リック天文台

Lick Observatory

リック天文台

Takayuki Yoshida

リック天文台の91センチ屈折天体望遠鏡

リック天文台は、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンノゼ郊外にある、 標高1,280mのハミルトン山に建てられたカリフォルニア大学が運営する天文台です。 リック天文台は、世界第2位の大きさを誇る、大きな屈折望遠鏡があることで有名で、望遠鏡の口径は91センチ(36インチ)にもなります。 リック天文台が完成したのは1888年で、1897年に同じアメリカのヤーキース天文台ができるまでは、世界最大の屈折望遠鏡でした。

リック天文台は、世界初の山頂天文台としても有名です。 ハミルトン山頂に建てられたリック天文台からは見晴らしもよく、遠くサンホゼ市もよく見えました。 現在は光害の影響が大きく、建設当初のような性能は発揮できていないようですが、天文台の敷地内には、 研究用の大型反射望遠鏡がいくつも設置されています。

リック天文台の建設は、大口径の屈折望遠鏡が世界中で建造されている1800年代後半に計画されました。 資金を出したのは、アメリカの大富豪ジェームズ・リックです。 彼は自らの名前を永遠に残すため、この天文台の建設に投資したと言われています。 しかし、彼は1876年に亡くなってしまいます。一旦、白紙に戻りかけた天文台建設ですが、 設立に携わった委員会は、36インチレンズの契約を無事に結び、天文台が無事建てられることになりました。 天文台の設置に貢献したジェームズ・リックの遺体は、望遠鏡の架台の下に安置され、今でも観測者を見守っていると言われています。

写真に写っているのは、リック天文台の36インチ屈折望遠鏡です。 写真では迫力が伝わりにくいですが、鏡筒は非常に長く、そして歴史を感じさせてくれて、その存在感に圧倒されました。 ドーム内に入ったとたん、シーンと静まりかえる空気も印象的でした。

天体望遠鏡の鏡筒が長くなると、望遠鏡の向きによって、観測する位置が変わり、観測者は梯子に登ったりする必要があります。 リック天文台では、望遠鏡が動くと共に床が上下する仕組みが取り入れられていて、 どの方向を向いても快適に観測が出来るよう考えられています。 この斬新な仕組みを考えたのは、望遠鏡製作者として当時有名だったハワード・グラブです。 この機構は、後に建設されたヤーキス天文台でも採用されています。

リック天文台には駐車場があり、誰でも中を見学することができます。 訪れたら、是非、館内の説明ツアーに参加してみましょう。リック望遠鏡の由来など、学生ボランティアが楽しく説明してくれます。 また、館内にはお土産ショップもあり、訪れる人を楽しませてくれます。 日本人が旅行で来ることは滅多にない場所だと思いますが、 天文ファンならカリフォルニアに訪れたら、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

キャノンEF-S10-22mmF3.5-4.5レンズ, キャノンEOSKissデジタルXにて撮影