三裂星雲

Trifid Nebula,M20

三裂星雲

Takayuki Yoshida

いて座の三裂星雲

いて座で輝く三裂星雲(M20)は、夏の代表的な星雲の一つです。 M20は、赤い輝線星雲の部分が、三つに引き裂かれて見えることから、三裂星雲と呼ばれています。 しかし、星雲が実際に三つに分かれているのではなく、手前を横切る暗黒星雲により、このように見えています。 星空の綺麗な場所で、天体望遠鏡で三裂星雲を観望すると、色合いはほとんど識別できませんが、 星雲が三つに分かれている様子を確認することができます。

三つに分かれた赤い星雲のすぐ北側には、青色をした反射星雲が輝いています。 M20は、青と赤の対比が美しく、天体写真ファンにも人気がある天体です。 しかし、三裂星雲は視直径がそれほど大きくないため、 星雲のディテールを表現するなら、焦点距離が長い光学系を使用したいところです。 500ミリ前後の焦点距離の場合は、三裂星雲のすぐ南で輝いている干潟星雲と、一緒に撮影されることが多い天体です。

撮影には、タカハシMewlon-250CRSを用いましたが、三裂星雲は明るいため、 暗めのこの光学系でもよく写り、720秒露光では若干露出オーバー気味でした。 Mewlon-250CRSに取り付けていたレデューサーを外して、直焦点でクローズアップ撮影しても面白かったかもしれません。 カメラは、キヤノンEOS6Dをフィルター・冷却改造したデジタル一眼レフカメラのAstro6Dを用いました。 フィルターボックスにアイダス社のHEUIB-IIフィルター(52mm)を入れて撮影したため、 赤い星雲が通常よりもはっきりと写り、彩度の高い仕上がりになりました。


Imaging information

撮影光学系:タカハシ Mewlon-250CRS、レデューサーCR0.73×使用

撮影カメラ:Astro6D(キヤノンEOS6D フィルター換装・冷却改造)

赤道儀:ビクセンAXD赤道儀にて追尾

カメラの設定:マニュアルWB、ISO1600、RAWモード

露出時間:720秒×4コマ

画像処理ソフト: ステライメージ7、PhotoshopCC 2015

撮影場所: 岡山県備前市吉永町八塔寺、2016年撮影