けられた望遠鏡は口径20センチ、ケンコーSE250は口径25センチの大型反射望遠鏡です。 どちらも大口径のニュートン式反射望遠鏡ですが、販売価格は、ケンコーSE200は3万円台、SE250なら6万円弱で販売されています。 価格破壊の望遠鏡とも言えます。

安価な分、接眼部が頼りなかったり、鏡筒の強度が弱かったりと不満がありますが、こんな価格で大型反射望遠鏡を購入できるのは大きな魅力です。 天体写真撮影用と考えると改造などが必要ですが、観望用と割り切れば十分使用できます。 お買い得感の高い大型望遠鏡と言えるでしょう。


ケンコーNewKDS雲台はお勧め

ケンコーには、スカイエクスプローラーシリーズの他に、NewKDSシリーズがあります。 ケンコーNewKDSシリーズは、赤道儀式ではない経緯台タイプの望遠鏡シリーズで、初心者や初級者向けのラインナップとなっています。 あまり知られていませんが、このシリーズに使われているNewKDS架台は、野鳥撮影する方々からも人気があります。

初心者用の望遠鏡にとって架台はとても重要です。 その点このケンコーKDSシリーズのNewKDS架台は、強度があってしっかした構造をしています。 架台には、全周微動装置も付いているので、なかなか使いやすく仕上がっています。 ビクセンのポルタ経緯台と同じくらいお勧めできる製品です。 ヨドバシカメラにも展示されていますので、一度実物を見てみられてはいかがでしょう。


ケンコーSKYWALKER

ケンコーには、スカイウォーカーシリーズという安価な望遠鏡ラインナップもあります。 このシリーズの望遠鏡には、経緯台式と赤道儀式架台のモデルが用意されていて、どちらも非常に安価です。 予算を考えると魅力的な製品ですが、架台の強度が弱いので、できればポルタのような製品を選んでおきたいところです。

中でもケンコーSKYWALKERシリーズの赤道儀式は、形だけが赤道儀式とも呼べるものです。 この赤道儀には、モーターも極軸望遠鏡もオプションで用意されていませんので、これで天体写真を撮るのは難しいと思います 価格はずっと高くなりますが、スカイエクスプローラーの方が実用的で、長い間使えるでしょう。 SKYWALKERシリーズは、価格が非常に安くて魅力的ですが、できるなら避けた方がよい製品だと思います。