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モニュメントバレー
モニュメントバレー Monument Valley
モニュメントバレーは、アメリカ合衆国のアリゾナ州とユタ州の境界付近を中心として広がっている公園です。 このモニュメントバレーは、ビュート(butte)と呼ばれる山頂は平らで周囲は絶壁の岩山が、広大な赤い荒野にそびえ立っている姿で有名です。 いろいろな映画や雑誌で紹介されているのを見ているうちに、どうしてもこの目で見たくなって今回の旅行となりました。
ところで、このモニュメントバレーは、アメリカの国立公園ではなく、ネイティブアメリカンのナバホ族の管理下に置かれた公園です。 ナバホ族の人は、この場所のことを「モニュメントバレー」ではなく"Tse Bii Ndzisgaii"と呼んでいるそうです。
モニュメントバレーの行き方
モニュメントバレーは、アリゾナ州の中でもアクセスが不便なところに位置しています。 そのため、飛行機から降りた後も、車かバスでの長距離ドライブが必要となります。
日本からツアーで行く場合は、ラスベガスまで飛行機で飛んでから、バスツアーに参加、もしくはレンタカーを借りて自分でモニュメントバレーへ 向かうプランがほとんどだと思います。最近、成田空港からソルトレイクシティへの直行便が飛び始めたので、ユタ州側から モニュメントバレーへ行くこともできるようですが、航空券の値段を考えるとラスベガス経由の方が安そうです。 私もラスベガス経由でモニュメントバレーへと行くことにしました。
ラスベガスからモニュメントバレーまでの間には、世界的に有名なグランドキャニオン国立公園があります。 ラスベガスからモニュメントバレーまで一気にドライブするのは大変なので、グランドキャニオンの近くのモーテルで宿泊し、 グランドキャニオンを観光してからモニュメントバレーへと向かうことにしました。 旅行会社の観光ツアーでは、アリゾナ州やユタ州にある国立公園を一気に回るグランドサークルツアーというのが人気のようですので、 そのような海外旅行ツアーを利用すると、楽に主要な観光地を回れるようです。
ラスベガスからは、ハイウェイ93号線を利用して、まずキングマン(Kingman)に向かいました。 途中で、ルーズベルト大統領がニューディール政策で建設したフーバーダムも見学できます。 キングマンからは、I-40(インターステイトハイウェイ40号線)を走る方が近道ですが、有名なルート66が併走しているので、そちらを 利用してウィリアムズ(Williams)という小さな町を目指しました。 ウィリアムズからグランドキャニオンまでは、100キロほどの距離で、州道64号線を北上するだけで到着です。 ちなみにウィリアムズからは、グランドキャニオンへと続くグランドキャニオン鉄道(Grand Canyon Railway)が出ています。 鉄道ファンなら気になる列車かもしれません。
なお、この州道64号線は本当にまっすぐで、ドライブしているとついついスピードが出てしまいがちです。 なんでも後から友人に聞いたところ、ここはスピードチェックがよく実施されている場所だそうですから、スピードの出しすぎには気をつけた方が良さそうです。
グランドキャニオンのサウスリム(South Rim)のゲート前のモーテルで宿泊した後、グランドキャニオンをしばらく観光してから 目的地であるモニュメントバレーに向かいました。 グランドキャニオンからは、まず州道64号線を使って東へと進みます。しばらく荒れ果てた道を走ると、南北に走るハイウェイ89号線と ぶつかるので、左折して北へ向かい、ハイウェイ160号線との交差点でカエンタ(Kayenta)というモニュメントバレーに近い小さな町を 目指しました。この間、約260キロほど。4〜5時間ぐらいのドライブです。
モニュメントバレーでの宿泊
モニュメントバレーには、新しく建造されたザ・ビュー(The View)というホテルが公園内に建っています。 これが公園内に建つ唯一のホテルで、どのホテルの部屋からもモニュメントバレーの景色を目の前に見ることができるので、旅行客に大変人気があるホテルです。 ただ、宿泊料金がかなり高かったので(私が行った時期で1泊200ドル前後)、私はカエンタにあるモーテルに泊まることにしました。 こちらだと1泊1室50ドル前後。必要最小限の施設といった感じのモーテルでした。 なお、モニュメントバレーの宿泊場所としては、他にグールディングロッジというホテルがあります。 こちらもツアー客に人気があるようでした。
私が訪れたときは冬でしたので、ザ・ビューホテルもグールディングロッジも空きがありましたが、夏のハイシーズンになると 予約がなかなか取れないようです。ゴールデンウィークや夏休みなどに個人で行かれるのでしたら、早めにホテル予約しておいた方が良さそうです。
ところで、私が宿泊したカエンタ(Kayenta)というアリゾナ州の都市ですが、ここは荒野に広がった人のまばらな町といった感じです。 ガソリンスタンドが国道160号線沿いに幾つか並んでいて、マクドナルド等が並んでいるという程度の町で、 めぼしいレストランなどはなさそうでした。もし何日か滞在される予定なら、手前の主要都市で食料を買い込んでおいた方がいいかもしれません。
モニュメントバレーへのドライブ
カエンタからモニュメントバレーへのドライブは、本当に気持ちが良いです。 何もない荒野にまっすぐに道が走っていて、ところどころにビュート(Butte)やメサ(mesa)と呼ばれる、周りが絶壁になった岩が見えます。 とうとうテレビで見たあの世界に来たんだという実感が、このドライブで沸きました。
カエンタから50キロ程走ると、モニュメントバレーのゲートへと続く道と交わります。 そこを右折してしばらく走ると、入場料を払うゲートが見えてきて、その奥にビジターセンターとホテル「ザ・ゲート」が建っています。 周りの荒廃したアリゾナの景色とは対照的に、このホテルとその駐車場は近代的なコンクリートの構造物で驚きました。
広い駐車場に車を止めて周りを見渡すと、あのテレビやポスターで見慣れた三つの岩山が目に飛び込んできました。 写真からはわかりませんでしたが、実際は大変大きく、何とも言えない存在感と迫力があります。 映像や写真では伝えきれない存在だなぁと思いつつ、しばらくボーッと立ち尽くしていました。
ちなみにこの3つの岩山は、左から東ミトン(West Mitten),西ミトン(East Mitten)、マリック(Merrick)という名前が付けられています。 ミトンはその形が手袋のように見えることから来たようです。Merrickというのは、探検者の名前から付けられたと案内板に書かれていました。
モニュメントバレー内のツアー
モニュメントバレー内には、舗装されていないダート道が走っていて、ホテルからは見えないトーテムポールと呼ばれる岩の柱や、 その他のビュートやメサを観光できるようになっています。 しかし残念ながら、いろいろな規制があるようで、ナバホ族が実施するツアーに参加しないとそれらの場所には行けないということでした。
残念ながら私が着いたのは夕方前で、季節もオフシーズンだったこともあり、利用できるツアーは実施されていませんでした。 そこで、ビジターセンターで聞いてみると、センターの周りには約17マイルの観光道路(Scenic Drive)と呼ばれる道路が走っていて、 手前のビュートの近くまで自分の車で行けるということでした。 しかし道路を確認するとダート道は結構急で、車を壊してしまう危険を冒すわけにもいかず、駐車場の周りから巨大な岩を眺めて過ごすことにしました。 ちょっと下調べが足りなかったかなと反省しつつも、心に思い描いた風景が目の前にあることに感動して駐車場の周りを歩きながら、 写真などを撮っていました。
この他にもモニュメントバレーでは、馬に乗って谷の中を回るツアーや、気球に乗って上から眺めるツアーなど、いろいろなプランが用意されているようです。 しかしどれも5月から10月までのハイシーズンのみということでしたので、このようなツアーに参加したいなら、 その時期に旅行プランを立てた方が良さそうです。
ところで帰ってから下に記載した本を呼んでみると、私が行けなかった観光道路について書いてありました。 この観光道路は最初は急ですが、普通の車でも雨でなければ走れると書いてありました。 今度行く機会があれば、是非チャレンジしてみようと思っています。
モニュメントバレーの星空
モニュメントバレーに到着してしばらくすると日が沈み、辺りがだんだんと暗くなってきました。 空気が乾燥しているためなのか、太陽が沈むと一気に寒くなってきます。 それとともに薄明がかかる空に星が見えてきて、こんな場所で星空を見れる幸福感が沸いてきます。
この日は幸運にも快晴で、夜空一面の星空をモニュメントバレーで眺めることができました。 下がその時に撮影した星空の写真です。モニュメントバレーの一番右の岩山から、オリオン座が昇ってきているのがわかります。 モニュメントバレーの緯度は東京より1度ほど高い程度ですから、日本とほぼ同じ星空が広がります。 コロラド高原に位置しているため、透明度が良いのでしょう、日本よりもたくさんの星が見えます。 スケジュールの都合上、あまり長い時間星空を見ることができませんでしたが、薄明が終わってすぐというのに冬の天の川も綺麗に見えていました。 少しの間でしたが、貴重な場所での満天の空を満喫できました。
ところで、ホテルと駐車場の照明が結構明るく、それが少し気になりました。 下の写真でも画面の下側が白く光っていますが、これは駐車場の光がビュートの手前まで届いているためです。 夜遅い時間になれば、駐車場のライトは消灯するのかもしれませんが、モニュメントバレーで本格的に星空の写真を撮ろうと思うなら、 事前に問い合わせた方がよいかもしれません。
モニュメントバレーでの食事
モニュメントバレー内には、食事ができるような場所は見当たらず、唯一オープンしていたのがホテルザ・ビューのレストランでした。 ホテルのロビーで聞いてみると、宿泊客でなくてもレストランで食事はできるということでしたので、利用してみました。
レストランは清潔感あふれる綺麗なところで、窓からはバレー内も一望できました。 木で作られたテーブルにもインディアン調の模様が入っているなど、原住民のナバホ族の伝統を感じさせる雰囲気のレストランでした。 メニューの方はハンバーガーがほとんどでしたが、ナバホ族のローカルフードも用意されていたので、それを注文しました。 出てきたのは右上のシチューのような料理で、ナンが一緒に付いていました。 肝心の料理の味は、なかなかで、これなら日本人の口にも合うのではないかと思います。
メキシカンハット
モニュメントバレーから北に30分ほど走ったところに、メキシカンハットという岩があります。 なんでもアメリカの映画か何かで登場したことがあるようで、日本で読んだガイドブックに載っていましたのでついでに行ってみることにしました。
163号線を走っていると、道の右側に小さな看板がかかっていて「メキシカンハット」と書かれています。 そこからしばらくダート道を走っていくと、岩山の上の方にそれらしいものが見えてきました。 ちょっと遠いのですが、確かに小さな岩の上に平らな円盤のような岩が乗っていてメキシカンハットに見えました。 モニュメントバレーの大きなビュートを見た後なので、それほど大きな感動はありませんでしたが、旅の一つの思い出になりました。
モニュメントバレーのガイドブック
今回、旅行に出かける前に「地球の歩き方 アメリカ・ドライブ」などでモニュメントバレーについて調べましたが、 モニュメントバレーについては一般的な情報しか載っておらず、あまり予備知識のないままに出発しました。
旅行から帰ってきて調べてみると、「Photographing the Southwest - Arizona (Amazon.co.jp)」という 写真スポットをまとめた、写真家のための撮影旅行ガイドブックがあることを知りました。 海外での評価が高かったので、アマゾンで購入してみると、綺麗な写真が豊富に載っており、モニュメントバレーについても アクセスの仕方や写真スポット、それに撮影に最適な撮影時間帯などが10ページほどにわたって書かれていました。 アメリカに住む写真家からの視点から書かれているので、このような場所に撮影に行くには大変有用なガイドブックだと感じます。 今回モニュメントバレーに行く前に読んでおけば良かったと思いましたので、ここに紹介してみました。
アメリカの書籍なので、全て英語なのが残念ですが、アリゾナ州にある数々の写真スポットについて丁寧に書かれています。 またこのアリゾナ編の他にも、ユタ州編、コロラド・ニューメキシコ州編があります。 私はアリゾナ州編でこのガイドブックを気に入ったので、一気にシリーズ全冊揃えました。 どれも美しい写真と共に、アメリカ南部の知られざる写真スポットを紹介しています。 文章も丁寧で好感の持てるガイドブックだと思います。
備忘録
もう一度モニュメントバレーを訪れるときのための備忘録です。
モニュメントバレーは、アメリカ政府が管理する国立公園でないため、国立公園年間パスポート(America the Beautiful Annual Pass)は使えませんでした。 入場料は5ドル。9歳以下は無料ということでした。
上のガイドブックによれば、夏のハイシーズンは観光客がとても多く、また客引きもたくさんいるので気をつけた方がよいとのことです。
魅力的な形をした岩山(トーテムポール等)が、モニュメントバレーの中にはありますが、ナバホ族によるツアーに参加しないと見ることができないようです。 また、その写真を日の出、日の入りという絶好の時間に撮ろうと思っても、ツアーの実施時間が限られているのでなかなか 難しいとガイドブックに書かれていました。
モニュメントバレー内を自由に走れる観光道路(Scenic Drive)の開通時間は、ハイシーズン(5月1日〜9月30日)は午前6時から午後8時半。 それ以外のオフシーズンは、午前8時から午後4時半でした。
カエンタからモニュメントバレーへの道は、ところどころにテコボコがあるので運転は気をつけた方が良さそうです。 フェニックスに住む友人は、この道でタイヤがパンクしたと言っていました。
モニュメントバレーの気温は低く、私が行った冬で気温2度前後でした。 ビジターセンターのデーターによれば、冬の夜はマイナス4度程度まで下がるとのこと。 夏は25度前後になるようです。
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