星空コラム
窓から星空を見てほっと一息リラックス。 ストレス社会だからこそ見直したい星空観望。 夜空には、星々が変わらず輝き続けています。 そうした星々についてのちょっとした話題を綴った星空コラムです。
月の不思議
私達にとって一番身近な天体と言えば、太陽と月でしょう。 太陽は万物の恵みを与えてくれる貴重な恒星ですが、特殊な天体望遠鏡を使わないと観察できません。 そこで今回のテーマは、安価な入門式天体望遠鏡でも楽しめる地球の衛星「月」です。
月は地球サイズの惑星の衛星としては、とても大きな天体です。 そのため、月誕生の秘密は多くの人によって研究され、多くの説が生み出されています。 最近では、ジャイアントインパクト説という説が一番有力とされていますが、 実際の所は月に聞いてみないとわかりません。 でもどんな経緯でできたにせよ、約45億年前に月ができたということは、ほぼ確かと考えられているようです。 この説に寄れば、月ができた頃は、現在よりもずっと近くで月が光っていたそうです。 月誕生の頃の地球に行けば、夜空の半分は月が覆っていたようです。 SFの世界ですね。
月の模様
その月を地球から見ると、明るい部分と薄暗い部分があることがわかります。 その明暗模様から、昔の人々は様々なたとえ話を作り上げました。 日本では「うざぎが餅をついている」という昔話で有名ですよね。 また、フランスでは「美女の横顔」に見えるとも言われています。 あなたにはどんな風に見えるでしょう。
この月の薄暗い部分は『海』と呼ばれています。 海の部分も、場所によって違う名前が付けられていて、 湿りの海や晴れの海などと呼ばれています。 昔は月が満ちるときは天気が良くなり、月が欠けるときは天気が悪くなると考えられていたようです。 ですから、上弦の月の時に見える海には、良い天気にちなんだ名前が付けられ、 下弦の月の海には悪天候を思わせる名前が付けられています。 「嵐の大洋」なんて、恐そうな海の名前ですよね。
クレーターばかりの月面
この月を天体望遠鏡で覗くと、とてもたくさんのクレーターが見えます。 上弦や下弦の月の頃、月の欠け際を望遠鏡で観察すると、切り立った断崖のような山脈や谷がたくさん見えます。 こうして見ていると、さぞかし月面はデコボコで断崖絶壁ばかりなのだろうと思ってしまいますが、 実際には、ゆるやかな傾斜地のような地形のようです。 太陽の光が斜めから当たっているので、光と影がそう見せているのでしょう。 風景写真の世界に例えると、切り立った尾根を表現したいため、 斜光を用いて写真を撮る・・・のようなものですね。
実際はどうあれ、立体的に見える月面の観望は楽しいものです。 月にはクレーターをはじめ、山脈や崖、溝、ドームとたくさんの地形があります。 それぞれには、アルプス山脈などと言った、地球上でもなじみの深い名前が付けられているので、 地形図を見ながら一つずつ観望すると親近感がわいてきます。 世界旅行はなかなか行けませんが、望遠鏡を使った月面旅行なら手軽に行くことができるというわけです。
未来の月面基地
月は、人類が唯一その地に立った、地球以外の天体としても有名です。 1969年月に到着したアポロ11号宇宙船のアームストロング氏が言った「人類にとっては偉大な一歩だ・・・」というのは、 とても有名な言葉でしょう。 その後のアポロ宇宙船も次々と月に着陸し、月が人類の手が届く天体であることを私達に教えてくれました。
いま地球上では、地球温暖化を始めとした環境破壊や、エネルギー資源の枯渇が大きな問題になっています。 増え続ける世界の人口もこれに拍車をかけており、この地球上だけでは解決できない問題になりつつあります。 そうしたときに目に映るのが月の世界です。漫画やアニメの世界でも月面基地はよく登場しますが、 そういった基地を月に建造し、月から循環世界を作り出す世界がきっと遠くない未来実現するでしょう。
と言っても月には空気がなく、太陽光が直接降り注ぐ世界は、生身で歩けるような世界ではありません。 宇宙服の外側は死の世界です。それをどうやって克服するかが、大きな問題でしょう。
でも逆に考えれば、月面には空気がないので、透明度や気流も最高の世界です。 月面上にリモート天文台を建てれば、それこそ素晴らしい天体写真が撮れるでしょう。 月面基地の窓から青い地球を見ながら、宇宙の深淵に夢を馳せてみたいですね。