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バーナードループ

Sh2-276, Barnard's Loop

バーナードループ

Takayuki Yoshida

バーナードループ

バーナードループは、オリオン座を包み込むように輝いている巨大な散光星雲です。 非常に大きなガス星雲の広がりで、有名なオリオン大星雲や馬頭星雲等もこの星雲の一部と考えられています。 残念ながら肉眼では見えないため、この大きな星雲を観望することはできません。 しかし写真写りは良好なので、銀塩モノクロフィルム時代からよく写されてきました。 デジタルでもよく写りますが、この星雲はHα光で輝いているため、市販のデジタル一眼レフカメラでは写りは弱く、 天体用に改造した機種が必要となります。

このバーナードループ広がりは、約10度ほどもありますから、全体を写し出そうと思えば、 50ミリ標準レンズと35ミリフルサイズのデジタル一眼レフカメラが必要です。 標準レンズはF値が明るいですので、小型赤道儀と組み合わせれば、思った以上に簡単に写し出すことが可能でしょう。 星空が綺麗な郊外に出かける機会があれば、是非写してみて欲しい天体です。

今回の撮影では、200ミリの望遠レンズを使って、バーナードループが特に濃い西側の部分をモザイク撮影することにしました。 構図を横向きにして縦に3枚分割撮影した後、パソコン上で一枚に合成しています。 南の空の光害が大きい撮影地で撮影したので、一番下のコマが光害で大きくかぶれてしまいましたが、 そこはステライメージのカブリ補正で明るさを補正しています。

こうして完成した写真を見ると、バーナードループに比べてオリオン大星雲や馬頭星雲がどれだけ小さいかがよくわかります。 逆に言えば、それだけバーナードループは大きいわけですね。 バーナードループは、超新星爆発によってできた残骸とも考えられています。 きっとすさまじく大きな爆発だったのでしょう。 今話題のベテルギウスも超新星爆発したら、こんな残骸を残すのでしょうか。生きているうちに見てみたい気がします。


Imaging information

撮影機材: キャノンEF200mmF2L IS USM (F2.5にて撮影), ビクセンSXD赤道儀

使用カメラ: SBIG STL-11000M, Astronomik Type2C LRGBフィルター

露出時間: L=40分(5分×8),Ha=10min, R=5min, G=5min, B=5minで撮影したものを3コマモザイク合成
総露出時間 3時間15分

画像処理ソフト: ステライメージ6, PhotoshopCS4

撮影場所: 岡山県備前市吉永町