演色性と高演色蛍光灯

光源の種類が変われば、物体の色の見え方は変わってきます。 白熱灯の下では写真は赤っぽく見えますし、昼光色の蛍光灯下では白っぽく見えます。 写真を処理したり印刷する場合は、光源の種類にも注意が必要です。 さもないと、スタジオでは綺麗に見えた写真が、印刷所に行くと目も当てれれない色に変化してしまった、 という事態にもなりかねません。 このページでは、色彩と光源の話題について触れています。


標準イルミナント

色彩と光のページにも書いているとおり、光には自然の光と人工の光があります。 自然の光の代表は太陽の光です。人工の光は蛍光灯や白熱灯の光があります。 こうした光にはそれぞれ特徴があって、色の見え方が光によって変わってきます。 お店では新鮮に見えた野菜が、家に持ち帰ってみると、それほど新鮮には見えず、 がっかりした経験もあるのではないでしょうか。

色を正確に比べるときには、理想的な光が必要です。 理想的な光とは各波長の光をまんべんなく含んでいる光です。 理想的な光がばらばらではいけませんから、国際照明委員会(CIE)が基準となる光を定めています。 これを「標準の光」とか「標準イルミナント」と呼んでいます。


演色性とは

先ほどの野菜のように、部屋の照明によって、物の色合いが綺麗に見えたり、濁って見えたりすることがあります。 照明の光によって、物体の色が違って見えるのです。 このように物体の色の見え方に影響を与える光源の性質を「演色性」と呼んでいます。

その照明の演色性を調べるには、ある物体をその照明で照らしてみます。 そして次に同じ物体を標準の光(理想的な光)で照らし、違いを比べます。 その差異の大きさによって、演色性の善し悪しが判断されます。 ほとんど差がなければ、その照明は演色性の高い光源ですし、逆に見え方の差が大きければ、演色性の悪い光源となります。 演色性は演色評価数という数値で表されています。 演色評価数の最高は、100点となっています。

実際には各国で演色性の評価方法が決められています。 日本ではJIS規格で定められていて、15種類の色で演色性を判断するように記載されています。 具体的には、1番から8番の色までは一般的な色彩が評価に用いられ、 9番から15番までは人間の肌色など少し特殊な色彩が評価に使われています。 このうち1〜8までは「平均演色評価数」と呼ばれ、Raという値で表されています。 9番から15番までの色は、それぞれR9〜R15で表され、「特殊演色評価数」と名づけられています。


高演色蛍光灯

高演色蛍光灯 高演色蛍光灯とは、この演色性が高い蛍光灯のことです。 市販されている蛍光灯は、演色評価数により普通型、高演色形に分けられています。 高演色形はその中で演色A、演色AA、演色AAAに分類されています。

一般的に写真や印刷加工に用いられている蛍光灯は、演色AAAの高演色蛍光灯です。 国際照明委員会(CIE)では、美術鑑賞や色の比較を行う場所では、Raが90以上の演色性の良い蛍光灯を用いることを推奨しています。 こうした用途に合うのが、高演色蛍光灯というわけです。

高演色蛍光灯といえば、東芝ライテックの蛍光灯とナショナルのリアルクスが有名です。 家庭用に普及している丸形の蛍光灯は販売されておらず、直管形の蛍光灯のみです。 演色性がよいのは美点ですが、全光束は低く、体感的にあまり明るくない蛍光灯です。


蛍光灯と色温度

電器店に蛍光灯を買いに行くと、ナチュラル色、クリア色、電球色蛍光灯と、いろいろな色の蛍光灯が並んでいます。 白熱電球は一種類の色しか作り出せませんが、蛍光ランプは様々な色を作り出すことができます。 こうした色は、色温度によって分類されています。

蛍光灯の光の色は、色温度という考え方で表示しています。 ある物体を熱していくと、だんだん発熱して赤く発光していくわけですが、 その時の色と温度の関係を取ってそれで光の色を温度で表します。 たとえば夕日の色は赤っぽいですよね。これはおおよそ2800K(ケルビン)という色温度になります。

一般の蛍光ランプは色温度が高い順に、昼光色(D)、昼白色(N)、白色(W)、温白色(WW)、電球色(L)に分けられています。 ナチュラル色と書かれた蛍光灯は、たいてい昼白色の色をしています。 蛍光灯本体に略号で記載があるはずです。 なお、昼光色は6500K、昼白色は5000K、白色4200K、温白色3500K、電球色2800Kが標準的な色温度となっています。 オフィスでは昼光色が多いですが、印刷や写真業界では色温度5000Kの昼白色がよく用いられています。


三波長発光形蛍光灯

三波長発光形蛍光灯メロウZ 最近発売されている家庭用の蛍光灯は、ほとんどが、この三波長発光形の蛍光ランプとなっています。 この蛍光ランプは、青、緑、青の色光の三原色を出す発光体が管に塗られていて、非常に明るい蛍光灯です。

この三波長形蛍光灯は、JIS規格でも特別に分類されており、演色性も比較的よいのが特徴です。 蛍光ランプの分光分布グラフを見ると、三波長の部分が突出していることがわかります。

写真や印刷用途としては、高演色蛍光灯を使うのがベストですが、なかなか手に入りにくいのが難点です。 そういった場合には、この三波長発光形蛍光灯を使うとよいでしょう。 中でも東芝ライテックの製品(TOSHIBAメロウZ)は、 色の偏りが少なくてお勧めです。

一般型の高演色蛍光灯が使えるデスクスタンド

山田照明zライト
ZライトZ-208

デスクスタンドの分野では定評のある山田照明のZライトです。 このZ-208は一般型の蛍光灯が使えるタイプなので、電気店で販売されている高演色蛍光灯を使用することができます。 照明ヘッドの幅は67センチもあるので、手元を広く照らしてくれます。 インバーター内蔵のプロフェッショナルデスクスタンドで、写真の画像処理にも向いていると思います。 カラーはブラック、ホワイト、グレーが用意されています。 ちなみに私はグレーを購入して使用していますが、この色は安っぽいので、他の色をお勧めします。

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