Webカメラ
Webカメラ(ウェブカメラ)は、Skypeなどでよく使われている小型のリアルタイム動画カメラです。 こうしたWebカメラは、ライブカメラの一部に分類されていて、最近では防犯用に用いられる場面も増えています。
私はこのWebカメラを惑星や月表面の撮影用として、2003年頃から使い始めました。 Registaxという高性能なコンポジットソフトが登場し、動画から写真を処理するのが簡単になったためです。 このWebカメラを使った撮影方法は、現在の惑星撮影の主流となっています。
※2016年現在は、天体撮影用の高感度動画カメラ(スカイリスやZWO社のASIシリーズ)が、 惑星撮影によく用いられています。 詳しくは、惑星撮影の方法ページをご覧ください。
Webカメラ フィリップス社ToUcamPro
現在惑星撮影に使用しているWebカメラは、フィリップス社のToUcamProカメラです。 このカメラは2003年に購入したもので、使い始めてからかなりの年数になります。 残念ながら日本では取り扱いのないWebカメラでしたので、当時はアメリカから個人輸入して手に入れるしか方法がありませんでした。
ToUcamProは2007年頃にバージョンアップしてToUcamProUになりましたが、この機種はその後も人気のある惑星撮影用Webカメラでした。 人気の秘密は、感度がよい上、動画を取り込むときの圧縮率が低いため、画像が滑らかに仕上がりやすい、などがあるようです。 実際に使っていても非常に使い勝手がよいWebカメラです。
ただしこれらのWebカメラは、本来はパソコンに繋げてインターネット通信に使うためのものです。 そのため、買ったままでは使用できません。付属しているレンズなどを外して、天体望遠鏡のアダプターに取り付けられるように 加工しなければなりませんで。私は光映舎という望遠鏡ショップでパーツを購入して右上の写真のように加工しました。 WebカメラのCCDの前には、Astronomik社のIRカットフィルターを取り付けて撮影しています。
WebカメラのCCDチップ
Webカメラの解像度は、VGA規格の640x480ピクセルや1280x960ピクセルが標準です。最近では2000万画素を超える大きな きなチップを用いたデジタル一眼レフカメラも登場していますが、惑星用にはこうしたWebカメラが人気です。詳細な画像を得るためには 大きな画素数の方が有利なはずなのに、小さなチップが使われたWebカメラを使うのにはわけがあります。
まず一つは、惑星というのは非常に小さいために、撮影時に必要となるのは中央の小さなピクセル部分だけであるということです。 例えば最新のフルサイズデジタル一眼レフカメラニコンD700などを使っても、惑星は真ん中に小さくしか写ってきません。 これでは周りの黒い部分は無駄になります。
それならもっと拡大して画面一杯に撮れば良いじゃないかと思われるかもしれません。しかし、地球上からの撮影では、いつも上空の大気の 影響を受けているため、拡大すればするほど像が揺らいでしまいます。また、像を拡大すればF値が大きくなり、像が暗くなってしまいます。 ですから、撮影にはその望遠鏡にちょうどよい倍率が決まってくるのです。
またWebカメラの場合には、動画で画像を保存できるのが大きなアドバンテージになります。従来は加工できるソフトが限られていました が、Registaxという高性能のフリーウェアが登場してからは、簡単に動画の画像処理ができるようになりました。 動画なら一気に千枚以上のフレームを撮影できますから、その中から気流の揺らぎの少ない画像を選ぶことができます。 デジカメでは十数枚のコンポジット(重ね合わせ)がやっとだったのです。Webカメラの登場で一気に画像のクオリティが上がりました。
最新のWebカメラ
現在発売されているWebカメラについて記載しています。不定期に見直して新しい情報を追加しています。
ロジクールQcamPro9000
現在発売されているWebカメラの中で最も人気があるのは、ロジクール社のQcamシリーズです。 中でもロジクールQcamPr9000は低照度時の感度が高く、画素数も200万画素と高画素なので、Skype通信用途などで人気があります。 低照度時の感度が高いというのは、天体写真にも向いていそうで期待がもてそうです。実際、既に惑星撮影に使っているユーザーがいらっしゃいます。
アルゴ社の産業用USBカメラ
アルゴ社は工業用計測器などを製造販売している会社です。そのメーカーから、DMKシリーズという産業用のUSBカメラが発売されています。 産業用ですが、Webカメラと同じようにUSBバスパワーで駆動します。 このDMKシリーズで人気があるのがDMK-21AU04とDFK-21AU04という機種で、どちらもVGAの解像度を持つソニー製のCCDがセンサーに使われています。 両者の違いはモノクロCCDかカラーCCDかという点にあります。解像度を求める惑星写真ファンにモノクロチップモデルが人気です。 また、IEEE1396接続のモデルも同じアルゴ社から発売されています。