網状星雲全景

Veil Nebula in Cygnus

網状星雲全景

Takayuki Yoshida

網状星雲全景

網状星雲は、はくちょう座ε星の近くで輝く散光星雲で、 約2万年前に、太陽の約25倍もの質量のある大きな恒星が爆発したときの残骸だと考えられています。 網状星雲は、天体撮影の被写体として人気があり、望遠レンズによる星雲の全体像だけでなく、 焦点距離の長い望遠鏡を使ったクローズアップ拡大撮影など、様々な光学系で撮影されています。

網状星雲をデジタルカメラで写すと、星雲の明るい部分が東西2つの部分に分かれたように写りますが、 淡い部分がその間や周囲にも広がっていることが知られています。 今回は、広範囲に広がった淡い星雲を表現するため、 ビクセンVSD100 F3.8にレデューサーを組み合わせ、ナローバンドで撮影を行いました。 使用したナローバンドフィルターは、HαとOIIIの光を通すChroma社の半値幅5nmです。 撮影は、2等星がやっと見える都市部の自宅(OIIIの一部は篠山町)で行いました。

撮影した画像は、一旦、AOO(HOO)カラー合成の写真に仕上げた後、 以前、他の鏡筒で撮影したRGB画像を重ね合わせて、星色を自然な色調に調整しました。 淡い部分を表現するため、コンポジットにコントラストを強調したため、 若干ノイズ感は感じられますが、網状星雲の淡い広がりを捉えることができたと思います。


Imaging information

撮影鏡筒:ビクセンVSD100 F3.8 レデューサー使用、ビクセンFL55SS(RGB画像)

望遠鏡架台:ビクセンSXP赤道儀

使用カメラ:Moravian Instruments G3-16200 冷却CCDカメラ

冷却CCD用色分解フィルター:Chroma社 Hα、OIIIフィルター(半値幅:5nm)

露出時間:Hα=OIII=10分×16枚、RGBはデジタル一眼レフカメラによる別撮り

画像処理ソフト:ステライメージ9、PhotoshopCC 2020

撮影場所:兵庫県宝塚市、篠山市、岡山県備前市八塔寺、2021年撮影