馬頭星雲

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馬頭星雲

馬頭星雲は、その暗黒星雲の形が馬の頭の形に見えることから名付けられた星雲です。 代表的な冬の星座であるオリオン座に位置する星雲で、 三ツ星の一番東側の星(アルニタク)のすぐ側で輝いています。 この馬頭星雲は、オリオン大星雲と並んで、 天体写真ファンに大変人気がある天体です。

今回は35ミリフルサイズのチップを持つ天体用冷却CCDカメラSTL11000Mを使って、 馬頭星雲の微妙な色合いを表現しました。 中央左寄りで輝く明るい星が、オリオン座δ星のアルニタクです。 アルニタクから右側に向かって、赤い色をしたガス星雲が広がっているのがわかります。 そしてその星雲の中央に、馬の横顔のような暗黒星雲「馬頭星雲」の姿が見えます。 馬頭星雲は自らが光を発する星雲ではないため、背後に明るい星雲があるので浮き立って見えているのです。 偶然とは言え、本当に馬の横顔そっくりな形をしています。

アルニタクの下には、NGC2024という番号がつけられた、少しオレンジ色がかった星雲が写っています。 このNGC2024は、その形から「燃える木」の愛称で天体写真ファンに親しまれてます。 馬頭星雲と比べるとこの星雲は明るいので、夜空が十分暗い場所で口径の大きな天体望遠鏡を使えば、かすかにその姿を確認することができます。 なお、この写真は左側が天の北極方向となっています。

馬頭星雲は肉眼では見えづらいものの、写真写りは比較的良いので、天体撮影の初級者でも撮影を楽しめる天体です。 しかし、アルニタクという明るい2等星が近くで輝いているため、ゴーストや迷光などに悩まされやすい被写体でもあります。 また、NGC2024の色合いが微妙で、思った以上に色合いが豊富で複雑な領域です。 綺麗に仕上げるには、撮影技術と画像処理技術が試される星雲ではないでしょうか。 機会があれば、是非撮影にチャレンジしてみてください。
※口径の大きな天体望遠鏡で撮影した馬頭星雲の拡大写真もご覧ください。


Imaging information

撮影光学系:タカハシTOA130S, TOA35レデューサー使用

追尾機材:タカハシNJPTemma2赤道儀

使用カメラ:SBIG STL-11000M, Astronomik Type2C LRGB filters

露出時間:L=120分(15分×8),R=40min, G=40min, B=40min(RGB:2x2binned)

画像処理ソフト: Stellaimage5, PhotoshopCS

撮影場所: 奈良県曽爾高原 2006年撮影

天文ガイド入選作品