大マゼラン雲

Large Magellanic Cloud, Tarantula Nebula

大マゼラン雲

Takayuki Yoshida

大マゼラン雲とタランチュラ星雲

大マゼラン雲は、かじき座で輝く星の大集団で、天の川銀河系の伴銀河です。 明るい星雲なので肉眼でもよくわかり、ニュージーランドのテカポの街中からもよく見えました。 双眼鏡を使うと、大マゼラン雲が棒状銀河のような形をしていることがよくわかり、より一層興味深い姿を楽しむことが出来ます。 大マゼラン雲は、小マゼラン雲と共に南天を代表する天体の一つですので、南半球に訪れた際には忘れずに観望したい天体です。

この大マゼラン雲の見かけの大きさは非常に大きく、約10度ほどの広がりがあります。 この写真は、焦点距離200ミリの望遠レンズと、APS-Cサイズのデジタル一眼レフカメラを使って撮影しましたが、 一コマでは全体を収めることが出来ませんでした。 そこで構図をずらして数枚撮影し、パソコン上でモザイク合成して一枚に仕上げています。 星雲全体をAPS-Cサイズのデジカメで撮りたい場合には、100ミリ前後の望遠レンズが適していると思います。

タランチュラ星雲 大マゼラン雲の中には、多くの赤い散光星雲が点在しています。 写真でポツポツと赤っぽく写っているのがそれで、中でも有名なのがタランチュラ星雲(NGC2070)です。 タランチュラ星雲は、その星雲の形が毒蜘蛛のように見えることからこの愛称があります。 上の写真では写真左寄りに写っています(右画像の矢印を参照してください)。

大マゼラン雲の中にあるために小さく感じますが、見かけの大きさは満月ほどもある大きな星雲です。 マウントジョン天文台の天体望遠鏡で観察したところ、毒蜘蛛そっくりの形を楽しめました。 タランチュラ星雲は、りゅうこつ座のエータカリーナ星雲と並ぶ、南天で最も美しい散光星雲の一つでしょう。

なお、「マゼラン雲」という呼び名は、ポルトガルの航海者マゼランが世界一周したときにこの星雲を記録していたことに由来します。 明るい星雲ですので、南半球の人々にはそれ以前から知られていたことでしょう。 現在では、大小マゼラン雲が星の集まりであることがわかっていますので、南天に星雲が浮かぶ様子を見ても驚きませんが、 そのような知識がなかった頃は、いつも南天に浮かんでいるちぎれ雲のような姿が不思議だったに違いありません。 そんなことを考えながら、テカポでマゼラン雲を見ていると不思議な気持ちでした。 もし日本からマゼラン雲が見えていたら、何かの霊魂のように思われたかもしれませんね。

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Imaging information

撮影レンズ: キヤノンEF200mm F2L IS USM

使用カメラ: キヤノンEOS60D(IRフィルター換装)

露出時間: 130sec×4コマ, 4写野モザイク合成, F2.5, ISO1250

撮影方法: タカハシP-2赤道儀にてノータッチ追尾撮影

撮影場所: ニュージーランド レイクテカポ