キャノンNewFD400mm望遠レンズの使用レビュー
キャノンNewFD400mmF2.8Lレンズは、明るさがF2.8と非常に明るい超望遠レンズです。 この明るさが持つ速射性能を生かして、淡い星雲の撮影に長い間使用していました。
キャノンNewFD400mmF2.8Lレンズの概要
400mmF2.8レンズと言えば「ヨンニッパ」の愛称で知られる超高級なレンズです。最新のEOSモデルですと 100万以上の値段が付けられていて、このレンズも発売当時は70万以上の価格でした。
このキャノンレンズの発売開始は昭和56年です。当時のオリンピックの撮影に対応するために作られたと 聞いています。レンズ構成は8群10枚で、UDレンズを2枚使用した贅沢なレンズです。
ヨンニッパですからレンズ本体は大きく、重さは5キロ以上あります。手持ちでの撮影は不可能でしょう。 撮影にはしっかりした三脚を用意したいところです。
改造して中判アストロカメラへ
このキャノンNewFD400mmF2.8Lレンズは、キャノンFDマウント仕様です。そのため、キャノンのF-1やT90と いったFDマウントのカメラにしか取り付けられません。 しかしフィルターボックスが外せるので、そこを外してペンタックス67を取り付けられるように 改造しました。このペンタックス67アダプターは、光映舎で販売されています。
そのペンタックス67を取り付けた様子が一番上の写真です。しっかり取り付けられるので、まるで 67用のレンズのようです。ピントはもちろん合いますが、絞りは外してしまっていますので、 絞り開放の撮影のみとなります。
レンズの像質
このキャノンNewFD400mmF2.8Lは思った以上にイメージサークルが広いレンズです。 35mmフォーマット用のレンズですが、ペンタックス67の写野隅まで光が来ます。 PENTAX100SDUFという撮影用望遠鏡がありますが、そちらと同様かやや周辺減光が少なく感じました。
銀塩フィルムで撮ると星像はとてもシャープで、色収差はほとんど目立ちません。 さすがに写野隅になると星が流れますが、それほど気にならない量です。何年も前に作られ た35mm用レンズとしては、かなり優秀だと思います。
明るさが最大の武器
このレンズの魅力は明るさにつきます。F2.8の明るさを持ってすれば、ISO感度400のフィルムを 使えば10分から20分ほどで淡い星雲を写し出してくれます。
短い露出で星雲を写すことができれば、赤道儀の追尾精度もそれほど気にならなくなります。 また、天候の急変にも対応できて、一晩に撮影できる枚数も飛躍的に増えます。 私自身、このレンズの速射性には大いに助けられました。
キャノンNewFD400mmF2.8Lレンズと銀塩フィルムを使って、今までに数百枚もの星雲の写真を 撮ってきました。私の撮影技術が高まったのは、このレンズと出会えたからだろうと思っています。 思い出深いレンズです。
デジタルカメラとの相性
銀塩フィルムでは抜群の性能を誇ったヨンニッパレンズですが、デジタル一眼レフと組み合わせると 青ハロが少し目立ちました。ちょうどPENTAX100SDUFUレンズのような色収差が出てきます。
また、レンズ前面に平板保護ガラスが2枚入っているため、そこでの面反射もデジタルカメラでは 問題になりました。一時は保護ガラスを外してしまおうかと考えましたが、内側のガラスには ハードコーティングが施されていないので諦めました。 最新のレンズでもここに平板保護ガラスが用いられている場合は、星用に使うのは難しい と思っています。
キャノンNewFD400mmF2.8Lのスペック
キャノンNewFD400mmF2.8の仕様を以下に示します。
名称 | New FD400mm F2.8L |
レンズ構成 | 8群10枚 |
絞り枚数 | 9枚 |
最小絞り | 32 |
レンズ長と径 | 348mmX166mm |
重量 | 5,350g |