北アメリカ星雲


北アメリカ星雲

北アメリカ星雲は、夏から秋にかけて見頃を迎える散光星雲です。 北アメリカ星雲は、はくちょう座の一等星デネブのすぐ隣で輝いています。 大きな散光星雲ですが、Hα光と呼ばれる特定の波長で輝いているため、 肉眼では見ることが難しい天体です。 しかし、写真には写しやすいので、銀塩フィルムの頃から天体写真ファンに人気がある被写体です。

ただこうした赤色の散光星雲は、市販されているデジタル一眼レフカメラでは、 ほんのうっすらとしか写ってくれません。 これは、撮像素子につけられているフィルターが、 北アメリカ星雲が光っている特定の波長の光のほとんどをカットしてしまうからです。 そのため、フィルター改造されたデジタル一眼レフカメラが撮影にはよく使われています。 フィルター改造については、改造デジカメのページをご覧ください。

この作品は、冷却CCDカメラと呼ばれる天体写真専用のデジタルカメラで撮影しています。 デジタル一眼レフカメラとは違って、この冷却CCDカメラにはモノクロCCDが撮像素子に使われていますので、 RGB画像ごとに撮影を行って最後にカラー合成しています。 撮影、画像処理共に大変な手間がかかりますが、カラーセンサーでは得られない解像度の高い写真を得ることができます。

この北アメリカ星雲の右隣には、ペリカン星雲が輝いています。 こちらもペリカンそっくりの形をした星雲で、写真ファンに人気がある天体です。 北アメリカ星雲とペリカン星雲の写真をご覧いただくと、 位置関係がわかりやすいでしょう。

地球から北アメリカ星雲までの距離は、およそ1800光年です。 星雲の広がりは、100光年ほどと言われています。 北アメリカ星雲とペリカン星雲は、本当は同一の星雲で、手前に大きな暗黒星雲があるので、こうした形に見えているようです。 オリオン座の馬頭星雲は、 暗黒星雲に名前が付けられていますが、こちらは逆に明るい散光星雲部分に名前が付けられています。


Imaging information

撮影機材: タカハシε250, ヘラクレス赤道儀

使用カメラ: SBIG STL-11000M, Astronomik Type2C LRGB filters

露出時間: L=100分(10分×10),R=20min, G=20min, B=20min(RGB:2x2binned)
総露出時間: 2時間40分

画像処理ソフト: ステライメージ6, PhotoshopCS

撮影場所: 岡山県備前市八塔寺, 2008年撮影