さそり座のアンタレス付近

Rho Ophiuchi cloud complex, Antares Nebula

さそり座のアンタレス付近

Takayuki Yoshida

さそり座のアンタレス付近

写真左下に写っている明るく黄色い星が、さそり座α星のアンタレスです。 アンタレスのすぐ西(写真右側)には、球状星団のM4が写っています。 M4は星の集まりがまばらな球状星団で、口径の大きな天体望遠鏡を使用すると、 中央部の星々まで分解して美しい眺めを楽しめる貴重な天体です。

アンタレス付近の写真の見所と言えば、色鮮やかな星雲の存在でしょう。 上の写真でも、赤、黄、青色と非常にカラフルなガスが写っています。 天体写真ファンに大変人気のある被写体ですが、これらの星雲は非常に淡く、 撮影したままの画像では、薄い雲のように写っているだけです。 その画像をパソコンで取り込み、画像処理ソフトを使ってコントラストを強調することで、 写真のような一枚に仕上げています。

この写真は、コーワのテレフォトレンズ「PROMINAR 500mm F5.6 FL」と天体撮影用に改造したEOS6Dを用いて撮影しました。 撮影地の八塔寺は、紀伊半島と比べると南方向が明るいため、光害カブリのカブリを補正する必要がありました。

また、PM2.5が空を覆っていたのでしょうか、空の透明度が若干悪かったため、 暗黒帯や淡い部分の写りはもう一歩のように感じられました。 そのため、全体的にコントラストは低めに押さえ、ナチュラルな印象の作品に仕上げました。 なお、左下に写っている白い雲状のものは、カメラ内に取り付けたフィルターに起因するゴーストと思われます。


Imaging information

撮影光学系:コーワ PROMINAR 500mm F5.6 FL (マウントアダプター TX07使用, 350mm F4)

撮影カメラ:キヤノン EOS6D(フィルター換装・冷却改造)

赤道儀:ビクセン SXP赤道儀にて追尾

カメラの設定:ホワイトバランス 手動設定、ISO1600、RAWモード、IDAS UIBAR-Vフィルター

露出時間:200秒×24コマ

画像処理ソフト:ステライメージ8、PhotoshopCC 2015

撮影場所:岡山県備前市吉永町 八塔寺、2019年撮影